41話 魔女達の覚悟
8月終わりの珍しく涼しい夜に
シン以外が寮の屋上に集まっていた
アヤノ、リン、カヤ、ポー
エル、ヒル、ウイ、サリ、ルカは
敷物を敷いて円状に座り
真ん中にはお菓子やジュースを置いている
シンが中学生に上がってから
こういうシン抜きの集まりは初めてだった
別に緊張とかはしていない
ただ言いたい事があるし
おそらくは皆が考えている事だった
始めてしまえば止まらなくなる
本当にいいのかもわからない
そんな気持ちがある為に
発言しないでいた
「TSって難しいかなぁ」
カヤがポツリと言った
別に無言でいた訳でも
盛り上がっていた訳でもなかったが
誰もが話しかった言葉だった
「どうなんでしょうね」
正直なところこの言葉につきるといった感じで
ウイが答える
「「やりたい」」
「やれるなら」
エル、ヒルが自分の手を見ながら
ルカはカヤを真っ直ぐに見て言う
「全員がそうって事なんですの?」
リンが皆を順に見ると無言て全員が頷く
「狙ってやれるもんかな、アレって」
ポーがなんか考えているアヤノとサリを見る
「まぁ、色々と共通点はあるみたい」
「と言っても、信憑性は低いわよ」
アヤノは、ん〜としながら
サリは携帯を見ながら話す
「でもさ‥‥」
「そうね」
エルが言うとウイがなんとなく同意する
「たしか、タイムリミットみたいなのが
なかったっけ?」
カヤがお菓子を食べて言う
「15才あたりが最後ですのよね?人族は?」
「14才でもなかなか記録が無くて」
「15才以降になると全く無くなってたの」
リンが周りに確認すると
エル、ヒルが答える
「今年から来年」
ルカが言うと
ポーが咥えていたお菓子を食べて
「再来年は無しか
なんとかならないのかな」
少し静かになり
お菓子を食べる音が聞こえる
「やるならさ、なんとしてでもやりたい」
「わかってるわよ
だからこうして話してるのよ」
アヤノが言って
サリが溜息を吐いて
睨んくるアヤノに、何よって付け加える
「しかし、色々と調べてるわよね」
ウイがん〜と伸びをして羽根を出す
「そりゃまぁ、そうでしょ
キッカケは、ホラ!なんであれさ」
カヤがポーを見ながら言う
「しょうがないじゃない
たぶんもうこれは無理なので
最悪はシンと同じファミリーに入る事になる」
皆がお〜と言うとポーは全員を見る
皆が少し力を解放して
それぞれの種族の特徴が出ていた
「ばあちゃんに言われたんだよね
私達が夢中になるってそう言う事だってね
‥‥言われたんよ〜」
ポーは言いながらヨロヨロと歩いて
ウイに抱きつく
「ちょっとやめてよ」
「慰めてくれてもいいじゃないの〜」
ウイがポーを引き剥がそうと
手で押しているが上手くいかない
「皆、調べて行動を起こしてたってワケ?」
アヤノは周りを見ると全員が頷いた
「私達も引くに」
「引けないの」
「「そして餌付けは、もうすぐ完了」」
エル、ヒルがフンスッと気合いを入れて言う
サリは携帯をエル、ヒルに見せて
「もしかしたら、コレを全部やる気?」
携帯の画面には
TSが起こった共通点〔人族編〕と
映し出されている
「皆もやってるでしょ」
ルカが言うと
皆が、え〜いやとか、まぁそのとか答える
「運の要素も強いけど、もし起こせたら」
「そうですわね」
カヤが頭をカシカシとかきながら
言いにくそうにするとリンが同意する
「すっごく恨むよね」
「それもわかっての事なんだよなぁ」
ポーがウイに抱きつくのを諦めて
元の場所に座りながら言うと
アヤノが溜息を吐きながら言った
「だけどやる」
ルカが、そう言うと皆がすぐに頷いた
「けどさ、私達より
親とか祖父母の方が執着してない?」
アヤノが言うとカヤが
あははと乾いた笑いをしている
「どうしたのよ?」
「ウチの親が執着し始めてる」
ウイが聞くとカヤがゲンナリとしながら続ける
「今回の事で動画が色々と出たし
ルカが作った動画を親に見せてたりしたのが
いけなかったのかもしれませんです
‥‥ハイ」
「そっちは勝手にやるとして
今は可能性を上げる方法ですわね」
リンはカヤを見ない様にして
話題を切り替えると
カヤがリンの腰に縋り付いてきて
上目遣いでリンを見る
「見捨てないで‥」
「そんなことより優先する事があるんですのよ」
「融資するって言うんだよ」
カヤの一言に全員がカヤを見る
「お母さんに色々とバレてさ
どうせ無駄になるからって遠慮しないで
やるだけやんなさいって」
カヤが携帯を取り出して
画面を見せるとカードが何枚か映し出される
「いいの?」
「ホントに?」
エル、ヒルがカヤを見るとカヤは頷いた
「コレでやりたい事が色々とできる」
ルカ、エル、ヒル、ウイが喜んで
ハイタッチしてる
「ただね、1つ条件があって
シンに会わしてって言ってきてんの」
カヤの方を全員が向く
「会わしてないの?」
ウイが驚いたように言うとカヤは頷く
「スゴイね
なのにいきなり融資するって」
「甘いのよ
あそこの親はこの子に」
アヤノが感心すると
サリは何か知っている様に言った
「コレでいいわよね」
「いいかどうかはわかんないけどさ」
ウイが少し気合いを入れて言うと
ポーは空を見上げて言う
「そうね
覚悟して欲しい」
ルカが言う
「やれるかどうかなんて
今は知りませんわ」
「絶対に無理だとは」
「思わないし、諦めない」
リンが言った言葉にエル、ヒルが続く
「可能性は低いかもしれないけどさ」
「あるんならまだマシよ」
アヤノとサリは笑い合って言う
「これだけの原種を本気にさせたんだから」
カヤが言うとポーが剣呑な目付きになり
「絶対に食らいついてやる!
本当に逃さないからね!シン!」
ウイがあははっと笑って
「ホント!覚悟してよ!シン!
まぁ、逃げても捕まえて私達が養わない?」
「ソレすごくいいかも
でもさ!その前に!
絶対に起こしたい!TS!」
カヤが言うと
皆が頷いて
そして、笑い合った
微笑ましく覚悟が決まった夜
ワイワイと相談をするが
話の内容は獲物を捕まえるハンターの様な会話となる




