第4章:第96話:凱旋の路と禁断の戦利品
第4章:第96話:凱旋の路と禁断の戦利品
「……無事だったか! シンジ、皆も!」
砦の深部から命からがら戻ってきた四人を迎えたのは、ガストン、オルデン、ミレーユ、そして老神父の四人の、心からの安堵に満ちた満面の笑みだった。
「ああ……、なんとか。皆も無事でよかった」
シンジが肩の力を抜くと、ガストンがその逞しい腕でシンジの肩を叩いた。
「お前さんたちがあの『死の宣告』を打ち破るとはな……。正直、半分は諦めていたんだ…無事で良かった…」
シンジは、仲間の陰で静かに微笑む魔法使いの女性、ミレーユに歩み寄った。
「ミレーユ。……あんたの助言がなかったら、俺たちはあそこで終わってた。あの鳥の正体を教えてくれて、本当にありがとう」
「……ふふ、私は見たままを口にしただけよ…それを信じて、あの絶望的な状況を切り抜けたのは、貴方たちの実力よ。……でも、礼を言われるのは悪い気分じゃないわね」
ミレーユは少し照れくさそうに、整った唇を綻ばせた。
老神父の先導により、全員で静かに神への祈りを捧げる。
その後、一行は回復ポイントの不思議な光に身を委ね、戦いでボロボロになった肉体と精神を全回復させた。渇いた喉に清らかな水が染み渡るように、四人の心身に新たな活力が満ちていく。
砦を後にした一行は、石橋を渡り帰路についた…帰り道も決して平坦ではなく、飢えた魔物たちが次々と姿を現す。
だが、今の四人は以前とは違っていた。
「……来るぞ! フィリア、右だ! ミーシャ、前を頼む!」
「了解よっ! ……っせい!!」
レベルアップを果たし、一回り強くなったシンジの指揮は鋭く、そして冷静だった。
武器を持たない四人を中央に守り、四人は鉄壁の布陣で突き進む。
ミーシャの鞭が唸りを上げ、フィリアの矢は一射一殺の精度で急所を穿ち、セシリアの風魔法が敵を切り裂いていく…
以前は苦戦した魔物たちが、今は四人の流れるような連携の前に、悲鳴を上げる暇もなく霧散していった。
一度も危機に陥ることなく、一行は地方都市サカデウスへと無事に帰還した。
活気ある街並み、人々の喧騒。
それが今は、何よりも愛おしく感じられた。
ギルドの前で、救い出した冒険者たちと神父が、何度も感謝の言葉を述べながらそれぞれの場所へと帰っていく。
「あーあ、ようやく一息つけるわね! 私は冒険者ギルドに報告して、懸賞金を貰ってくるね。……シンジ、荷物の整理、よろしく!」
ミーシャが手を振りながら雑踏へと消えていった。
残されたシンジ、フィリア、セシリアの三人は、馬車の停留所へと向かった。
今回の砦で集めた大量のゴールドを馬車の荷台へと手際よく整理し、積み込んでいく。
「……よし、これで最後か」
シンジは、最後に残ったあの重厚な宝箱を地面に置いた。 あの赤いトロルを倒した後に現れた、勝利の証。
「……シンジさん、いよいよですね」
「……何が入っているんでしょう。……伝説の装備でしょうか……」
フィリアとセシリアが、期待に胸を膨らませて身を乗り出す。
シンジは慎重に、細い工具を鍵穴に差し込んだ。
カチッ、カチッ……。
静かな音だけが周囲に響く。シンジの指先が、精緻に仕掛けられた罠を一つずつ解除していく。
カパッ――。 静かに蓋が開く。シンジは真剣な眼差しで、中を覗き込んだ。
「……? ……これは……」
シンジが中から取り出したのは、布のだった…
それを両手で広げた瞬間、周囲の空気が一変した。
装飾など一切ない。しかし、その形と、あまりにも極端すぎる布面積。
それは、誰の目にも明らかな『あぶない水着』だった。
「…………えっ?」
「…………あ……」
一瞬の静寂。そして。
「阿鼻叫喚……ッ!!」
それを見たフィリアとセシリアは、一瞬にして顔を真っ赤に染め、羞恥と困惑が混じり合った、艶めかしい悲鳴を上げた。
「し、シンジさん……! な、何を……そんな破廉恥なものを掲げているんですかッ!?」
「きゃぁぁっ! シンジさん、そんな……な、何を……何をさせるつもりなんですかぁっ!」
二人は顔を覆いながらも、指の隙間からその『水着』を凝視し、潤んだ瞳で喘ぐように声を漏らす。
そのあまりにも扇情的な光景に、シンジはただ呆然と立ち尽くすしかなかった。
そこへ、ギルドでの用事を済ませたミーシャが、鼻歌交じりに戻ってきた。
そして、あぶない水着を両手で掲げるシンジと、顔を真っ赤にして悶える二人を交互に見比べ、呆れたような笑みを浮かべて言った。
「……ねえ、シンジ。……それ、一体どうするつもりなの?」
*…あえて"あえんびえん"と書いておりますので色々とご了承下さいませ…( ̄Д ̄)ノ




