表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/125

第5章:第101話:中央領の洗礼

第5章:第101話:中央領の洗礼



長い長い石橋を渡りきった先…


レガリア王国中央領。


新天地へと踏み出した四人を待ち受けていたのは、南部のそれとは明らかに質の異なる『殺気』だった…




「……っ、来るぞ! 全員、構えろッ!」


シンジの叫びと同時に、街道の左右から魔物の群れが躍り出る。


正面からは、南部でも見かけたような、岩のような筋肉を持つ巨漢の魔物が咆哮を上げて突進してくる。

だが、違ったのはその『搦め手』だった。



「……っ、何だこれ、身体が……重い……!?」


突進を捌こうとしたシンジの足が、不自然にもつれる。


巨漢の影に隠れるようにして、翅を震わせる小さな魔物が、目に見えないほど微細な鱗粉を撒き散らしていたのだ。

理解が追いつくより早く、重い拳の風圧がシンジを襲う。



「シンジ! ……っ!? か、身体が……動かない……っ!」


援護に入ろうとしたミーシャが、悲鳴に近い声を上げた。


パワー系の魔物の一撃を剣で受け止めた瞬間、刀身を伝って青白い電光が彼女を駆け抜けた。

ただの力押しではない。一撃一撃に『痺れ』の魔力が込められていた…



「……くそっ、こいつら、連携してやがるのか……!」


さらに、目の前で振り下ろされたはずの巨腕が、空を斬る…



「……いない!? 」


何もないはずの空間から飛んできた衝撃に、シンジは横に撥ね飛ばされた。

幻影を操る個体が、戦場の感覚を狂わせているのだ。



「セシリア、風だ! この滞っている空気も、幻影も、全部かき乱してくれ!」


シンジの必死の指示に、セシリアが慌てて、けれど力強く杖を握り直す。



「……は、はいっ……わかりました!」


彼女が放つ風魔法が、猛烈な突風となって街道を吹き抜けた。


不自然な鱗粉が霧散し、陽炎のような幻影が歪みを見せる。

視界が開けた一瞬。シンジは泥臭く地面を蹴り、まずは『搦め手』を弄する小さな影へと拳を叩き込んだ。




一匹ずつ、着実に。

未知の妨害に翻弄され、痛みを浴び、その正体を暴きながら。 四人は中央領の魔物たちを、一歩も引かずに退けていった。




「……はぁ、はぁ……。もう、嫌になるわね。南部とは、まるで別世界じゃない……」


剣を納めたミーシャが、膝をついて激しく肩を揺らす。 物理的なダメージ以上に、未知の脅威に適応し続けた神経の磨耗が、四人の顔に色濃く滲んでいた。



「……今日はここまでね…まだ日は高いけど、早めに夜営にしようか…」


ミーシャの提案に、全員が深く頷いた。


街道から少し外れた、視界の開けた高台の隅。 馬車を停め、四人は無言のまま、中央領での初めての夜を迎える準備を始めるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ