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19話 思い返す事

朝は何故かこの時間に目覚める

この1年半、バレーをやり始めた時から

この時間に起きる様になっていた

上体を起こして欠伸をしながら

明日からは少し遅く起きようと思う

そんな事を思いながら周りの状況をシンは見て

景色がいつもと違う事に少しビクッとする


そうだった、昨日はアヤノの家に泊まって

今日はリンのお爺様の誘いで遊びに行って

んで、夕方に帰る

シンはアヤノから借りたダボついたTシャツを

着ていた為にズレていた肩の部分を引っ張る


「あっつ、近いっての」


シンの周りに寝ている人を見ながら思う

昨日はかなり久々にハシャいだ

色々とグシャグシャだったのに

最後には笑っていた自分がいた


そっとシンは起き上がる

昨日は足が言う事を聞かなかったのに

少し痛いくらいで立ち上がる事ができた

口だけごめんと動かしながら

寝ている何人かをまたいでドアに向かう

ドアの前まで来るとドアが開いた

開いた先でカヤがアクビをしながら立っていた


「どこ〜行くの〜」

「トイレどこか知ってる」

「出て右」


カヤはシンに答えながら

部屋に入っていって空いてる場所にポスっと横になる

シンはトイレに行き

出ると下に行く階段を見つけて

壁に手をつきながら下に降りていく


階段の降りた先は大きな居間となっており

男性4人がイビキをかいて寝ていた

そこらへんに置かれた酒瓶が何本か空になっている

その居間を通り抜けて縁側に出る


「少し涼しいかな」


今は日が上がってすぐの時間

シンはん〜っと伸びをすると風が少し吹いて

頭の上からチリンチリンと音がした

風鈴かなっと思って顔を上げると

アヤノの母親が笑顔でシンの背後から顔を覗き込んでいた


シンは挨拶をしようとすると

アヤノの母親がシンの両耳を両手で塞いで

後ろから体を押し付けて前に行く様に押してくる

その瞬間に空気が震えて

なんか鈍い音と怒声が聞こえた

続いて情けない声が聞こえた気がしたが

シンはアヤノの母親に押されて

連れて行かれてしまった


「朝早いのね、ビックリしたわ」


何事も無かった様にアヤノの母親は言うと

シンにお茶を出していた

連れてこられたキッチンにあるテーブルの椅子に座りながら

シンは受け取ったお茶をすする


「いつもこんな時間です

昨日はご馳走様でした」

「気にしないでいいわよ

私達の道楽みたいなもんだから」


棚から煎餅が入った皿を出しながらアヤノの母親は尋ねた


「そういえば、どんな予定だったっけ?今日」

「リンの所に行って、夕方帰ります」


シンの顔くらいある煎餅を何回か割って

小さくなった煎餅をシンに渡す

アヤノの母親はシンクで手についた煎餅の粉を払いながら

聞いたシンの答えに


「‥‥大丈夫かな」


アヤノの母親が呟くと玄関の引き戸がガラッと開いて

リンの母親が入ってくる


「おはようございます」

「早いわね、おはよう」


シンが挨拶すると

リンの母親は答えながらシンの横に座り

割ってあった煎餅を摘んで口に運ぶ


「引き取り?」


お茶を出しながらアヤノの母親が聞くと


「付き添いよ、大激怒だから逃げてきたけど」

「ウチもよ、お母さんに任せてきた」


シンはそんなやりとりを煎餅をパキッと鳴らして

食べながら聞いている


「シンちゃんは気にせずに来なさいね」


リンの母親は笑顔でシンの頭を撫でる


「お、ねぼすけ共もアレに驚いて起きてきたか」


シンはアヤノの母親が見ている方を見ると

アヤノとウイ、リンが溜息をつきながら

サリ、カヤ、ポー、エル、ヒルは目を擦りながら歩いていた

ルカはシンを見つけると小走りになり抱きついてくる


「あっついの」

「今日は抵抗する」


ルカがシンに押されながら言うと

サリ、ポー、カヤ、エル、ヒルは小走りにシンに近づいて

シンにくっつく


「暑いってんでしょうが!」


シンがキッ!となると笑い合う


「仲良いわね、あんた達は」


アヤノの母親が笑いながら言うと

ゴッと空気が震えた気がした

アヤノ、ウイ、リンが溜息をついた

リンの母親は煎餅をパキッと言わせながら食べると


「あっちも仲良いいのよ、アレでね」


と溜息つく3人を見てお茶をすすった



「また来なさいね」


アヤノの母親と祖母に見送られて

鬼肉の店から10人は出て行く

時間は昼前で外に出ると蒸し暑かったが

リンのお婆様に


「ゆっくりね、ゆっくり来てね」


と言われたので

朝ごはんをアヤノの母親に作ってもらい

ゆっくりしていると

アヤノの祖母がソーメンを作ってくれたので

みんなで食べた

そろそろかなっと思って目的地に向かっている


「あつい」


ルカは手をパタパタしながら歩いている


「今年はいつから涼しくなるの」

「さあ、でも少しはマシになったのかしら」

「早く冬になって欲しいな」

「ね!寒いのは着れば我慢できるから」

「あはは、あっつ」

「ちょっとそこ詰めてよ」

「押さないの」

「なにこれ、なにコレ」


汗をかき始めるが、団子状態で固まって進んでいく


「あっついってんでしょうが!!」


団子の中央部分の凹んでいる場所からそんな叫びが聞こえた



シン達は前に来た店舗の裏側に回って

今回は家の部分から入る


「お邪魔します」

「はい、いらっしゃい」


リンのお婆様が出迎えてくれた

リンのお婆様に促されて前に来た部屋の奥に案内される


「よく来てくれたね」


和室で座っていたリンのお爺様が小声で迎えてくれる


「お邪魔します!」

「くっ!」


全員が声を上げると

リンのお爺様は額に手を当てて

苦悶の表情をし、手元の水を飲みフッーーと息を吐く


「大丈夫ですか?」

「大丈夫、少し君達の若さに押されただけだよ」


シンが尋ねると今さっきよりは声を出して

リンのお爺様は笑顔で答えた


「ホンットにだらしない事

しっかりとしてください」


リンのお婆様は喋りながら

用意された座布団にシン達を誘導して

リンのお爺様の横に座って言葉を続ける


「よく来てくれたわね

と言ってもこの様子ではカッコがついてませんけどね」

「そうイジメないでくれよ」


リンのお爺様は苦笑する


「この前はありがとうございました

組紐ですが兄と姉達はとても喜んでました」


シンは思い出して、お礼を言う


去年の夏に作った組紐を

その日の内にシンは兄と姉達に渡していた

シンはリンのお婆様に作ってもらった事を言うと

姉達はビックリしてシンを見た

なにも知らずにハシャぐ妹にそのうち知るであると思い

プレゼントをくれた妹にお礼を言った

その後、組紐は3本ともファミリーの家に飾られている


「よかった、気になっていたんだよ

その節は悪い事をしたね

もう2度とないように対策したから」

「次は絶対にないから、安心してね」


少しピリッとした空気になると


「今日はお婆様が笑ったお詫びでしたわよね」


リンが呆れながら言うと

リンのお婆様がハッとして


「そう、お詫びにね

今年の暮れに引き取る予定の物を

もらってもらえないかなっと思ってるの」

「引き取る物?」

「着物だから、初詣とかどうかと思ってね」


リンのお爺様はシンの疑問に答えながら

横に置いてある木箱に手を伸ばす

リンは箱を見て少し寂しそうに、でもすぐに笑って


「シン、もらえる物ならもらいなさいな」


ウイ、ポー、サリはリンの様子に気づかない振りをして

皆んなとワイワイと喋り出す


「初詣はみんなで着物着て行こうね」

「今年は、ばあちゃん貸してくれるかな」

「アヤノはどうするの?買いに行く?」

「なんかあるかな、いいの?」

「色はどうする?」

「全員被ったら笑うよ」

「まだ半年ぐらい先だし、もらう事も‥‥」


シンはエルとヒルが黙っているのを見て


「どうしたの?」

「「ううん、なんでもないよ」」


ふ〜んと言いながら

リンのお爺様の方にシンが向きなおる

リンのお爺様はおでこに手を当てて

むっーと唸って水を飲む所だった


「も〜本当にだらしない事

さて、シンちゃんはコッチに立ってくれるかしら」


シンはリンのお婆様に手招きされて

姿見の鏡の前に立つ

リンのお爺様は木箱を開けて中から反物を取り出す


「えっ?」


何人かは声を出してリンを見た

リンは声が聞こえた方を見て

フッと笑いながら肩をすくめる


「こんな色とかどうかな?」


リンのお爺様はシンと姿見の間に反物の生地を少し広げる

リンのお婆様は


「良い色だと思わない?シンちゃんに似合うと思ってね」


シンは広げられた生地を鏡越しに見てから

生地を直に見る

その後、悩むようにしながら

少し後に下がって、生地を見る


「どうしたんだい?何か駄目だったかい?」


シンはあっ、いやとか言いながら

しゃがんで生地を見て、ん〜と言いながら


「カヤ、ポー‥‥どう思う?」

「は?」

「いや、無理よ、パス」


カヤとポーは首を振りながらイヤイヤをしてる


「気に入らなかったかしら

他の色がよかったかしらね?」

「ふーむ、他の色となると‥‥」

「あっ!待って!そのまま!」


リンのお婆様は残念そうにそう言うと

リンのお爺様が生地を下げようとする

シンが手で待ったをかけてから

リンの所へ小走りに行って

リンの腕を引っ張って

生地と姿見の前に立たす


「リンがね!力解放した時に見た色!

去年見た時この色だったのよ!」


生地の色は青を基調とし、薄く白を纏っている


「あの時と生地が同じ綺麗な色してたなぁって

思って見てたんだけど

やっぱり、ホラ!リンに似合うよね」


誰も何も喋っていない中でシンは興奮気味に喋る


「でも、少し自信がなかったから

カヤとポーならなんか言ってくれ‥るか‥?

どうしたの?」


シンが喋っていると後ろから

ウイとサリに捕まえられて

ゆっくりと彼女達の方に連れて行かれる

シンは抗議の為になんか言おうとすると

ポーに口を手で抑えられて

お願いのポーズをされる


「リンちゃんの本気を間近で見た事があるのは

シンちゃんだけだったね、どうだいリンちゃん?」

「別に」

「照れちゃって可愛いんだから」

「別にリンを後回しにしたつもりはないよ

ただ、色合わせをしてただけだよ

ホントにホントだよ」

「知らないもん」

「拗ねちゃって可愛いんだから」

「いやいや、お願いだから

そんなに可愛くならないでくれ

なんか欲しいものはあるかい?言ってごらん」

「いや、もうヤダぁ」

「もう可愛いわね!

シンちゃんが言った通りに

この色でリンちゃんは決まりね!

少し早いけど孫のお披露目よ!」


っと、ふと気づいた様にリンのお爺様とお婆様は

シン達の方を見て、ピタッと止まる


「どうだい?うちのリンちゃんは?」


しんはリンのお爺様に笑顔で問いかけられた

全員の視線がシンに集まる

シンは何かを思い出すようにして


「お婆様に似て、すっごく可愛いです」

「あ、アンタねぇ〜」


真っ赤になったリンがシン達の方を振り向く


「「「「「「「「「可愛いよ!リンちゃん!」」」」」」」」」


振り向いた瞬間に

全員から笑顔で言われたリンは口をパクパクさせて


「うぅぅぅ‥‥がぁぁ〜〜!」


とシン達に襲いかかる

リンに襲いかかられたシン達は

キャ〜と言いながらわちゃわちゃとし始める

リンのお爺様はその光景をみて

スッと立ち上がり

奥の部屋へと行ってしまう

シン達はピタッと止まりその背中を目で追う


「シンちゃん、今度コッチに来る事はある?」


シンは視線をリンのお婆様に移して

えっとと言いながら答える


「確か二次選考までが今年だった様な」

「一次選考が10月終わりで」

「二次選考が12月初めだよ」


考えているシンにエルとヒルが続ける


「なら、12月の試験が終わったら

ここに寄ってくれないかしらね?」


リンのお爺様が開けっぱなしにした襖を閉めながら

リンのお婆様は笑顔で言う

シンは悩みながら


「終わる時間がわからないんでどうとも‥‥」

「何時になっても構わないわよ

なんだったら泊まっていってもいいのよ」

「そもそも一次選考が通らないと‥‥」


軽く返してくるリンのお婆様に

シンが、え〜と言った感じで返していると

ルカとウイがシンに抱きつく


「大丈夫」

「落ちる理由がないわよ」

「髪方とかどうする?」


カヤがシンの髪をツンツンしながらう〜んとしていると


「組紐って駄目かなぁ?」


シンがカヤを見て言う


「いいわね、新しいのを作っちゃいましょ」


リンのお婆様がパンと手を叩いて立ちあがろうとすると


「前もらった長いのがあるから持ってきてもいいですか」


シンの言葉にリンのお婆様が動きを止めて少し考えてから


「皆んなで、お揃いのを作りましょうか?」


再び動き始めて、襖を開けて出ていく


「いいのかな、リンちゃん」

「いいの?リンちゃん」

「間に合うのかな、リンちゃん」

「どうなの?リンちゃん」

「答えなさいよ、リンちゃん」

「リンちゃん、大丈夫?」

「リンちゃん、震えてない?」

「リンちゃん、ねぇリンちゃんってば」


全員から言われて

リンは少し下を向いてフルフルと震え始めて


「知らない!!」


と言ってシン達に襲いかかってくる

シンは笑っていたが、ふと疑問に思いリンに聞く


「引き取り予定の物なのに間に合うって何?

リンちゃん」


「知らないって言ってんの!!」


リンはシンに飛びかかっていった


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