9話 呼んだ日、呼ばれた日
朝は何故かこの時間に目覚める
シンは、ぼーっと考えていると携帯のアラームが鳴り始めたので、すぐに止める
寝たままでアクビと伸びをしてから
起き上がりベットから降りて
立ってからもう一度伸びをする
頭をかきながら、洗面所とトイレに行く為に洗顔、歯ブラシ、タオルを持って部屋を出て行く
寮の長い廊下を歩いてると窓が並んでいて
外の景色がよく見える所で立ち止まって
ぼーっと窓の外を見る
夏の日差しで木々が色濃くなっているのを見ていると鳴き始めた蝉の声で我に返って歩き出す
トイレと洗顔、歯磨きを終えて部屋に戻り、少し柔軟をしてから、シンは今日の予定を思い出す
寮から歩いて30分くらいの所の駅で10時に待ち合わせ
学生であれば無料のバスもあるけど
ここの学生ではないので歩いて行く事にする
そこから電車で1駅の所にある目的の店に行って、兄姉達のプレゼントを買う
昨日、連絡を受けて姉達が保健室に迎えに来てくれた
色々な人に謝られて
シンの事を色々と心配していた姉達だったのだが
思いのほか、シンがケロッとしているのを見て安心していた
アキとサキは周りに、頑丈に育てたので安心してくださいとか言って、シンと一緒にケラケラと笑っていた
姉達と一緒に寮へと帰る時に
皆んなに今後の予定を聞かれた
明日の予定をサラッと話すと皆んながついて来るって言いだした
んで終わったら次の予定の時間まで遊ぼうとも言われた
シンはそんなに時間は無いとか言っても
邪魔する訳じゃないからとか言ってくるし
姉達にもいいんじゃないとか色々言われて‥‥
メンドくさくなったシンは首を縦に振ってしまった
夜は兄姉達と一緒にご飯を食べて
買ったプレゼントを渡す予定
明日は午前中にお母さんが迎えに来る駅まで姉達と向かう予定だったかなと考える
寮からゆっくりと歩いて駅に着いたシンは周りを見渡す
待ち合わせは駅の西側出口となる場所で噴水と変な像がある所と持ちながら眺めている携帯の画面には表示されていた
少し古くなっている駅の周辺地図が噴水の近くにあったので、眺めながら現在位置を確認をする
(たぶんこれだと思うけど、言うほど変かなぁ)
噴水があり、水が出る所になんか半魚人みたいな像がある
おそらく時間が来ると水が像のどこかからも出る仕組みなんだろう
携帯で時間を確認すると9時半を過ぎた所で、9時前に寮を出たので時間通りだ
「都会なんだなぁ」
駅前に総合デパートとなんか色々入ってるビルがある
ちょっと離れるけど、デカい公園とバカでかい神社があったりする
上を見上げるとはるか上空をヘリが飛んでいる
それを見てなんか都会だとシンは思っていた
噴水の周りを歩くと
ベンチと自販機があり、日陰になっている所があったので立ち止まって
携帯を取り出すと
「「シン、おはよう」」
しんは声のする方向を見ると赤髪の子と白髪の子が立って、シンを見ていた
「はよー」
シンが挨拶を雑に返して携帯をしまうと
2人がシンの前まで来て、ジッとシンを見つめる
「‥‥エル」
シンは赤髪の子エルの方を見ながら
「ヒル‥何?」
シンは白髪の子ヒルの方を見て言う
「「えっへへ」」
「だから何よ」
シンは不意に後ろに気配を感じるが
振り返る前に後ろから抱きしめられる
「シン、おはよう」
「はよー」
黒髪の子はシンを後ろからキュッと抱きしめて
上から見て来る
シンは半眼で黒髪の子を見上げながら
「ルカ、暑いんだけど」
「わかった」
ルカはシンから離れて、エルとヒルに近づくと
おはようと言い合いイエーとハイタッチをしている
「何、この流れは」
シンは駅の西側出口の方から、銀髪の子とギャル風の子が出て来るのが見えたので
そっちの方を向くとまたも後ろからスルッと抱きつかれる
「シン、おはよう」
「ポー、暑い」
金髪ショートの子ポーは
「もうちょい」
と、言いながらポーがシンを捕獲する様に抱きしめていると
すぐにシンの正面からからドドンっと抱きつかれる
「だからウイ」
銀髪の子ウイを見て
「カヤも離れて」
ギャル風の子カヤを押して
「「「なんで?」」」
抱きついている3人に加えてルカも手を伸ばしてシンの頭を撫で始める
「だから!暑いってんでしょうが!」
シンがキッ!と叫ぶと4人はシンから離れて
笑いながらイエーっとハイタッチをしている
「ここまで遠かった?」
ヒルはシンに尋ねる
その横でエルは少し驚いていた
「そこそこかなぁ
30分くらい歩いたから
くっつかれんのは暑い!
わかってんの?そこらへんのヤツ!」
半眼で4人を見ながら言ったシンはヒルの方に視線を戻して
「そっちはどうだったの?」
「バス使ったから」
ヒルはそう言ってシンの方をジッと見てきたので、シンはヒルを見ながら?を頭に浮かべる
「昨日のアレ、すごかった!」
「うん!私もまだ興奮してる!」
ヒルが興奮気味に言うとエルも参戦してシンに話しかける
2人の周りではポー、ルカ、カヤ、ウイがうんうんと頷いている
「またその話?昨日もいっぱいしてたじゃない」
「「したりないの!」」
シンが苦笑しながらエルとヒルに言うと、2人は揃ってそう言う
自然な動きだった為にシンは動かなかったが、不意にエルはシンの顔の左側を左手で、ヒルはシンの顔の右側を右手で摘んでムニムニとする
「こんな可愛いのに」
「普段は無害なのに」
「暑いってんでしょうが!」
シンがキッ!となると、エルとヒルはきゃー!って言って、シンから少しだけ距離を取る
「私よりアンタらの方がすごいんじゃないの?」
シンがエルとヒルの方を見ながら言うとウイが
「そうね、勉強では勝てないわね」
「そーそー、全国模試!常に1位と1位タイよね」
カヤが笑いながら続ける
ウイはうーんと思い返しながら
「私達も10位以内に入る事はあるけど
かなり変動するから」
「私も最高は4位」
ルカがドヤ顔でシンに言うと、シンは苦笑しながらルカ達を見ていた
さらにエルとヒルが何か尋ねようとした時に
白の大きい車が少し離れたロータリー部分に何台か止まって
その近くに黒の車も何台か止まる
「お!来たね」
ポーがロータリーの方を見ながら言うと白の車からはエルフの子が下りてきて
黒の車からは雷姫が下りてくる
2人とも先に降りてドアを開けた人と少し話すとコチラに向かってゆっくりと歩き出して、段々早くなってシンに向かってくる
シンは逃げようとしたが、背後からウイとルカが優しくしっかりと抱きついた為に逃走失敗
まともに正面から2人の突撃を喰らってしまう
「あのね、リン」
シンは雷姫リンの方をみて
「サリも聞いて欲しいの」
シンはエルフの子サリを見つめながら
「何よ?」
「なんですか?」
「暑いってんのよー!」
シンは何回目かの同じ言葉を口にした
なんでこんなにもシンがすんなりと全員の名前を呼べるかと言うと
話は昨日、保健室から寮に戻った後にさかのぼる
まず保健室から寮に戻ると
寮長が来客用の部屋を貸してくれた
「ゆっくり休みな!
ご飯は姉達に運ばすし
お風呂はシャワーだけにしなよ、いいね!」
寮長の言葉にシンが頷いていると
姉達に部屋へと押し込まれた
そこから寝るまでの間
ご飯とシャワーの時以外はメッセージのグループ通話で話していた
リンも加わって
その日の事とかを言いあっていたので
シンは、うんうんとかはいはいで、相槌を打っていると
「怪しいので、名前当てをします!」
そこからはシンが声で名前を当てるまで何度もやり直しさせられた
正解が多くなってくると
段々とやり口が巧妙になってきて
エルとヒルが入れ替わったり
メッセージ画面で誰が喋ってるのかわかる所を開いてもみても
どうやったのか知らないが全員が喋り続けている事になっていた
そんな事をシンが勘弁してと言うまで夜遅くまでやらされた
もちろん、寮長に
早く寝な!何時だと思ってんだ!とシンは怒られた
4人から解放されて、シンはTシャツの肩の部分で汗を拭いながら
「ジュース買って来る」
シンはすぐそこの自販機に向かって歩き出す
「買い食いっていいの?」
「身体に良いものを選ぶのよ」
サリとリンがシンの背中に向かって言う
距離にして20歩くらいの自販機で
どれを買おうかなと悩みながら
ジュースの種類を見て、財布をポケットから取り出そうとしたら
不意に背後からシンは影で覆われる
シンは後ろを振り向くと自販機よりデカい鬼の男性が立っていた
「先にどうぞ」
言いながら横に避けようとすると
スッとシンの行く方向に鬼の男性が移動する
反対に移動してもスッと鬼の男性も同じ動きをしてシンの前に立った
シンは鬼の男性をもう一度見上げる動作をする最中に鈍い打撃音を聞く
シンがビクッとしながら鬼の男性を見ると
シンの前から右横に1メートル程移動して片膝をついていた
そして、シンの真正面にはラフな格好の女性が放った拳がある
シンは、それが鬼の男性を横にズラしたんだと理解した
「不審者でしょうが!それじゃあ!」
ラフな格好の女性がシンの顔を心配そうに見て
「ごめんね!シンちゃん!怖かったよね?」
シンはラフな格好の女性に頭を撫でられながら
「い、いえ」
とかなりビックリしていた
「シン!おはよう」
鬼の子がラフな格好の女性の後ろからヒョコっと現れてシンに挨拶をしてくる
「狙撃者アヤノ殿!おはようございます!」
シンが軍隊の敬礼っぽい挨拶をする
他の8人もそれに倣い、ビシッと立つと鬼の子アヤノは、ウッ!と言いながら胸を押さえて
「やめて!心とライフと命がもたないから」
昨日の夜からのネタだったものをやり合った事で、ケラケラと10人は笑い合っていた
片膝をついていた鬼の男性が立ち上がって
ラフな格好の女性が並んだので、アヤノが2人の前に行って
「あっごめん!私の父さんと母さんなんだ」
ラフな格好の女性はシンに向かって手を振りながら
「昨日ぶりね!シンちゃん、昨日はごめんね!主にウチの狙撃者が!本当に偶にね、やらなくてもいい仕事しちゃうのよ」
「母さん!」
あははとアヤノの母親は笑って
シン達もつられて笑っているとシンの前にアヤノの父親がスッと進みしゃがみ込んでくる
シンに視線の高さを近づけて手を握手するみたいに出しきたので
シンはスッと手を出してアヤノの父親となんとなく握手をした
アヤノは母親がため息をついて、動こうとしていたので
なんか喋れっ!とツッコミを入れるんだろうと見ていると
「あったかくて大っきい手!
私もこんなんになれますか?」
シンがアヤノの父親と握手している手を見てから、アヤノの父親をジッと見て話しかけていた
アヤノの父親はゆっくりと優しく握手をほどいて、シンの頭を大きい手で撫でるとゆっくりと立ち上がった
アヤノの父親はシン達に背中を向けてから、コホンっと咳払いをして
「ついて来なさい」
と言って歩き出す
「へぇ〜‥‥アヤノ、説明しといて」
アヤノの母親はアヤノに一声かけると
アヤノの父親の方に駆け寄って
なんか喋ってから、肘でウリウリとやっていた
「久しぶりに見たかもしんない」
「アヤノ、私が何か変な事言った?」
呟いたアヤノにシンが話しかけるが、アヤノは両親の方を見ながら
「まぁ、変と言えばぁ〜変なのか?
まぁいいじゃない!んで、昨日はごめんね!シン!」
パンと両手を合わしてアヤノがシンに頭を下げてくる
シンは右手をパタパタと振りながら、リンの方を向いて
「だからもういいって!ねぇ、リン」
「あんまり掘り下げないで、コッチに来るでしょ!」
「諸悪の根源がコレだからいいじゃない」
「誰が悪の親玉ですって!」
リンがシンに詰め寄ろうとしたのを
笑顔のアヤノが止めながら言う
「んでさ、父さんとかがさ
お詫びに飯を奢らせて欲しいって言ってんの
ごめん!ウチの所は強引でさ!
これから付き合ってくんない?」
「強引なのはアンタ見てりゃわかるけど‥‥
皆んなで行っていいの?」
シンが言った強引のあたりで頭に?が出ていたアヤノだが気にせずに続ける
「うん、全員を連れてこいって言ってたから」
シンはアヤノの両親が向かった方向へと歩き出しながら呟く
「ご飯って、なんだろう?」
エルとヒル、ルカはシンと一緒に歩き出し
「初めてなの!楽しみ!」
ルカは笑顔で言う
「あはは‥なんだろうね」
「ホント‥楽しみ〜」
少し棒読みだが、笑顔のエルとヒルはシンに話しかける
その後ろの方でリンはアヤノに話しかける
「大丈夫ですの?ここの近くのっていうと」
「やっぱあそこだよね
食べたいとは思ってたけどいいの?ホントに?」
カヤは口元からヨダレが出そうな感じでグフフっと緩みながら、アヤノに確認する
「昨日爺ちゃんと婆ちゃんに泣きついたら
なんか速攻で決まった」
「じゃあ食べたいときはアヤノを泣かせばいいのね」
ポーはアヤノを見て舌なめずりをしながら、お腹をさすりながら話す
サリとウイは何かを考えるように黙っていたが
「私達は‥‥」
「いいの?本当に?」
「大丈夫!ちゃんと言ってあるし
連れてこいって言ってたから大丈夫だよ」
アヤノは思い悩む2人に話しかけて
シンの歩いていく方向へと2人の背中を押して歩き出した




