22話 見たかった物
「はぁ〜‥‥さっぶ〜〜い」
静まり返った道をゾロゾロと進む集団にいる1番小さい子が
白い息を吐きながら言うと
「鍛え方が足んないんじゃない?」
「最近は運動とかしてるの?」
アヤノとサリは背中を丸めて歩くシンに尋ねる
「写真を送った時にバレーやってたわよ」
シンは苦々しく言う
「クリスマス会のヤツ?」
「シンダルマ」
ポーが聞くとルカが携帯で写真を見せる
写真は大勢で撮られており
その中でシンが雪だるまの格好をして
両親や兄妹に囲まれている
「コレは笑ったけど、その前は月初めだっけ?」
「コレもアリだったわ」
カヤとウイがルカの携帯をのぞいてニヤニヤして言うと
リンがシンを見ながら言う
「もっとちゃんとしておきなさいな」
「遊びだし、三次選考もあるしね
今は勉強ばっかやってる」
「まぁいいけどさ
けど、楽しみだなぁ!シンの着物」
「エルとヒルが写真は絶対って言ってたもんね」
アヤノが会話を今からの話題に切り替えて、ポーが続く
「できたって連絡あったんでしょ?」
「ええ、今日のお楽しみなんですって」
「ビックリ箱」
「何が出てくるのよ」
「のらなくてイイわよ」
なんとなく皆んなで話しながら、歩いていく
シンが12月の二次選考の後に
リンの家を訪ねるとリンのお婆様が
「ごめんなさいね
後少しだと思うんだけどね
仕上げは全部、あの人がやりたいって言うから」
その日は身長等を測られて、リンの家に泊まって
次の日は開法学院の体育館でバレーをして
シンは家に帰った
年末が近づいてくるとシン以外は着物が出来たと言って
初詣に行く時に皆んなで合わそうとメッセージがシンに届く
エルとヒルは神事の役目があるから
ソレが終わったら合流するというメッセージと
写真絶対!と送られてきた
「寒いし、寒い」
シンは手を服の袖に隠し
息を手に吹きかけながら歩いていた
「ご来店くださりありがとうございます」
店側から入ると
リンの母親がシンに頭を下げて
丁寧に挨拶してきた
「‥‥‥」
シンは先頭で店に入った瞬間に固まって
無言でリンの母親を見ていた
「どったのシン」
カヤが尋ねると
シンはゆっくり顔を動かしてリンを見る
リンが目を逸らしたので
再度、顔を上げたリンの母親を見て
シンは回れ右して歩こうとしたら
リンの母親に後ろから抱きしめてられた
「冷たくなっています
奥で暖まれていってください
コラ!暴れないの!」
「絶対なんかある!
何か企んでる時のアンタらと一緒の顔してる!」
「勘が良いのは知ってるけど
ここまで来て逃げれると思わない事ね」
シンはリンの母親に捕まり
肩に担がれて、店の奥に運ばれていった
「危なかったわね」
サリはシンに手を振りながら小声で言う
「ここでバレてよかった」
「少しだけ会話に出しててよかったね
警戒心が薄れてたし」
カヤ、ポーが小さいガッツポーズを取りながら話して
少し間を開けてシンの後を追った
店の奥にある何回か襖を超えた先にデカい和室があった
大きい部屋なのに寒くないように暖房がいれてある
壁際に何枚も和服が飾ってあり
木箱も何個も置かれているが
それでも和室は大きく、シン達が全員入っても余裕があった
「お連れしました」
シンを肩に担ぎながら、リンの母親がリンの祖母に言う
シンは抵抗をやめて、リンの母親の肩で
干された布団みたいにダラっとしていた
それでも、シンはリンの祖母に顔をあげて
何か言おうとしたが、先にリンの祖母が言う
「この状況は予想通りね
けれども時間がありません」
リンの祖母はパンパンと手を叩いて
「皆さん、徹底的にやってあげてください」
壁際に飾ってあった和服と壁の間から
女性達の顔が出てきて
こちらへと呼ばれてシン以外が各々に散っていく
まるで決められていたかのように
シン以外がそれぞれの場所へと歩いていく
「これは‥なに」
「シンちゃん、可愛いって言ってくれたわね」
リンの祖母はニコニコしながら
戸惑っているシンに続けて言う
「仕返しに今日は、たっぷりとわからしてあげるわよ
大人をからかうとこうなるって」
「そういう所なんかも
ホントにリンちゃんとそっくりですよぉ」
リンの母親の肩でダラーとしながら
シンが少し反抗するとリンの母親が横を向いて笑う
「反省がない子は、徹底的にお仕置きね」
リンの祖母の言う言葉は物騒だが
笑顔でシンをかけてある和服の向こう側に連れていった
シン以外が着替え終わり
和室の真ん中でシンが出てくるのを待っていた
壁にあるかけてある和服は
シンがいる所を残して全部片付けられていた
その残った和服の向こう側から声が聞こえてくる
「真っ直ぐ立ってくれる?そう」
「うん、うん‥‥」
「なんかこう‥‥」
和服の向こう側から微妙な
けど納得した様な声が聞こえてくる
「お婆様まだですの?
私達にも見せて欲しいですのに」
リンが待ち遠しいと言った感じで言うと
和服の向こうから、リンの祖母が出てきて
リンの母親がシンの手を引っ張って出てくる
シンの和服は白を基調としていて
見るたびか、もしくは見る角度によって
色んな色に変化していた
また、いろんな色が薄くぼんやりとシンを囲っている
シンの髪は皆とお揃いの組紐で
バレーをする時の様に括られていた
シンは皆を見ると
リンは青を基調として薄く白く見える
ウイとポーは黄色を基調として
ウイは白く、ポーは黒く薄く見える
アヤノとルカは黒を基調、アヤノは赤く薄くみえ
ルカは青く薄く見える
サリとカヤは緑が基調で、サリは薄く水色
カヤは薄く黒に見える着物を着ていた
髪はお揃いの組紐で整えられている
シンは少し照れながら
「どう」
と言うと、誰も何も言わずにシンを見てる
「七五三」
リンの母親が言うと、全員が吹き出した
外に出ると少し寒く感じるが
さっきほどでもない感じがする
「シンちゃんは可愛くなりすぎただけよ
気にしないで行ってらっしゃい
可愛いわよ全員!」
「ほら、シンちゃん笑ってね!
さっきは調子に乗って悪かったわ!ね!
全員可愛いんだから」
なんかいい風にまとめて
リンの祖母と母親はシン達を店から見送る
シンはあの後
リンの母親に飴の入った袋を持たされたり
写真を撮って
コレ広告に使えないとかリンの母親と祖母は言い合っていた
リンやカヤ、ルカ、ポーは
シンを見るたびに笑いが止まらなくなっており
ウイとサリは
シンを慰めていたが
シンが大人しく飴を持って写真を撮られてからは
下を向いて喋れなくなっていた
アヤノは着付けをもう一回やり直すほど笑っていた
そんな中でシンは
みんなは綺麗って笑って言っていた
「ありがとうございます」
シンは、ブスッとしながら言って
カラカラと下駄を鳴らしながら、歩いていく
「行ってきます」
全員が頭を下げてから、シンに追いついて歩いていく
下駄をカランカランと鳴らしながら
遠ざかっていく背中を見つめながら
リンの母親がふふっと笑って
「もっと厳かになると思っていたのよ、私」
「それを言うなら、あの人になんて言おうかしらね
寝ていてくれて助かったのかしらね」
「きっと悔しがるわよ」
「それにシンちゃんが言った通り
全員が揃っていないなら、見せる意味がないのかもね」
リンの祖母と母親は語り合いながら
店に向かって歩いていく
「さてと私達も用意しますか」
「間に合うと思うから、一休みする?」
「そうね、いいお茶請けあったわよね」
ひと仕事終えた後
気の抜けた親子の会話をしながら店の中に入っていった




