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38話 諦めて忘れていた物

開法学院は準々決勝、準決勝ともに勝利し

試合時間は同時に始まった試合の中で

1番早く終わった


2試合ともに失点は0で

試合時間も最短で

歴代最短試合時間のTOP10に入るとの事だった


「なんで!」


そんな開法学院のバレー部は荒れていた

準決勝が終わった時から

リンがシンにキレていた


「だから、別にいいじゃん」

「そんなのシンらしくないわ!」


シンが不貞腐れたように言うと

リンがさらにヒートアップする

アヤノ、サリも怒った様にシンを見て

周りの部員達は静かに見守っている


「ようするにだ

シンが手を抜いていると言いたいんだな」

「そうですわ!

それもあからさまに!」

「だから、抜いてないって」


モクがリンの言いたい事を代弁して言うと

リンがシンに詰め寄る

シンは両手をあげて降参のポーズをしていた


「だったら、なんでボールを上げるだけで

打たないんだよ!」

「そうよ!準々決勝、準決勝でシンが打ったのは

どちらも2回だけよ」


アヤノ、サリもシンに詰め寄りながら聞くが

シンは降参のポーズを崩さずに2人を半眼で見る


「‥‥別にいいじゃない」

「勝ててるからって事ですの?」

「そうじゃないよ」

「シンはそれでいいの!」


シンが半眼でアヤノ、サリを見ながら

不貞腐れたように言うと

リン、アヤノ、サリが反論する


「シンにも色々と考えがあるんだろう」

「お前らも決勝前にあまりモメるな」


シンがハッキリした事を言わないのを見て

主将とモクが決勝が始まる時間が迫ってきているために

場を納めにかかる


シンは自分の荷物をまとめて控え室を出て行く

リン、アヤノ、サリは

納得していないみたいな顔をしていた為にモクが話しかける


「一体どうしたんだ?そんなに変なのか?

シンは、ほとんど1人で相手を封殺している

何がそんなに不満なんだ?」

「不満というか

挑んでいないような

なんか宗鳳学院とやった時みたいな

気迫がないような気がして」


アヤノの答えにモクは

不思議に思って聞いてみた


「じゃあ、お前らに今のシンと同じ事をできるか?

チームなんだから、こう言うこともあるだろう」


リン、アヤノ、サリは

そうなんですけど‥‥と

3人はなんとなく納得していないような顔をする


「そういう事は次を勝ってからやればいい!

私達は勝ちたいんだ!勝つぞ!」


主将が気合いを入れて叫ぶと

静かに見ていた部員達が返事をして

個々に気合いを入れて控え室から出て行く


リンも部員達と出て行った後

最後に出て行ったアヤノ、サリは

納得がいかないような顔をして

2階応援席へと向かった



宗鳳学院で全国大会決勝が行われたので

夕方になる時間帯ではあるが

全国大会の表彰式は

そのまま宗鳳学院で行われた


「まぁ、こんなもんよね」


とシンは呟いていた

今はバレー部の面々と表彰式に出て

壇上に上がった開法学院バレー部代表を見ている


主将は胸を張って壇上に上がって

賞状と目録みたいなのをもらい

リンが優勝旗を受け取っていた


その後は準優勝、3位のチームを表彰してから

宗鳳学院学長からの長い祝辞が読み上げられた


種族特有なのか

それとも伝統なのか

この時間は、何故か眠くなる為に

シンは立ちながらウトウトとしていた


「それでは今大会における

MVPの発表に移ります」


そうアナウンスされると

体育館の壁面に用意された運営や来賓が座る席から

数人が立ち上がった


立ち上がった中で、姿勢の良いスーツ姿

金髪の年配女性が少し壇上に向かい

振り返って壁面に座っている

または立ち上がっている方々に

深々と頭を下げてから壇上へと向かった


金髪の年配女性は壇上にある

宗鳳学院の校章がある場所に向かって頭を下げて

選手達が並んでいる方へ向く


「蜂族の者で

そこらへんの取りまとめ役の1人だ」


軽く自己紹介をするだけで

辺りの空気がピリッと引き締まる


「手短に内容を話すよ

私達の種族を冠する言葉を

相手に送るってのは最大の賛辞とされてる

だが、送るには種族間の許可とか

承認を挟む場合が多い

それに色々と段階を踏むので本当に面倒くさい

なので、色や特徴で済ますことが多い」


金髪の年配女性は

フッーーっと長い溜息を吐いてから

人差し指で頭をカリカリと掻いて

めんどくさそうな顔をする


「勢いやノリとやらで言ってしまうだけでも

私みたいな、こことは関係の無いのが

責任を取るだけの為に呼ばれたりするんだ

本当に私達が苦労するので

アンタ達は控えなよ」


一部から失笑のような笑いが起きて

少し空気が和らいだ後で

金髪の年配女性は姿勢を正して

真剣な顔になる


「さぁ、こんな所まで私が来た理由は

MVPと一緒に発表しちまおうじゃないかって事だ

実況の思惑に乗らされているようでかなり癪なんだが

言ってしまって、やっぱりやめましたと

引っ込めれる程安いもんじゃないからね」


選手達のある一点を見つめて

金髪の年配女性は声を張る


「二つ名は蠍だ!

上がって来な!シン・フジムラ!」


ドッ!と会場が沸く

自分の名前が呼ばれて

一気に眠気が覚めたシンは

周りから注目され拍手をされた

注目を集めている事にビックリしていると

周りの部員達に促されるようにして

壇上の前に上がる


金髪の年配女性も壇上の前に来て

シンと向かい合い

2人の横に立っている女性から

賞状を受け取り読み上げようとして


「本当に面白い事をやってのけたね

極稀なんだよ

自分の種族とは違う種族名が

二つ名になるなんてね」


横からマイクを近づけられて

金髪の年配女性は言うと

シンがコチラを目を細めて見ている事に気付く


マイクを持っていた女性は

シンの口元にサッとマイクを持っていく


「寮長のおばちゃんじゃん

どう‥‥ってなんで声を拾ってんの!」


体育館に笑い声が起き

金髪の年配女性、寮長

又は、ポーの祖母は賞状を丸めて

シン頭を叩こうと丸めた賞状を振り上げる

シンは真剣白刃取りの構えで迎え撃つも

スパーンといい音が体育館に鳴り響いた


さらに笑いが起きて


「アンタは本当に!締まらないヤツだね!

ホラ!持ってきな!あと、毎晩うるさいんだよ!

ちょっとは静かにしな!」


寮長は丸めていた賞状をシンに渡す

結構いい音がしたから

折り目ぐらいついていいはずなのに

頑丈な賞状をシンは受け取り


「あい、了解です」


頭をさすりながら呟くように言う

笑いが起きている中で

マイクを持っていた女性が

お尻あたりから黒いデカい尻尾を出して

頭の上に針のついた尻尾の先を持ってくる


「伝説の蜂光ホウコウ

祝いの一閃を受けて蠍ちゃんが誕生です!」


と試合の実況をしていた蠍族の女性が叫んで

体育館は拍手に包まれる


来賓の列から大股で歩く男性が

壇上に向かっていって

マイクを持った蠍族の女性の首根っこを

掴んで引きずって行く


シンは自分が立っていた場所に戻る途中に

バレー部員にもみくちゃにされた


次の人が壇上で話し始めると

体育館が静かになり

シンは周りが自分を見てない事を確認して

ワキに挟んだ賞状を見る


賞状は2枚あり

1枚はMVPと書いてある

シンは慎重にもう1枚の方を少し開いて

そこに書いてある文字を見て小さく笑った

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