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34話 やるならやる

バレーの全国大会が始まった


会場は熱気に包まれていた

小学生の部もそれなりに盛り上がるが

中学生の部は、すごかった

全種族が対等に行える最後の期間

青春の焼き増しとも取れるような熱気が

そこにはあった


個人競技が終わり

この時期になると団体戦が行われる

種族によってはもどかしく思える一幕でも

それらのスポーツを行っていた親以上の世代からすれば

種族同士が力で対等にやり合えた最後の時間

そんな時期の思い出が蘇る時間だった


色々な競技が日々始まって、終わっていく中

バレーの全国大会1回戦が始まった



〔さぁ、注目のカードが始まります!

去年の覇者である宗鳳学院が

開法学院のホームで迎えうちます!

去年は、接戦の末に苦汁を舐めさせられた開法学院!

あの屈辱を晴らせるのか!

それとも!

また勝って、優勝への勢いをつけるか!宗鳳学院!〕


開法学院の中にいくつかある体育館

その一つで、宗鳳学院と開法学院は対峙していた



大きな体育館の2階観客席は満席に近い状態で、立ち見の人までいた

そんな中に、気だるそうにしながら

コートで行われる試合を見る女性達がいた


「出てこないかぁ、やっぱ」

「今年は無理なのかもね」


アヤノの母親、双子の母親は少し残念そうに言う


「アナタ達の娘はベンチにすらいないんだから

あれはスゴイことよ」


ウイの母親がベンチに座る小さい子を見ながら言う


「私の娘は残念だったけど

ベンチに入ったなら、出てくる可能性はあるんじゃない」


サリの母親は、白いうちわを手に

ふぅと息を漏らしながら言う


「それにしたってさぁ

久しぶりなのに相変わらずなんだね

アンタは」


黒髪のロングで白いTシャツ

ジーパンの地味な服装のルカの母親に

アヤノの母親は言うと


「別に」

「水と家族が集まってる所以外は

そうなるのも相変わらずよね」


呟くように言ったルカの母親にサリの母親は言う


「アナタも相変わらず」


ルカの母親がサリの母親に言い返すと


「そうなの!相変わらずで安心した」

「いいでしょ、別に!」


双子の母親が続けて言った言葉に

サリの母親は

うちわを自分の方に抱き寄せて抗議する


うちわの表は無地だが

サリの母親側

うちわの裏側には小さくシンちゃんと赤で書かれている


「学校の先生が何やってんのよ」

「今日は休みよ!

そして、今はファンクラブ会員No.2よ」


ウイの母親は、サリの母親の答えを聞いて呆れかえった


そんな全員の片耳にはイヤホンが入っており

実況を聞きながら、試合を見て雑談をする


「それにしても相手の子達、強いわね〜」

「去年の二つ名持ちが2人とも強くなって

また立ち塞がる展開ね」


アヤノの母親、ウイの母親は

目を細めてコートで行われているバレーの試合を見ていた


「去年の展開と似てるけど

流石に今年は厳しそうね」


サリの母親は、そう言って

コートでボールを打つリンを見てから

リンの母親を見る


「娘も強くなってはいるけど

相手の方が自信に満ち溢れてるって感じよね」


リンの母親は、あ〜と言った感じで言うと

双子の母親は何かを思い出す感じで話す


「そういえば、昔もこんな事があったのよね」

「あの時は色々とあったのよ」


双子の母親が言いながら

ウイの母親の方を見ると

ウイの母親は苦い顔をして返した

リンの母親はため息を吐いて

ルカの母親を恨めしそうに見ながら


「アンタの父親にどれだけ追い回されたか」


リンの母親に言われたルカの母親は

う〜んと悩んで言う


「あなた達が悪かったのに

なんで私達までなんで」

「そうよ、なんでなのよ」

「お前らは!もっと熱くなれ!だったわよね」


サリの母親、双子の母親がため息混じりに言いながら

リンの母親、ウイの母親を見る


「「忘れた」」


リンの母親、ウイの母親は

そっぽを向いて、トボけていた


「相手に煽られて

力を解放してペナルティ与えられて負けたんでしょ

まったく、忘れたの?」


アヤノの母親が、しれっと言うと


「アンタが1番しつこく

私達を煽ったんでしょうが!」


リンの母親がアヤノの母親を睨んで言うと


「もう忘れてよ、それぐらい」


アヤノの母親はバツが悪そうにむくれた


2セット目の終わりまで

久しぶりの雑談を楽しんでいた



不意にアヤノの母親達は

実況が言う言葉に気を取られて黙ると

サリの母親が、急に2階観客席の最前列に歩いて行った


カメラを構えてコートを見ている異様な集団

いや、女性達の娘達とサリの母親は

無言でハイタッチをして集団に混じる

その光景を見たアヤノの母親達は

思わずコートの方に視線を向けた


〔さぁ!開法学院が2セット目を取られたぞ!

宗鳳学院が2セット目を取ったぞ!

去年よりもパワフルになって帰ってきたのは

やはり!王者!宗鳳学院!

さて!どうする!開法学院!

このまま決まってしまうのか!〕


実況を聞いているアヤノの母親達の視線の先

開法チームのベンチに座っていた小さい人族が

ジャージを脱いで

着ている開法のユニフォームを揺らしながら

ベンチ横で準備運動をしている


試合は、2セット目が終わり

選手が各々のベンチに引き上げて行った



観客の見た感じでは

片方のチームはやった感が溢れていて

もう片方のチームはやられた

もう後がないそんな感じで引き上げているようにも見えた


「へぇ‥‥シンちゃんが出るんだ」

「どうなの?」


アヤノの母親はニヤッと笑うと

双子の母親は周りに聞く


「‥‥さぁ」


リンの母親は肩をすくめてるが

目をスッと細めて開法学院のベンチで

リンに何か言っているシンを見ている


「絶対と無理に挑んだ子が出てくるわよ

こんな状況で、こんな場面なんだけど

面白くなってきたわ」


リンの母親の言葉に、ウイの母親がシンを見ながら


「ある意味でスゴイのかな」


双子の母親もシンを見ると

どこからかグラサンを取り出してかけた

ルカの母親が


「違うわ!いえ!違わないわ!アッツいのよ!」


そんなルカの母親の様子を

3人は、ゲンナリした様子で見ていた



「シン、準備しな」


ベンチで声を出していたシンは

モク監督から、そう声を掛けられた


2セット目が終わりに近づいている

たぶん取られる

相手の方が強かったとシンは思う


二つ名

黄天と紫尾

中学3年のゴーレム族と狐の獣族

どちらも去年からすごかったらしい

前に動画を見せられたけど

本物の方が強いと思う


シンはジャージを脱いで

ユニフォーム姿になって柔軟を行い

ピョンと飛ぶとコートのリンと目が合う

あっ!と思うとゴーレム族の黄天が打ったボールが

開法学院のコートに叩き込まれた

2セット目が終わった



相手チーム

宗鳳学園の選手達は意気揚々とベンチに引き上げていく

そんな様子をシンは、ぴょんぴょんと飛びながら見ていた


「やっとですの」


なんか元気ない味方チームの中からそんな声が聞こえてくる


「そりゃ、秘密兵器だからね」


モク監督が、そう言うとリンはシンを見る


「やるだけやってみるわよ」


シンは飛ぶのをやめて答えた


「リン、最初は譲るから」

「いいのかしら」


シンの言葉に

リンは息を整えながら笑顔で言うと

シンは肩をすくめながら


「別にいいんじゃない

ほら、アイツらは2階の応援席にいるし

それに、ムカついてんでしょ」

「わかってるなら

聞かないでほしいわね」

「イラついた笑顔を見せないでくださるかしら?

リンちゃん」

「シン!私をからかった分くらいは

やってくれるんでしょうね!」

「だから、やるだけはやってみるってば」


明るく話す2人の会話を聞いていた主将は笑いながら


「なんかそれ、ポンコツな最終兵器みたいだな」


主将に笑われたシンは

半眼で主将を見ていた



3セット目が始まる時に

両選手がコートに入ると

2階の開法学院バレー部の応援団がいる所と

他に何ヶ所から歓声が上がった


黄天は、ネット越しに相手チームを見る

なんか小さい人族が入ってきた


「2連覇だよ!」


黄天の後ろから紫尾が声を出してくる



去年は黄天の私が点を取って、紫尾が守る

この形がハマって勝ちに勝った

雷姫の攻めも苛烈だったが

最後には競り勝った


「わかってる

もう一度、全国優勝だよ」


今年は調子が良い

去年は

勝つのに苦労した雷姫がいるチームからも2セット連取した

やれる!今年も勝てる!

2連覇をするんだ!


目の前で小さい人族が左右に揺れ始めていた


「なんだか知らないけど、なんかする気なら」


相手からのサーブを紫尾が取り

次の子が、私にボールを上げてくれる

ジャンプして相手のコート目掛けて


「叩き折る!」


ボールを打つ先を見ると

人族がいたが構わずに

思い切り力を込めてボール打ち込む

人族にボールが当たって

人族がコートの外へ吹っ飛んでいく

思い知ったか!


ドッ!


私が着地する前に

後ろで音がした気がして

振り返って見ると

紫尾が驚いたように私を見ていて

紫尾の後方にはボールが転がっていた



2階観客席からは、どよめきと歓声

そして、一部から拍手が上がっていた

開法学院のコートでは

小さい人族と他の選手がハイタッチをしている


「なんでよ!誰が!」

「‥‥雷姫が打ってきた」


紫尾が言う

黄天が相手のコートを見ると

もう次のサーブを打つ準備を始めていた


黄天の前で、小さい人族が

また左右に揺れ始める

小さいからか、黄天には

体が大きく動いているように感じて

気になり始めていた



落ちつけ、落ちついて

いつも通りにやる

相手からのボールは紫尾が取ってくれる

私はボールを相手コートに叩き込む事だけ

それだけを考えるだけでいいんだ

動揺はするな

それに、いまさらどんなことをしても

勝つのは宗鳳だ!



黄天が、そう思って構えると

相手側からボールが飛んで来た

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