27.それぞれの夢
「はぁはぁ」
スライム狩りから約30分が経った頃。
流石に魔力の使いすぎで花と蛍、蓮は息が上がっていた。
「お前らそんなんでバテるのか」
司は、やれやれと言わんばかりに呟いた。
「当たり前だろ」
蓮は、キレ気味に言った。
司は、魔法石が十分取れたことを確認して
「雷魔法」
「終雷」
司がそう呟いた瞬間雷が落ちた。
スライム一体一体を狙って。
その雷は今日に魔法石を避けてスライムを倒した。
「すげぇ」
司の傲慢な性格でみんなは忘れていたが、
そういえば司は、勇者だったなと思い出した。
「帰るか」
蓮が何故か先頭を切りながら帰った。
「本当に私達必要だったかな?」
陽葵と、夢描が最後までそう言っていた。
──────
「ただいまぁ」
疲れた体を何とか動かして帰ることができた。
「おかえり」
「取れた?」
空が6人の元へと駆け寄ってきた。
「見て!」
夢描が、魔法石の入った袋を空に見せた。
その袋はパンパンに入っていて魔法石が擦れる音がした。
「結構取れたんですね」
空の後ろからゆっくりと現れた慎さんが袋の膨らみを見て言った。
「あぁ」
「とりあえず何着かは、買えるだろ」
司が、言った。
「えっ?」
「人数分買えないの?」
未来が現れて言った。
「こんな量で買えるわけがないだろ」
司がバサッと言った。
思いのほかスライムの価値が低かったようだ。
「次はもう少しランクの高い魔獣を倒すぞ」
5人の喉の奥から「ヒィッ」という音が聞こえたのは気のせいかな?
──────
「今回も蛍は大活躍だったな。」
ある程度片付けが終わった。
そこで蓮が呟いた。
「お家か剣道をされているんですよね」
慎さんは、そう言った。
「それもありますけど」
「夢が警察官なんです。」
蛍は少し照れながら言った。
「この昔から鍛えてきた腕で」
「たくさんの人を救いたいんです。」
照れながら蛍が言ったがその言葉に蛍はまっすぐだった。
「俺も将来の夢は食品系にいくことだ。」
直人も、蛍の思いに乗っかって言った。
「食べ物で」
「世界の人が笑顔になればいいなって思ってる。」
直人もきちんとした夢があった。
「私は、」
「小説家か絵描きさんになりたい。」
夢描も少し恥ずかしそうに言った。
「まだ細かいことは決めてないけど」
みんなは高校3年生だ。
自分の人生について真剣に考えていた。
「みんなはすごいね」
「自分の夢をこんなにも胸張って言えるの」
その言葉は嫌味ではなくただ単純に尊敬している声だった。
「瑞希には夢がねぇのか?」
蓮が問いかけた。
黒島 瑞希
クラスの中でも手書き用でよく、クラスの女子たちと仲良く話している。
「いや」
「あるよ」
瑞希は、そういうのを少し躊躇いながら言った。
「なんだよ」
蓮は、デリケートな話なのにズカズカと話を続けようとした。
「メイク関係...」
「男の俺がおかしいって言われるけど」
とても素晴らしい夢なのに瑞希は何故か言いたそうにしなかった。
「俺、メイクとかわかんねぇけど」
「そうだろうね」という言葉がどこからが飛んできたのを蓮は無視しながら。
「いい夢だと思うけどな」
蓮の、純粋な言葉に瑞希は救われた顔をした。
きっとその言葉が本当に思っていることだからだろう。
「いいなぁ」
陽葵は、みんなの話を聞きながらそう呟いた。
「陽葵はないの?」
花が陽葵に言った。
「うーん」
「そんなに胸張って話すような夢がない...」
陽葵のように夢が見つからないものもそう少なくなかった。
これから先みんなはどんな夢を持つのだろうか。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




