表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/72

57話 苦い思い出は特別

2月のある日

シンは部活が終わった後に

1人で駅の方へと歩いていた


この時期は

日が暮れたら寒くなる為に

出掛けたくなかったが

駅前にある文具店に用があった為に

テクテクと歩いていた


開法学院から駅までの道は

街灯がたくさんあり

明るくなっていたので

シンはたまにではあるが

この時間にコンビニとかに行っていた


なので、文具店に寄った後に

なんとなくコンビニに寄って

誘惑に負けて肉まんを買った


コンビニを出て

肉まんをすぐに食べて

ゴミはコンビニのゴミ箱に捨てれば

バレないよねとシンは思いながら

コンビニを出ると

アヤノ、サリがいた


「どうしたん?2人とも」


シンは咄嗟に

コンビニの袋を背中に隠して

2人に話しかけた


「シンもどうしたん?」

「私達は買い物だけど‥‥

シンは何を買ったの?」


アヤノは大きな袋を持ってシンに話しかけ

サリはシンの後ろを覗き込みながら言う


「別にって!‥‥これはね‥‥あの」


シンは後ろに隠した袋の中身を

見られたと思って取り繕うとすると


「まぁ‥‥別にいいけどね」

「今日は見なかった事にするわ」


アヤノ、サリがやれやれって感じで

シンに言うと

シンは許されたと思い

肉まんを取り出して食べ始める


「2人は何を買ってたん?」

「この時期になると女の子ならね」

「そうそう

準備しておかないとね」


シンの疑問にアヤノ、サリが答えると

シンはなるほどっと思い当たる


「チョコ?作るの?」


アヤノ、サリはシンに向かって頷いてから

開法学院に向かって歩き出す

シンは肉まんを食べ終えて

ゴミをコンビニのゴミ箱に突っ込んでから

2人を追いかける


「学校で作るの?」

「みんなで作ろうって話になってさ」

「今日も寮に泊まるって話をしてあるから」


シン達は何気ない会話を続けながら

開法学院へと並んで歩いていく


歩みが乱れたのは

シンの何気ない言葉だった


「アネェ達もファミリーを決めたのって

このぐらいだったし‥‥

私もチョコとか渡す相手を探そうかなぁ」


アヤノ、サリはゆっくりと歩みを止める


「は?‥‥何言ってんの?シン」

「正気?シン」


シンは立ち止まった2人を

振り返って驚いた

アヤノは角が生えてるし

サリは体全体が薄く緑に光っていた


「いや‥‥失礼だし‥‥

それにこんなとこで何?どうしたん?」


シンは2人の様子が

いきなり変わった事に動揺した

なんか怒ってる?

違うかな?お腹空いたとか?

とかを軽く考えながら

シンは無言で見てくる2人に


「まぁ‥‥寮の食堂で

ご飯食べてから作るんでしょ

私も混ぜて‥‥‥何?何!なに!」

「いいから!」

「みんなに言うから!」


シンが喋っている最中に

シンの右腕をアヤノが

左腕をサリが掴んで

宙に浮いたシンを運んでいく


「いや!言わないで!

見逃すって言ってたのに!ヤダヤダ!

買い食いまで

禁止されんのなんて嫌よ!」


アヤノ、サリはシンの叫びを無視して

段々と加速しながら開法学院の寮に

シンを運んで行った



シンはどうしたらいいのか

自分の部屋で椅子にもたれながら

本気で悩んでいた


アヤノ、サリに寮に連行された後に

ポー、カヤには怒られるし

リン、ウイにはお仕置きされるし

ルカ、エル、ヒルに至っては

チョコを渡す事の意味を説明された


最後に全員から

当日は誰に渡すのか

楽しみだから教えてねと

全員が種族特性を全開にした姿で

シンは壁に追い詰められながら

言われた


シンがいる進学科は女ばかり

男は普通科とスポーツ科にしかいない

人数もそんなに多くないはないが

シンは接点が無いので

名前も顔も知らない

上級生も同じだ


そんなのに

いきなりチョコを持っていったら

どうなるのか

相手が重く受け止めてしまって

ファミリーに入ってくれ

なんて言われたらどうしよう

ましてや顔も名前も知らない人に


話が飛躍しすぎかもしれないが

シンとしては兄と姉達を見てきたので

恋愛という物に憧れもある


兄は父親の連れ子で

姉達は母親の連れ子だったので

3人の馴れ初めを小さい頃から見ていた


よそよそしくしながらも

お互いに意識し始めて

気持ちを伝えあって

ファミリーに入る前に

私の前でイチャイチャし始めて

それで私の部屋で‥‥

でもそれがバレーを始めるキッカケに‥‥


シンは考えていると

段々とイラついてきたが

その後の事を考えると

良い事も悪い事もあったかな

と思い返す事ができた


‥‥いや‥‥待て‥‥

良い事の方が少ないような気がする

‥‥でもまぁ‥‥そんなもんか

とシンは思い直す


母親からとか姉達からも

チョコは貰っていたし

兄から物は安かったけども

チョコを貰った事もある


そう考えると

恋愛とかを考える前に

感謝とか親愛の方で

送るのもアリなんじゃないかと

考え始めていた



バレンタインの日に

壮大な追いかけっこがあった


始まりは中学1年の進学科で

人族の子がチョコを全員に

配り始めた事だったらしい


経緯はわからないが

中学2年で有名な

バレー部新主将と

剣道部新主将の2人が加わって

合計で9人の子達が

人族の子を追い回した


人族の子は原種相手に

校舎内を上手く逃げ回った為に

周りから歓声や応援する声が大きくなり

大きな騒ぎになり始めた


あまりの騒ぎに教頭が

とある寮の寮長と

保健室の主に鎮静化を依頼した


影すら見えない動きで

襲いかかるホウキ二刀の寮長と

影から変則的な動きで

襲いかかる紅い眼の保健室の主に

騒ぎはすぐに鎮静化された


騒いでいた生徒達も

楽しそうにしながら

グッタリとしている10人を

担いだり引きずったりして

教頭室へと歩く2人を見て

静かになり

手を合わせ始めて

10人の無事を祈った



教頭室で行われた

聞き取りの記録より抜粋


〔なんで!別に良いじゃない!

特別って何よ!

友達全員にあげただけじゃない!〕

〔わかってないよ!

特別な手作りのお返しがこんなんで!

みんなと一緒なんて!〕

〔シンが悪いの!〕

〔私達は‥‥〕


しばらく不毛な言い合い


〔わかったわよ

来年ね‥‥来年〕

〔来年までずっと〕

〔そう!来年まで

ずっと特別な扱いにするんですのよ!〕

〔来年が駄目なら再来年までになるから〕

〔その先も〕

〔わかった?〕

〔シンが悪いんだからね〕

〔いい?約束なの〕

〔ホントにわかった?〕

〔絶対だからね〕

〔アンタらは怒られてんのに〕

〔元気なのはいいけど

また強制的に元気じゃなくすわよ〕

〔理不尽よ‥‥イタッ!〕



バレンタインデーの次の日

早朝と放課後のまだまだ寒い中を

10人が黙々と

偶に騒いで‥‥騒ぎすぎて

鎮圧‥‥弾圧されながら

開法学院の正門と寮の周りを清掃していた


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ