12話 思う事とは
シン達はお店を出た後に
これからどうするかを話し合いながら歩いていると
「食べすぎたので運動がしたい」
カヤがそんな事を言い出した
「今からだとプールが空いてると思う」
「予定表では空いてるよ」
エルとヒルが携帯をいじりながら
やったと言いながら答える
「行こう」
ルカはそう言うとやる気に満ち溢れた笑顔で先頭を歩き始める
ポーが頭の後ろで手を組みながら、スタスタと歩いていくルカを見て
「水着とかどうすんの?」
「学校から借りれるはずですけど」
ポーの疑問にリンが答えて周りを見るとシンが近くにいない事に気付く
「どこに行くの?シン」
ウイがシンの方を向いて呼びかける
シンは皆んなと歩く速度を変えて
ゆっくりと後ろの方へと離脱していた
「いや、ほらね
そろそろ帰ろうかと思って
目的の物は買えたというか‥‥
それにね‥‥あと‥‥ほら!
プールに行くなら水着持って無いし」
シンがしどろもどろに言うとリンが頭に?を出しながら
「今、借りれそうだと話したでしょう」
「そうだね
‥‥聞いて無かったの」
アヤノが怪しむ様に話すと
シンが後退りする
エルとヒルがスッとシンの方に歩み出て
シンに話しかける
「なんかプールの話から」
「急におかしくない?」
エルとヒルが言い終わった瞬間に
シンは回れ右をして駆け出した
「捕獲」
「あっくそ!速い!」
「なんで、逃げんのよ!」
ルカ、アヤノ、サリが追い掛けるも反応が遅れた為にシンから離される
シンの行動に素早く反応したポーとカヤがシンに抱きついた
「瞬発力では負けないわよ」
「獲物は逃がさないからねー」
「アンタらで行ってきなさいよ!帰るから」
シンは2人から逃げようと抵抗し、声を上げるもルカやウイにまで捕まり大人しくなる
「シンって泳げないの?」
「水がダメなの?」
エルとヒルがシンに尋ねる
シンは、口を尖らせて拗ねた様に横を向くと
「泳げないわけじゃないわよ、たぶん‥‥
だけど泳いだ事がないし、浮いた事も無いのよ」
ルカが興奮した様にシンを後ろから抱き締めて
「教えてあげる!行こう!」
「「行こう!」」
エルが右手をヒルが左手をシンと繋いで上に上げる
シンは首を横にブンブンと振りながら
「いやだし!!やめて!いやだ!」
シンの叫びは虚しかった
開法学園は色々な種族の優秀な人材を受け入れている
スポーツは、どの学校でも有名であるが学問で有名なのは開法学園であった
学園では高等部以降、ファミリーの形成に力を入れており、保護者に子供の未来を託してもらえる学校を目指して学園運営をしている
中等部まではスポーツで感情のコントロール、人格形成を主としてあらゆる施設の拡充と生徒の自主性を助ける学園を目指している
「もうダメだ‥‥」
シンは呟く
皆んなが、ノリノリで開法学園のプールを2時間だけ予約した
シンは持っていた荷物を寮に預けてプールに集合と言われたが、行かないでおこう
引きこもってやり過ごそうと思っていたが
ルカ、ウイ、ポー、エル、ヒルがついて来た
逃がさない為の完璧な布陣を敷かれて
そのままプールに連行された
学園に水着のレンタルを申請すると、クリーニング済みのビニール袋に入った水着をすぐに用意される
それを持って、プールに併設された更衣室に行って、着替えて出ていく所が現在の状況だった
「まぁまぁ、それに私も言うほど泳げないからさ
気にする事ないよ」
隣でシンと右手を繋いで楽しそうに歩くポーが言う
「プールサイドで足つけてるのも楽しいけど
あの3人がヤル気だから‥‥楽しくなるよ」
サリがシンの後ろから楽しそうに言う
肩を落として歩くシンに話しかけながら歩いているとプールに着いた
プールを見てシンが驚く
「はぁ?デッカ!」
アヤノがシンの反応に笑いながら、シンの顔を見て
「深さは15m、長さは200mあるから気をつけなよ〜」
シンは半眼でアヤノを見ながら
「気をつけてどうにかなるもんじゃないわよ」
シン達はそのままプールサイドで準備体操と柔軟を始める
シンがあれ?っと、周りを見渡すがルカ、エル、ヒルがいない
「あれ?ルカとエル、ヒルは?」
シンがそう聞くとリンが笑顔で、プールの中央あたりの水面を指差す
その方向をシンが見ると水面から
3人がボン!ボン!ボン!と飛び出して
3メートルくらい飛び上がるとまた水の中に飛び込んでいく
水に戻る時にあまり水飛沫が上がらず
綺麗な着水だった
「‥‥楽しそうでなによりね」
「ああなったら止めれないわよ」
ウイはシンに言って笑う
サリもカヤもシンを見て笑っている
笑顔のアヤノがシンに近づいて
「足つけにいこうか?」
「‥何を企んでいるの?」
シンはアヤノから離れるように後退りをすると後ろにいた笑顔のリンにぶつかる
「観念なさい
こうなったら1度でいいから経験しておくといいわ」
リンはシンの後ろから脇に腕を通して抱き上げてプールサイドに連れていく
シンは、ちょ!何すんの!と、もがくが
リンにガッチリと抱きつかれ、持ち上げられている為に水際まで連れていかれた
シンがプールの水の中を見ると覗き込むと
3つの影が下の方から段々と大きくなって
バッと水からルカ、エル、ヒル飛び出てくる
「ギャ「いってらっしゃいな」ー!」
リンは飛び出た3人に向かってシンをポイっと投げ込むと、パクッとシンを咥えたみたいにシンをキャッチする
4人がバシャ!と水の中に入ると
リンは跳ねた水をおもっきりかぶってしまう
リンの後ろでアヤノ達が大爆笑していた
シンはパニックになり、もがきながら
空気を吐き出して、空気を吸うってしまうが
‥‥あれ?吸える?
シンの顔は水面から出ており
エルが後ろからシンを抱きしめて立ち泳ぎしている
シンは胸ぐらいまで水面から出ている
「ビックリした?」
目の前にいる笑顔のヒルが聞いてくる
ヒルは立ち泳ぎでシンを前から抱きしめて
「じゃあ!シン!大きく息を吸って!吐いて!」
「次で止めてね!ハイ!大きく吸ってぇ〜‥‥ハイ!止める!」
エルの掛け声でトプンと3人は水に沈み込む
シンは目を強く閉じるが
「開けていいよ!シン!」
ルカの声が聞こえて目を開けると
「スゴイ!!‥‥?‥‥えっ!なんで!」
シンは声が聞こえた事を不思議に思うが
それ以上に息苦しくなく
呼吸できている事に驚いていた
シンを後ろで抱きしめているエルが
「今日は楽しむわよ!シン!」
「絶対楽しいから!」
ヒルが続くと、プールの底の方から
「シィーン!いっくよーー!」
ルカの大きい声が聞こえて
そのまま一直線に上の水面に出ていき
しばらくたってザボっと、ルカが水の中に戻ってくる
「え?なんで?呼吸?」
「ここのプールは特別性で私達が魔術で特定の人物に同じ魔術をかけれるの!」
ルカが教えてくれるエルが続けて
「水中で呼吸とかする魔術は特例を除けば
自分にしか掛けれないものなんだけど
ここはこういう仕組みなんだって!」
「スゴイでしょー!」
ヒルが周りをぐるぐる回りながら言ってる
「うん!面白い!わかんないけど!」
3人は笑顔のシンを見て、あははっと笑う
「「「いっくよーー」」」
エルがシンをルカに渡して、ルカが加速していく
魔術のせいか水流の抵抗とか水圧とかは軽減されて見た目ほどは無い
「いやっほーーっ!ぐるぐる!ボーン!」
ルカはテンションMAXで変な言葉になっていたが
シンは気にせずにずっと笑いながら水の中で泳ぐ感覚を楽しんでいた
3人はシンを順番に抱きしめながら
速度を上げたり、急降下したりしてプールを泳いでいる
プールサイドに残ったメンバーは1度プールに入って、すぐに出てプールサイドに寝転がっていた
「今入ると絶対に事故るよね?」
カヤがうーんと唸りながら、水の中で何かが高速で動いているプールを見てる
「入りたいならどうぞ、止めないわよ」
「止めれないし、止めませんよ」
ウイとサリがゴロっとしながら答えた
「あの3人はテンション高くなると人格変わるよねー」
アヤノが遠くを見つめて何かを思い出している
「シンなら大丈夫ですわよ
それなりに頑丈ですもの」
リンが遠くの雲を見つめて言う
「そうよね‥‥‥あれ?あっ!‥‥‥やばっ!」
ポーがプールの方向を見ているとすっごい速度で4人が飛び出して来た
ルカとエルとヒルは頂点に達する前に揃って、あっ!ていう感じの顔になって
シンの方を見て、空中で身体を捩ったりワタワタし始める
シンはスカイダイビングよろしくな格好で頂点に達して、笑顔のまま落下し始める
飛び上がった高さは6〜7m
ルカとエルとヒルは落下し始めるともがいても駄目だとわかり
着水までの短い時間でシンに両手を合わせて目を瞑った
シンは3人の動作を見て?ていう顔でいると
4人とも腹打ち着水した
その様子を見ていたプールサイドのメンバーは慌ててプールに飛び込んだ
なんとかプールサイドに上がった全員は
寝転がりながら、ずっと笑っていた
飛び上がった4人は、全員が着水の時に腹打ちをした為に、顔が赤い感じになっている
「あ〜〜!楽しかった!」
シンは夏の空を見上げてそう言った
髪を少しだけ乾かして涼む為に寮の屋上に上がる
日が傾き夕方になっていた
「‥‥‥」
なんか、なんとなく全員が無言だった
目を瞑って風にあたったり、髪をかき上げたりしていた
「来年はどうするの?シン」
ポーは皆が聞きたい事をサラッと聞いた
ポーの内心はバクバクしていたのだが
「どうもしないよ」
シンは目を瞑り、風にあたって気持ちよさそうにしている
「そうじゃないわよ」
「来年から開法に来ないかって意味よ」
リンが言って、サリが続ける
「なんで?」
シンはサリの方を見ると全員がシンを見ていた
「学園に編入してさ
‥‥私達とバレーしたり
遊んだりしない?」
アヤノはシンに近づいて言う
シンは近づいてきたアヤノの体を軽く押して答える
「ん〜‥‥嫌」
「「なんで!」」
エルとヒルの気迫ある言葉にシンはビックリした
「コッチに来たら面白いかなぁと思ってるんだよ」
「なんで嫌なのよ」
カヤはエルの頭に手を置き、ウイはヒルを撫でながら言った
「ん〜〜〜」
「答えて」
シンが伸びをするとルカが急かすように言う
あ〜〜〜そうね‥‥‥
夕日が遠くの山に沈んでいくのを見ながら
シンは話し出す
あたりは少しずつ暗くなり始めていた




