表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/72

61話 さそわれて

付き合って


シンは短い期間で

2回も言われた


1回目は寮で起きて洗面所に行く為に

ドアを開けるとクナがいた


「付き合って!シン先輩!」


尻尾をブンブンと振り回すクナが元気よく言う


新入生として寮に入ったクナは

最初はシンと違う棟だったのだが

どうやったのか

シンが入っているH棟に引っ越してきた


そのクナが朝も早くからシンを迎えにきた

何事かとシンが聞くと

クナは元気よく散歩と答えた

ランニングに行くからと断ったが

ついて行くとクナは元気よく答えた


その日

新入生歓迎会の次の日に

シンは地獄を味わった


クナが喜んで走るのを見ながら

自分のペースで走るシン

いつもの所で折り返そうとすると

悲しそうに見てくるクナに

わかったわよとシンが言うと

クナが喜んで走り出した


クナが満足して

シンが限界に達したのは

開法学院の広すぎる敷地を

昼前までかかって2周した時だった

息も絶え絶えなシンに

クナは明るく話しかける


「明日も行きますよね!シン先輩!」

「行くわけ‥‥ない‥‥でしょうが」

「ええ‥‥

でも!シン先輩と一緒が楽しいです!」

「見た目と違って‥‥脳筋って‥‥

明日からはいつも通りの距離しか

走らないからね!わかってんの!

それが嫌なら」

「嫌じゃないです!言う事を聞きます!

だから‥‥一緒がいいです!」


シンの言う事にうんうんと頷きながら

最後はブンブンと尻尾を振り回したクナが

シンに抱きつく



「っていうことがあったのよ」


寮の屋上でルカ達が作ってくれた

昼ご飯を食べながらシンが話した

話を聞いていた周りの反応は

一瞬動きを止めるも

すぐにシンの前にオカズを

たくさん持っていったりと

違和感がないように動く


「いい?クナ

私は人族なのよ、アンタらとは違うんだから

これから一緒に走るとしても

いつも通りのランニングしかしないからね」

「はい!理解しました!

だから‥‥シンせんぱぁ〜んッ!ンッ!

ンッ〜〜!ンッ!ンクッ!

美味しいです!ルカ先輩!」


シンはクナに言い聞かせながら

ア〜ンと開けてくるクナの口に

唐揚げを放り込む


さっきから肉系統を箸でつまむと

クナがおねだりしてくるので

周りに食べさせてもいいかを確認してから

シンはクナの口の前に

オカズを持っていく


クナがバクっと食いついたり

口に放り込んだオカズを

モグモグとしているのを

呆れたように見ながら

シンはみんなと喋りながら

ご飯を食べる



「ねぇ‥‥シン」


ご飯を食べ終わって

ゆっくりと片付けをしている時に

ウイがシンに話しかける


「どうしたん?」

「付き合って」

「今さっきの‥‥

わかったわよ」


ウイがシンを見つめながら

真剣に言ってくるので

シンはクナの話を出そうとしたが

ウイの真剣さに了承する


「で?どこに?付き合えばいいのよ」



「ふざけんなってのよ!」


シンは上空4000メートルで叫んでいた



明日から新学年の新学期という時に

ウイに飛行場へと連れられていた

付き合うと言ったからにはしょうがないと

言いながらもシンはウキウキしていた

空港も初めてだし

飛行機を間近で見るというのも初めてだった


ウイの親が運転する車で

ポー、アヤノ、ウイと一緒に

空港を目指した

1時間程して見えてきた空港は

シンが想像していた空港とは違い

飛行場という所だった


大型の飛行機は準備しているものの

滑走路は一本だけで

ジャンボ機や大きな管制塔も無い

周りも空き地だらけの場所だった


それでも飛行機の近くに車が止められて

車から降りた時はシンは興奮していた


デカい音が鳴り

今から飛び出す準備をしている飛行機

間近で見るとお腹まで響く音

見た事はない機体

そこに書かれている文字


ゴー!ゴー!スカイダイビング!


シンは降りてきた車の方を向くと

もう一台車が止まっており

そこから完全武装された

アヤノの母親、ウイの母親、ルカの祖母が

現れた


「〜ーーー!〜〜〜〜!」


シンは叫んでみるも

自分で言った声すら聞こえない程に

飛行機の音がうるさかった


シンは乗ってきた車の方に

歩いて行こうとした時に

優しく両肩に手を置かれて

動きを封じられる


シンが振り向くと

アヤノの父親とウイの父親が

ヘルメットを被りグラサンをかけて

何かそういった映画とかでよく見る

パイロットみたいな格好をしていた


ウイの父親が何かを喋るように口を動かすと

シンは周りの雑音が消えて

周りの声がハッキリと聞こえてきた


「聞こえる?シンちゃん!」

「はい!

あー‥‥聞こえます」


シンはアヤノの母親へ

思わず怒鳴ってしまったので

声の大きさを調節しながら喋る


「色々と聞きたいこともあると思うけど

とりあえず行くわよ」

「断る権利と叶える義務いうものは

存在しますか?」


ウイの母親が笑顔で手を叩くと

シンは飛行機の音で周りの声が聞こえなくなる


「〜〜〜〜!?ーーーーーー!!」

「え〜?なに?聞こえないわよ」

「〜ーー〜?ーーーーー!

ーーーーーーーーー!」


叫んで暴れているシンを

ウイの母親が肩に担つぐと

周りにいた人と一緒に

飛行機に乗り込んでいった



飛行機が発進して

少し経った時にシンは周りの声が

聞こえるようにしてもらう


飛行機の中はシンが想像したような

ゆったりとした客席とかは無く

壁面にベンチのような椅子があり

何人か並んで座っていた

そういう映画で見た事がある風景だった


「話が急すぎて

訳がわからないんですが」

「‥‥話してないの?」


シンの疑問にウイの母親が

ウイの方を見ると

頷いて申し訳なさそうに

シンを見るウイがいた


「まったくもう本当に‥‥

ちゃんと自分で言いなさい」

「うん‥‥わかった」


ウイの母親はウイの頭を撫でながら

娘を励ますように言う

ウイは何かを決心したように

シンの方を向いて話そうとした時に

スピーカーからの声が飛行機内に響いた


〔本日はピクシーエアラインに

ご搭乗頂きあり‥‥

あ!やべ!間違えた!

いつもの癖でやっちまった!〕

〔駄目だよ

大切な初対面‥‥違うかな

初語りになるんだから〕

〔そうなるか

いや〜〜すまない

シンちゃん!初めまして

今日は俺‥‥サリの父親と〕

〔初めましてだね

リンの父親が操縦する飛行機に

ご搭乗頂きありがとうございます〕


スピーカーから楽しげな笑い声と共に

男性2人

サリの父親とリンの父親の声が

飛行機内に響いた


〔普段は色々な所を飛び回っているから

なかなか時間を作れなかったんだ

今回はこんな形にはなったけど

テストに付き合って飛んだ後で

体調とか色々と無事だったら

食事でもしてゆっくりと話したいね〕

〔そうだな!

シンちゃんに会うのは楽しみにしていたんだ

サリからも聞いていたし

家内からも聞いている

この後に行うリハビリの‥‥

あ?え?言ってない?

あれ?ネタバレした?ウソだろ!おい!〕

〔あれ?本当かい?

本当に何にも知らないで乗ってるのかい?

これは本当にマズイね‥‥

リンに怒られるかもしれない

‥‥ちょっと誤魔化してくれよ〕


スピーカーの向こうでは

焦り出したリンの父親とサリの父親が

マイクを誰かに押し付けているような

ノイズ音がザリザリと流れる


〔う‥‥あ〜と‥‥

いしやぁぁきぃぃも!

いしやきぃぃぃもぉぉぉ!〕

〔俺もか‥‥さおぉぉぉぉぉだけぇぇぇ!

さおぉだけぇぇぇぇ!〕


スピーカーの向こうからは

盛大な笑い声と共に

どこかで聞いたような言葉が聞こえてきた


アヤノの母親とウイの母親は

ガタッと勢いよく椅子から立つと

操縦席の方へとズカズカと歩いていった


スピーカーから怒鳴る声と謝る声が

混ぜこぜに流れてきて

飛行機が左右に揺れる

シンはスピーカーに向かって叫んだ


「ふざけんなってのよ!」


飛行機は上空4000メートルに達していた


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ