第2話 家事決めルーレット結果
幼児が決めた家事分担結果
「決まったな」
明仁のそんな言葉が工藤家のとある部屋に静かに響いた。
工藤家の家主である明仁、そして、シェアホームの住人である彗月、マナ、神風の前には動きを止めた家事決めルーレットが置かれていた。
「料理が舞華さん、食器洗いがマナさん、掃除が美月さん、風呂掃除が祐馬くんと未来ちゃん、子守が継続して俺、洗濯干しが遙っち、洗濯畳みがユズリ、買い物がゆかりん、臨時が颯さんっすね。今、Rootでルーレット結果送ったっす」
「助かった、彗月。子守がお前だと本当に有り難い」
彗月がスマホを弄りながら、明仁に話しかける。ルーレットで決まった家事の結果を通信アプリRootで彼が同居人達に一斉送信で送れば、各ルームは混沌を極めた。絶望している者や安心している者等々。それらを見て、彗月は内心、苦笑いを浮かべた。
明仁は溜息を一つつきながら、ルーレットを仕舞う。以前、ルーレットを出したままにしたところ、ルーレットに細工をされることがあった。そのために使い終わったらすぐに細工妨害のために片付けるようになったのだ。
「あー、ユズリとかゆかりんだとエグいっすもんね」
「2人は自分達で強気なことを言うだけあって子守の仕方の癖が強すぎる。任せるのが不安になる。神風でなくとも不安になる」
彗月は思い出す。2人が子守を担当していた時期を。その時期の2人の癖の強すぎる子守の仕方を。側で見ているだけでもヒヤヒヤするような子守の仕方だった。神風に対しての接し方も神風に関する人達への接し方についても、あまりにもヒヤヒヤするものばかりだったな、と彗月は思い出してしまった。
「分かるっす。こう、溺愛具合が半端ねぇっすもんね!」
「……ちなみにルーレットに細工とかってしてない、ですよね、彗月さん」
マナの言葉に彗月はなんとも言えない笑みを浮かべて、スマホを仕舞った。その数秒後、彗月のスマホはルーレットに飽きた神風によってガンガンとテーブルにぶつけられていた。
「かたい」
神風が携帯をテーブルにぶつけた感想はそれだけであった。3人は全員、そんな神風を見て見ぬ振りした。スマホを取り上げたところで泣かれるのが関の山だと直感的に察していたためだ。
「してないっすよ、俺は」
「俺は?!」
「他の人らはしたことあるみたいっすね。特に誰とは言いませんけど」
「俺からもノーコメントだ。というか、言わなくとも察しがつくだろう」
「言われなくても、誰だか分かってしまって悲しい」
マナの脳裏には約3名の成人しているアイドル達の姿が思い浮かぶ。幼児の自称推し的存在と自称許嫁はこの際、置いておいた。というか、自称達はイカサマをすると推し/許嫁に嫌われると思っている節がありそうなのでルーレットに細工はしないな、とマナの脳裏は弾き出した。
「あああああああああああああああああああ!!!!」
「うぎいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「なんで!!!」
そして、そんなマナと、彗月のスマホをガンガンとテーブルにぶつける神風、自身のスマホをガンガンとテーブルにぶつける神風を生温かい目で見ている彗月、ルーレットを仕舞って読書をしようとしていた明仁の耳に3人のアイドルの叫び声が聞こえてきたのはそれから、5秒後のことだった。
「ルーレットに細工したところでいいことはないっすよ。ホントに」
「そう言うのが子守二連覇中のアイドルなのがいいな。細工していない前提で言うが」
「またまた~。俺がんなことするわけないって知ってるっすよね、明仁さん」
「まあ、な」
「そう普通の顔しながら彗月さんと明仁さんが言うのが一番怖いです」
「アイドルってこわいな、かわいいけど」
「「「本当に」」」
アイドル達は争い合い、家事を奪い合う。
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