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55話 仲良しの先にあるもの

こんな事になるなんて思わなかったと

ルカの母親は思う


昔も今も

かなわなかったお父さんとお母さんから

狩りの手助けをして欲しいと

依頼というかお願いをされた


初めての事だった

狩りの仕方なら

多種多様に持っている2人からの要請


相手は確かに化け物級だが

なんて事はないと思ったし

獲物からは挑発とも取れる行動をされた


狩れるという確信で

また挑発に対する威嚇で放った1撃を

いとも簡単にかわされた


その後は逃げの一手

色々と縄張りを変えていたが

広範囲にグルグルと回り続けている


それもわかっているのに

捉えられない


お母さんから

エサを準備してみるかと言われ

そんな方法もあったのかと感心するが

一族の者では挑発の際に

神聖なる狩りを

コケにするような挑発に耐えきれずに

手を出してしまい

結局は駄目だった


「孫達を狩りに参加させてみてはどうか」


お母さんを本気で睨んだと思うが

自分達では

どうにもならなくなっていたのは事実だった


お父さんは悩んでいたが

次の発言で反対しだす


「シンちゃんをエサにしたい」


ありえないと思った

なんでそこまでやる必要がある

もういいじゃないかと言っても

お母さんは曲げなかった

お父さんの反対には


「一族とか狩りとかに

プライドがあったら

アレには耐えられない

止める奴が必要だ」


その後に私と旦那の肩を叩いて


「頼んだよ」


とだけ言った



ルカ達に獲物が食いついた

お母さんの予想通りに動いている

位置がかなりズレていたのも

今はコチラの船の方に修正しながら

向かっている


勝てるという確信と

抵抗のない相手だと思い

獲物が油断して

加減なく捕食しようとした瞬間を狙う


「外すなよ!」


旦那が言うが


「誰に言ってんだ!」


笑いながら返してしまった


自分達が出来なかった

それこそ完璧と言ってもいいぐらいの

お膳立てはやってもらった

かなわなかった尊敬している人に任された


熱くならない理由が無い



ルカ達がコチラに向かって

真っ直ぐに加速したのがわかったので

旦那と2人して

海に頭から飛び込んで加速する


ルカ達に決めていた言葉を伝えて

迫り来る巨体に

鬱憤と怒りとやるせなさを混ぜ込んだものを

全開にして打ち込んでやった!


気持ちよかった!

全てが報われたような

全てが思い通りにいって

モヤモヤが吹き飛んだ!


旦那もそうだったみたいだが

相手はそれでも辛うじて生きていたので

神社の双子に凍らしてもらう


ついでに襲ってきたヤツらを

3匹狩って終わりにする


船に上がると

ルカ達はシャワーを浴びて

布団に倒れ込んだ

疲れたのかと聞くと携帯を見せてきて

初詣のやり直しをする日が

急遽決まったので

寝かせて欲しいと言われたので

獲物の後始末に向かう


後始末が一段落して

寝ている娘や友達を見る

ふふっ!お疲れさま!


港に着いてから

ルカと神社の双子に色々と聞いたんだけど

お母さんの言う事は的を得ていた


挑発に乗りかけた時

感情的になっていた時に

シンちゃんが自分達の役割を

思い出させてくれたという


正直に言って

ルカには期待して

過剰に教育した部分もあり

私の分身みたいな性格になってしまった


そんな子が

気に入った子がいる

TSを起こせないかと聞いてきた


私達が

その子を見てみたいと言ったら

動画を送られてきた上で

そのうちバレーの全国大会があるから

見てほしいと言われた


去年の夏

バレーの全国大会に合わせて

家族が全員揃ったら

旧友とも再会した

なんでもこのメンバーの娘達が

全員シンちゃんにお熱らしい


原種が他種族と

ファミリーを築いた話は

あんまり聞かない


相性があるのか

はたまた遺伝的な何かかわからないが

子供ができにくいことが多いので

子供ができるできないでモメる事が多い


良いイメージはないが

TSが起きなければ関係ないかと

軽く考えていたが

お父さんとお母さんが

バレー大会の後から真剣に悩み出した


私だって悩んだけど

ルカの陣営に

お父さんとお母さんが加わるし

旦那まで加わろうとしてる


ファンクラブか

何か知らないけど

ルカに言われたからと

旦那はファンクラブに入って

色々とやっていた


それに

私としては今回の狩りで

反対する理由がなくなった気がする


ルカがシンちゃんに

一族をコケにされた気がして

怒ったと言っていた事も

お母さんは笑っていた


私だったら

もっとこき下ろしていただろうさって

それとよくあんな場で言えたもんだよとも


ルカが

今回のことは気が張っていて

シンちゃんに悪い事したと

ウジウジしていたら

お父さんが携帯を通話で繋げたまんまにして

話してきてやるって

シンちゃんを釣りに誘ったので

船のベッドがある部屋で

2人の会話を聞く事にした



〔よっと〕

〔だいぶ飛んでいくわよ〕

〔あそこらへんにいいとこがあるんだぜ!〕

〔美味しそうなのいる?〕

〔ああ!うめぇぞ!〕

〔‥‥‥‥〕

〔どうした?〕

〔今日は死ぬかと思った〕

〔話はきいたぜ

シンちゃん大活躍だったてな〕

〔あの3人に混ぜたのはワザと?〕

〔‥‥スルドイねぇ〜

そういう所も含めて

そっくりに見えてくるから不思議だぜ〕

〔普通にエサでよかったんですけど〕

〔そう言うなって

楽しかったろ!狩りはよ!〕

〔何度も言うけど

人族は水の中では無力なのよ〕

〔だからよ‥‥

わかる事もあると思ってよ!

ついて行ってもらったわけよ〕

〔まだ頭と胸あたりがぼやっとする〕

〔濃いのを飲んじまってるからな〕

〔‥‥‥〕

〔そんな睨むなって!〕

〔まだ待つの?〕

〔せっかちだな!釣りってのは‥‥〕

〔聞きたい事があるんですよね〕

〔あぁっと‥‥まぁ‥‥なんだ‥‥

ルカちゃんがよ

気にしてるってよ〕

〔別にいいんだけど〕

〔‥‥‥〕

〔怒らすのはわかってたけど

ああ言わないと‥‥

ああしないと戻ってこないでしょ‥‥

やりたくはなかったけどさ〕

〔望んだ答えじゃなかったらどうする?〕

〔最悪は‥‥

私がエサになれば

みんなが来てくれたでしょ〕

〔怖い事を言うもんじゃないぜ〕

〔相手も命をかけてやってるなら

まぁそんなもんよね‥‥おそらく‥‥

わかんないけど〕

〔‥‥アッサリしてんな〕

〔それで守れるなら

コレも最適解でしょ〕

〔まぁそうだけどよ‥‥でもなぁ〕

〔アイツらは察しがいいから

そこに賭けたのよ

実際すぐわかってくれたし〕

〔信頼ってヤツか〕

〔長年の付き合いって

ヤツじゃないのかな〕

〔もうそんなになるのか〕

〔腐れ縁までは‥‥いってないと思うけど〕

〔ハハハッ!そうか!

じゃあ、まだまだだな!〕

〔腐ればいいの?〕

〔熟してわかる味もある

今日獲ったブリで教えてやろう

アレはうめぇぞ!〕

〔いつ頃?〕

〔通常は数日だが

俺が好きなのは半月後だな〕

〔腐ってないの?〕

〔やり方と見極めが大事だが‥‥〕

〔なによ?〕

〔最適解はその時に決めるってヤツだ!〕

〔美味しかったら‥‥なんでもいいや〕

〔ハハハッ!って!うおっ!引いとるわ!〕

〔はぁ!なにコレ引くの?巻くの?

どうすんの!〕



ルカと神社の双子は

ダッシュで釣竿を抑えている

2人の元へ向かっていく


「どうした?」


旦那が

横から顔を覗き込みながら聞いてくる


「ルカが惹かれたのもわかる気がする」

「惚れたのか?シンちゃんに?」


そう言ってニヤつく旦那に


「はぁ〜‥‥

愛情と尊敬の区別はつけてます」


言いながら

旦那に腕を絡めて

肩に頭を乗せてやる


「ならいい」


照れると旦那はこうなる

少し赤くなって言葉少なめに

肯定の返事ばかりしてくれる


遠目に見えるけど大きな獲物みたいだ

お父さんは4人の後ろで

海に落ちないように

釣竿を支える4人を見ている


獲物を上げるまで少しかかるだろうから

ご飯屋さんがオープンするだろう

まぁ、あの獲物は初詣に行く所で

昼飯にでもすればいいんじゃない?

私達も奉納するから

ついでに届けてあげる


「こんな所まで持ってくるのは

どうかなぁと思ったし

最初見た時は

これってどうかなぁとは

思ってたんだけど‥‥

原種を殴るくらいだから

存外に的を得てるかもね」

「ルカのお気に入りだ」


ベッドの上にある

デストロイヤーサソリちゃんの頭を

ツンツンしながら言うと

旦那は少し赤くなって横を向く


「ふぅ〜ん

人気投票一位タイだったんですってね

元手芸部部長の本気ってヤツかしら」

「お前達以外に本気は出さねぇよ」


少しだけモヤっとしたので

おちょくってると

旦那にカウンターをくらって

自分でもわかるくらいに

顔を赤くしてしまった


むっ〜!

旦那の肩に頭突きをして

グリグリしながら聞く


「で‥‥でも

アレはルカの物になったんだよね」

「お前にも考えてある

2人は一位タイなんだ

俺の中ではな

わかるだろうがよ」

「‥‥‥うん」


なんかムカつくけど

肯定の言葉が出てしまう


「いやね‥‥

悪いんだけど‥‥

手伝いに来れるかい?」

「お母さん!」


いつからと聞く前に

お母さんは言うだけ言って

サッと部屋の入り口から

姿を消す


「こりゃあ!

ひ孫が早いか!もう1人の孫が早いか!

わかったもんじゃないね!」

「ちょっ!ママぁ!」



辺りは明るくなり

日が昇る前の寒い時間に

熱くなって叫びながら

追いかけっこをしている女性2人が

港に来ている人達を驚かした


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