4話 夢中になる②
誰かが楽勝だよねと言っていた
4連覇も期待してると言われた
双璧の片割れだもんねと言ってきた
退屈とイラつき
緑壁ではなく双璧と呼ばれた時も
3連覇した時もこうじゃない感がつきまとう
バレーが好きで始めた
始めた時はすごく面白かったし
勉強とか遊びに行くよりバレーは面白い
なんでだろう
こうなるとは思わなかった
4連覇を目指した全国大会
別にいつも通りで楽勝だと思った
聞いた事がある学校も聞いた事も無い学校も
別にいつも通りにやってれば勝てる
3回戦で聞いた事が無い学校と対戦する
学校名は、どうせまた忘れるから覚えない
試合前に相手の選手達を見たけど
疲労感あふれる子が多い
絶対に大会に慣れてない
一際小さい子もいる
監督は注意しろというけど
どうせまた雷姫が点を取って
双璧の私達が弾き返して終わり
ずっとそう‥‥今回もそうなるはずだった
なんで!あんな高く飛ぶの!
最初の1発は弾き返したのに次からは高い!
届かない!
雷姫も彼女から一点も取れない
彼女以外になら点は取れるのに彼女がボールを取れる範囲からは一点も取れていない
1セット目を取られた
久しぶりの事
2セット目からは後ろに下げられて彼女のボールを受ける事に専念するけど取れない!
なんで!意味がわかんないわよ!
今年も勝つから見に来てね
何年も同じメッセージを送っている親にも
小学生で二つ名をもらうのは異例な事
得意気になったが、片割れがエルフ族
鬼族の私とはあまり相性が良くない
まぁ、そこはいいか
結構いい子だし
なんか親とかが知り合いだし
全国大会の1、2回戦はよく覚えていない
来ていた友達の応援に手を振る余裕もあったし
今回もアイツら来ないなぁとか思ってた
それに相手は負けてもしょうがないって顔だったと思う
鬼の私にはわからない
挑めよ!って思うけどストレート負けだからかなぁ?諦めてんのかなぁ
悔しいとか納得いかないの前に
なんで、しょーがないとかで慰められてんの
訳がわからないや
3回戦が始まった時は正直言って楽勝だと思った
目の前で揺れてる小さい子も可愛い!
としか思わなかった
騙された!なんて強いの!
打ってくる相手の表情と気迫に押された!
小さくて弱そうなのに全然歯が立たない!
気がついたら
友達の事も忘れるくらい集中してた
彼女のボールをまともに上げる事が出来ない
雷姫も片割れも集中してるのに
手も足も出ない!
けど、負けたく無い!絶対に!
鬼の私が挑んでるんだ!絶対に勝つ!
4連覇しに行ってきます
そう言って朝に家を出て体育館に向かった
何も変わらない今年と去年
・‥その前からずっと
別に特段バレーに思い入れがあったわけでも無い
なんとなく祖母と母がやっていたからやってみた
雷姫と呼ばれ
今年の全国大会2回戦まで
正直言って、なんて事なかった
負けた相手から悔しそうに見られても
弱いからそうなる!
そうなりたく無いなら私に勝てば?
ストレート勝ちだったから文句もないでしょうけどね
毎回そう思って思って
何にも思わなくなった
今年の全国大会3回戦では
‥‥イラつきとムカつきしか無い!
一回も彼女から点を取れない!
彼女以外なら点は取れる!
でもそうじゃない!そうじゃないのよ!
低い姿勢から左右に揺れてコッチを見上げてくる!
打った時にはもう移動してボールの落ちる場所にいる!
目線や手の方向をかえても絶対にいる!
そしてカウンターのバックアタック!
何!その態度!挑発?
長くかかった1セット目を取られ
2セット目は彼女を無視しろと言われた
2セット目はすんなり取れた!
彼女が範囲を広げても
彼女以外に向かって打てば点が取れた!
彼女に呆れられた表情で見られた気がした!
逃げたのか?と‥‥ムカつく!
3セット目はムキになって彼女を狙ったら
カウンターでほぼストレートにセットを取られた!
監督に怒られて
皆んなからは冷ややかな目で
見られてる気がした
なんで!なんでよ!なんでなのよ!
4セット目は監督に従って
彼女以外を狙ったけど
彼女のボールを取る範囲が広がった
流石に取るだけだったが
長い4セット目になった
負けるかもしれないと焦った
5セット目は監督に3人で言い返した
いつものようにやらせてくれ!と
二つ名持ちの3人が言ったら
ため息をついて、いいよと言われた
それでも彼女から点は取れない
5セット目
終盤に焦って疲れてもないはずなのに
息が上がって、しんどく感じる
だから何?左右に揺れて!
高く飛んで見下して!
下から覗き見て!
アンタは私をおちょくってんの?
シンが打つと歓声や拍手が上がる
(ウッサイ!とか言ったら静かになるかな)
そんな事を思いながら5セット目の2点先取で勝ちって所まできた
(今日何回目?楽しいけど‥‥)
チームメイトのかおを見る
疲労困憊って感じで声も出してないし
トスの上がりが悪いので、4セット目で決めたかったけど、5セット目になりまた長くなりそうなヤツがきた
シンもしんどくはあるも
(めっちゃ楽しい♬)
強いボールがバンバン飛んでくるので
どう取るかとか考える前に動いて反応!
だったんだけども、シン以外が狙われると
動きが多くなるため疲れてくる
相手側からジャンプサーブが飛んでくる
サイドラインあたりに入る
シンは目で追うが、チームメイトは目を伏せて動こうともしなかった
(限界かな)
再び相手側からジャンプサーブが飛んでくる
味方が上げるもボールがコート横の観客席にいってしまう
シンは届くと思いダッシュして相手側に高く上げて返すも、観客席に突っ込んでしまう
観客席から弾き返るようにしてコートに復帰してボールを見ると
相手側のコートでボールが送られてる時に間に合う
シンは雷姫が打ち込んでくるもボールをあげて
後ろに一回転して、床に手をついてボールが上がるのを待っている時に髪が解ける
ボールが上がり落ち始めで駆け出したら
シンは自分の髪に盛大に絡んでコケた
ボールは床に落ち、勝者と敗者がようやく決まった
試合が終わった体育館では歓声と拍手が鳴り響いていた
選手同士が挨拶して各々のベンチから荷物を持ち引き上げていく
観客席の6人は立ったまま見続けていた
実況はうるさくて、途中から聴いていなかったが、イヤホンを握りしめた手から
【会場で最近では聞かない程の大きな歓声と拍手が巻き起こっています】
とかが聞こえてくる
「「すごかったです!!」」
「何あれ!本当に」
赤髪の子と白髪の子が同時に叫び
ギャル風な子が興奮した様に会場にいた観客と同じような感想を漏らし始めた
ジッと黙っていた黒髪の子が
「会いに行ってくる」
と急に言い出して選手が向かった先に歩いていく
「私も行くわ」
銀髪の子も歩き出すが観客も移動し始めた為
6人はゆっくりと向かう事しか出来なかった




