48話 こういった事もある
開法学院文化祭は
門で事前に登録した身分証明書等と
本人確認が出来れば入れるようになっており
セキュリティーは
卒業生達の有志が行っている
今年の文化祭は
とある寮の寮長が
卒業生達や同級生に突撃を受けたり
自分達の世代では出来なかった
全国制覇をしてくれたと
バレー部OB達が盛り上がったりして
朝から大盛況であった
そんな中を門まで歩く3人組に
皆の視線が集まっていた
道の真ん中を歩くのは
最近二つ名を取った
バレー部全国制覇の立役者
そんな人族の子の髪型は
代名詞である二つ名に倣う様に
太い尻尾に見立て仕上げられている
髪先の方には針の様な飾りがある
それを少し揺らしながらゆっくり歩いている
衣装は光沢のある素材で仕立て
太陽の光に怪しく黒光っている
顔には髪の先まで続くヴェールを被り
ときおり笑顔を見せながら
足首まであるスカートを揺らし
ブーツで門に向かっていく
両サイドには似たよう服を着た2人がいた
白を基調としているが
所々に黒い斑点がある服を着た2人が
プラカードを1枚ずつ持って笑顔で歩いていく
〔1年進学科にて
さそりちゃん展示会〕
〔私達は姉妹で宣伝中!〕
2枚のプラカードには、そう書かれており
歓声や写真いいですかの声に
手を振って応えている
3人とも化粧は薄くして
笑顔を振りまいて歩く姿は三姉妹と言えた
そうやって
門から出て行き三姉妹は
どこかへ行ってしまう
興味のある人が展示会に行くと
三姉妹を教室や廊下で撮った写真も
並べられており
蠍ちゃんと蜂のぬいぐるみも相まって
人々の目を和ませた
「どこまでついてくる気よ」
「今日はずっと一緒だよ〜」
「誰かと会うのかな?」
門を出た所で
バスを待ってると
姉達はシンのそばを離れずに
一緒にバスに乗って、駅にまでついてきた
シンはカヤに言われた喫茶店に着き
店内に入ると
「シン様ですね
お待ちしておりました
コチラへどうぞ」
店員に案内される
シン達以外に客は誰もおらず
店内奥の座敷に案内される
「失礼します
シン様とお連れの方が来られました」
「ありがとう」
やり取りを済ませて
店員は入り口の方に戻っていくので
入れ替わりでシン達が座敷にいる人を見ると
「「「可愛い!!!」」」
3人いたが
3人とも同じ言葉を叫んできたので
シンはビクッとなる
「今日はお招き頂き
ありがとうございます」
アキが言い、サキと共に頭を下げる
つられてシンも頭を下げて
あげる時には半眼になって姉達を睨んでいた
「なんで?」
「観念した方がいいよ、妹よ」
「お察しの通りだよ、妹よ」
アキ、サキに言われて
シンは、うぐっと言う顔をするが
お小遣い、お小遣い、ご飯ご飯ご飯と
気分を落ち着かせて
「初めましてでいいでしょうか?」
「あ〜‥‥ごめんなさい、驚かせたよね」
スーツ姿の女性は姿勢を正し
微笑みながらシンを見ると
かわっ!と小声で言う
「あの子が見せたくないって言うはずだよ〜」
「あっ!どうぞどうぞ
コッチに座って〜」
座敷には似た様な格好をした2人がいて
ラフな格好の女性がシンを見ながら
ヘラっと笑いながら
ラフな格好でメガネをかけた女性が
シン達に席をすすめる
シン達はブーツを脱いで座敷に上がって
店員が来たので適当に注文を済ます
「改めまして、初めましてになります
ウチのカヤがお世話になっています
カヤの母親と姉2人になります」
スーツ姿の女性が挨拶をすると
シンは原種なんだなと思いながら
「シン・フジムラと言います」
「アキと言います」
「サキと言います」
お互いに全員が頭を下げ合う
「ごめんなさいね
いきなり本題なんだけど
ウチの会社CMで蠍ちゃんを使いたくて
夏頃にそちらの母親に連絡させてもらったの」
スーツ姿の女性は簡単に
ここまでの経緯を話し出す
「でねぇ〜、蠍ちゃんを
CMに出したら色々な人から
何アレ?って
問い合わせが関係者から多数あって
色々と動画を見せたのよね」
シンは今までの動画?って感じでいると
「コレ!スゴかったよ!」
「なんか実物見るとね
ホントに?って思うけど」
ラフな格好の女性が
大きめなタブレットで動画を見せて
メガネの女性はシンを見て微笑んで言うが
シンはタブレットに映し出されている動画を
ジッと見ていた
「コレは‥‥何よ‥‥」
店員が注文したものを持ってきてくれたので
アキ、サキは配りながら
シンと一緒に動画を見る
前にシンは自分の動画が
色々な所に上げられているのは
ルカ、サリ、ウイから見せられていたが
何度か見ただけで
自分の姿を何度か見て
興味が無くなったと言うと
ルカ、サリ、ウイは
そうなんだ
じゃあいいか程度の話だった
動画は何十種類もあり
シンの小学生の全国大会から
最近までのヤツが加工されて上げられている
前の全国大会での試合も
加工とかエフェクトとか効果音を入れたヤツ
構えた瞬間を蠍の姿比較とか
賞状を貰う時のヤツも加工されまくっている
なんで叩かれたら
体育館や地球が爆発すんのよとかを
シンが思っていると
「知らなかったの?
元の動画がココに上げられているから」
「面白おかしくして
加工しまくってんのよ」
アキ、サキが
動画の引用元となるチャンネルへと移動すると
高画質で撮られたであろう動画が並んでおり
動画を転載する場合は
ココをクリックって場所もある
「ココをクリックすると
100円の使用料を投げる事になって
1回の転載許可が出るよ」
「動画さえダウンロードしたら
何回でも勝手に転載できるんだけど
何度もクリックする人が多いみたい」
ラフな格好の女性とメガネの女性は
ニコニコしながら
お賽銭感覚が多いよね!っと言う
チャンネル名は
〔蠍のアッツい幹部〕といたので
シンはルカにメッセージを送ると
〔バレた〕
〔メンゴ(シャチのごめんスタンプ)〕
悪気ゼロの返信がすぐにきた
「こんな感じで盛り上がってて
グッズが欲しいって人も結構いるんだけど
ファンクラブでしか買えなくてね」
スーツ姿の女性は
少し魂が抜けかかっているシンに話す
「でね〜、グッズが欲しいって人達が
いっぱいいたから
スポンサーになって
グッズを作ってみようかって
話になった時にカヤの写真で
シンちゃんがいるってわかってさ」
「ファンクラブに直接問い合わせたら
会社と本人の契約だったら
良いってなったのよね〜」
シンは頭を振って、魂を戻しながら
ラフな格好の女性と
メガネの女性の話を聞いていくが
どこまで話がいってるんだと考えていると
「お母さんがね
後でシンが聞いてないって
怒るのがメンドーだから
一緒に話をまとめてきてって
言われてきちゃいました!」
「ました!」
アキ、サキはおどけて言うと
シンは真剣な混乱を味わっていたが
認めればいいんじゃない
後は関係ないしという考えが浮かんできて
「許可すればいいんでしょうか?」
「いいの?
注文を受けてくれるお店も決まっているから
ありがたいわぁ!」
「注文?お店?」
「ところでシンちゃんは
今の格好どう思う?」
スーツ姿の女性は会話の流れを無視して
シンを優しく見ながら質問してくる
「どうとは?」
「たぶんなんだけど‥‥
三姉妹の蠍をイメージして作ったんでしょうね
大雑把に言うと
デザインとか作りとかの話になるかな」
シンは自分達の格好かぁと姉達を見る
そんな姿を見ながら
スーツ姿の女性は微笑みながら続ける
「グッズを作ってくださるお店は
決まっているから
何点かデザインを出してみる時に
その服をデザインとかをしてくれた人も
どうかなぁって思ってね」
「それを私に聞くの?」
シンはう〜んと天井を見る
「それって
私が答えたら駄目とかになるの?」
「あくまでも参考」
ラフな格好の女性が答える
「重たく考えないでね
なんとなく聞いてるだけだからさ」
メガネの女性は微笑みながら聞く
「この人がやってくれるなら
蠍三姉妹とか出して欲しいかなぁ」
シンはそこまで言うと
姉達を見て
「たぶんだけどさ
この人も自分の姉妹?かな‥‥
わかんないけど
大好きだと思うから‥‥
こんな綺麗に仕上げてくれてるし」
アキ、サキがシンに抱きついて
「シンは大好きだもんね私を」
「私の事は、その倍は大好きよね」
「離せ!」
抱きつかれたシンは姉達の腕の中で
もがくが、言われた事を否定はしない
そんな妹を見てアキとサキは笑い
それを見てシンは笑う
スーツ姿の女性はそんな光景を見て
懐かしむような、羨ましいような目になるが
「それじゃあ、シンちゃん
呼びつけといて悪いんだけど
今日はコレでお開きで良いかしら」
「あっ‥‥ハイ?」
シンはスーツ姿の女性に返事しようと
姉達から視線を
ラフな格好の女性とメガネの女性に向けると
2人とも机に突っ伏して動かなくなっていた
「ごめんなさい
このまま行ってくれるかしら
そちらのお母さんと書類等の手続きは
進めておくから」
シン達は頭を下げてご馳走様でしたと言い
ブーツを履いて、この後なんか食べる?とか
言いながら店を出て行った
3人が出て行った後に
突っ伏していた2人は動き出し
四つん這いで、高速ハイハイをしながら
シンが座っていた場所の後ろ側の襖を開ける
そこには向こうを向いて丸くなっている
2人の妹がいた




