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11話 色々とハシャいだ結果

「あ〜え〜も〜幸せ!美味いの余韻がすごい」


カヤはそんな事を言いながら

お腹をさすりながら歩く


「満腹天国」


ルカもお腹をさすりながら

薄ら笑いを浮かべて歩いている


「行儀悪いわよあなた達」

「えー、リンもパンパンじゃない」

「ちょ!やめなさい!」


ポーがリンのお腹あたりを触って

じゃれつきながら歩いている


「シン、目的のお店はどこ?」


エルが聞くとシンはポケットから紙を取り出す


「ここなんだけど、わかる?」


ヒルが受け取り、ウイとサリも見る


「コレはいいのかしら」

「シン、買う物は決まってるの?」

「予約してあるから」


ウイが顔をしかめて呟いて周りを見渡す

シンはサリの疑問に答えて、えへへと笑う


「予約?なに?どしたの?」


聞いてきたアヤノにシンからもらった紙を渡して、ヒルは心配そうにアヤノを見る

アヤノは紙をサッと見るとリンに紙を見せた


「なんかまずいの?」


シンは皆んなの反応が悪いので

心配になって、皆んなの方を向くと

リンに声を掛けられる


「シン、予約済みなのね」

「えっと‥‥これが予約のやつ」


シンがポケットからもう一枚の紙を出して渡すとリン、ウイ、サリはその紙を見て


「行ってみないとわかんないわね」

「とにかく行ってみましょう」


ウイとサリはそう言うが、リンは無言だった



リンの案内で目的の店に到着した

古い店をリフォームしたとかで

外観をあまり変えずに中を今風にしている

全体的に整っているキレイな感じの店舗だ


そんなに大きくない店舗で大きな窓からは店員さんも見えているし、今はお客さんもいない


「じゃあ、サッと買ってくるから」


シンは店に入って行った

皆んなは店の外で待っといてとの事だった


「どうなるかな?」

「おそらくは買えないわね」


ポーの問いにリンが答える

エルとヒルがエッ?と声を上げるとウイが


「よくこういう遊びがあるのよ

見せてもらった予約表には種族を入力する場所があったから、おそらく」

「予約して、ノコノコと来た弱い種族を突っぱねて帰す

偶に聞くけどホントだったんだ」


カヤが肩をすくめながら続けて言うと

ルカが窓越しに見える店員を睨みつけながら


「今回は冗談では済まない」

「喋るわね、怒んないでよ」


サリがルカを茶化しながら、落ち着かせようとする

リンが横目でルカとサリを見ながら何か言おうとした時に、店のドアが開いてシンが出てくる


「買えた?」


アヤノが聞くとシンは首を振って


「なんか売れすぎて昨日無くなったんだって

予約してるって言ったら手違いですので

お引き取りくださーっておい!リン!」


シンが言い終わる前にシンから予約表を奪い取ってリンが足早に店に入る

リンは店のカウンターまで小走りに行き

さっきシンの対応をした従業員の前まで行く


「エッ、お嬢」

「アナタは何をしたの!正直に言いなさい!」


シン達が追いつくとリンは従業員に怒り、怒鳴っていた


「この予約表に書いてある商品は1年も前に廃番になった商品よ!

予約の日付は2ヶ月前!

売れすぎって何?商品を売った証拠を見せなさい!今すぐに!」

「‥‥」

「何を黙っているの!アナタは!

さっきついた嘘をもう一度吐いてみなさい!

手違いだから何?

シンが、どう間違ったって言うの!

言ってごらんなさい!」

「わ‥‥私は‥‥」


従業員は下を向く


「だから、なんか言ってごらぁ〜〜、シン?」


シンがリンの正面から抱きつく様にして止める

身長差がある為にリンの胸にシンの顔がうずくまっている

シンはリンを見上げながら


「もういいから」

「でも、シンが悪くないのよ」

「もう商品はないんですよね?」


シンが従業員に問いかけると

従業員は小さい動きで頷く

その姿を見てリンが舌打ちをして口を開く


「なん「もういいから!」」


シンはリンの言葉を遮って言うと

従業員の方を向きなおり、頭を下げて


「お騒がせしました」


シンはそう言うと皆んなに、ほら!行こう!とドアの方へと促す

シンに促されて、皆んながドアの方を向くと

ドアの前に和服姿の年配の女性が立っていた

全員がビクッとする

店内は見渡せるぐらいの広さで誰かが動いたらわかるぐらいなのに急にそこに現れた

年配の女性はシン達におじきをすると


「何かありましたか?

よかったら、お聞かせくださいませんか」


存在感とは裏腹に優しい声色だった

誰が言ったか、小声でラスボス?とか聞こえてくる

お願い!やめてとも聞こえてきた


「商品を予約して来店したんですけど

商品が売り切れてないと言われまして

友達がその事に怒ってくれたんです

お騒がせしてすいません」


シンが言い切ってから頭を下げると

リンは友達と呟きながら一緒に頭を下げる


「予約ですか‥‥

申し訳ありませんが、わかるものがありますか?」


シンはリンが持っていた予約表を返してもらって、年配の女性に渡すと


「不思議ですね‥‥

今は予約をしていないはずですが‥‥

それにしても種族まで入力しろだなんて

フフ‥‥本当におかしな表ですね

商品は‥‥私が昔に発案した物ですね」


なんか少し空気が乾いていってるような

息苦しくなって、段々と喉が渇くような

年配の女性は喋りながらフツフツと煮えたぎっている様に見えた


シン達は、後退りをしたかったが

なんか今動けば、とばっちりがきそうな感じがする

気のせいだと思うけども

年配の女性は従業員の方を見て


「何かわかるかしら?」

「す、すいませんでした」


年配の女性は笑顔で目だけを細めて


「後で報告書を待っていますよ」


従業員にそう言うと、年配の女性は笑顔でシンの方を向いて


「この予約表をもらって良いかしら」

「あ‥‥はい」


シンがそう答えると笑顔の年配女性は

シンの近くまで歩いてきて、少しかがんでシンの頭を撫でると


「このお店をね、始めた時はアナタみたいな子が常連さんだったのよ

そんな常連さんが大きくなったらね

常連さんの子供の頃にそっくりな子供を連れて買いに来てくれた

本当に嬉しかったわ

ここには良い思い出があるからってね

‥‥それも分からずに、私達が積み上げたものを自分の物と勘違いして、挙句の果てには」

「やめて!焦げちゃうから!」


年配の女性はシンの頭を撫でながら、段々と剣呑になっていく

しまいには、あたりからジリジリと音が聞こえ始めたので、年配の女性に対してシンは声を上げて抗議する


「ああ、ごめんなさいね」


年配の女性が笑顔でパッとシンの頭から手を離すとウイとルカがシンを回収して、頭をヨシヨシしている

年配の女性はシン達を順に見て、最後にリンを見ながら


「今から時間はあるかしら?」

「あるんじゃないの?聞かれてるわよ、シン」


リンはそっけなく答えてシンを見る


「ありますけど?」


シンはなんか疑問系になりながら答える


「では、私が何か作ってあげましょう」


年配の女性がそう答えるとリンがウイを見る

ウイは目を逸らしてサリを見るも目を瞑って樹木になろうとしてる

店の中でなっても違和感が半端ないとルカは思ったが、気持ちがわかる為に何も言わずにいた


「えっ、でも私‥‥五千円しか持ってないけど」


シンがそう答えるとリンが


「いや、あのね五千円って」

「五千円って言うけどね!

お菓子我慢して8ヶ月もかかったのよ」


年配の女性はシンを一瞬だけ驚く様に見た後

優しそうな笑顔を浮かべ


「じゃあ五千円分で私が張り切って作ってもいいかしら?」

「えっと、本当に足りますか?」

「充分よ」


年配の女性はカウンターの横にある襖を開けて、履き物を脱いで上がる


「コッチにいらっしゃい」


年配の女性が手招きするとシン達は襖の向こうにある和室に履き物を脱いで上がる

広!いい匂い!とかハシャいでいるシン達を笑顔で見ながら、年配の女性は従業員に小声で


「徹底的に調べなさい

‥‥私の機嫌が良いうちに」

「は、はい」


年配の女性は襖を閉じて和室に入って行った



年配の女性に連れられて行った場所は壁際に和服が何枚も掛けてある広い和室だった

和室の真ん中には色々と置いてあったが

ソレがなんなのかはシンにはわからなかった


年配の女性に促されて

シン達は部屋で円を描くように座る

年配の女性はシンを見て


「それじゃあ、なんのために買おうとしたか

教えてもらってもいいかしら?」

「えっと、兄と姉達は血は繋がってなくて

今回ファミリーになる事になったので

その姉達への祝いの品です」


シンはなんとか端的にまとめて言ってみると

年配の女性は部屋の真ん中に置いてある木枠を手に取って


「組紐とかどうかしら」

「組紐、良いと思います!」


シンは嬉しそうに賛同しているが

他のメンバーはどうして知らないの!?

とツッコミを入れてシンをどうにかしたかった

発言だけは間違えないで下さいお願いしますという感じで見守っている


「組紐作ってみる?」

「え?絶対無理です!不器用なんで」

「あら?案外簡単なものよ」


年配の女性はシンに笑顔で言うと木枠を置いて手慣れた動きで準備していく

シン以外は早くなるべく穏便に終わらせて欲しいと願っていた

簡単なんて嘘だから、乗っからないでシン!とか思っていたが


「えっ?そうなんですか?」


シンが少し意外そうに答えたのを聞いて

な訳あるか!と全員がツッコミを入れたいけどもジッとしていた

年配の女性はチョイチョイと手招きして

手元がよく見える位置までシンを招いて組紐を教えていく


「まずはこう置くの」


年配の女性はシンに紐を編んでいく過程を教えていく

シンが編んでいくところをジッと不思議そうに見てくるので、年配の女性は少し笑いながらゆっくりと手元を動かしていく


「はい、やってみて」

「はい」


年配の女性が使っていた木枠をシンは受け取ると年配の女性がやった通りにシンが真似していく

手を出そうとした年配の女性は手を引いてシンの手元をジッと見ていた

シンは少し迷う動きをするものの

年配の女性が手出しする事なく教えられた所までやり切ってしまう


「いいじゃない

あなた本格的にやってみない?」


そう言いながら年配の女性はもう一個木枠を取り出してシンに見せながら組紐を作っていく

その様子をシンはジッと見て、手元の紐を動かしてみる

ん〜と唸って、シンはジッと年配の女性の手元をもう一度よく見ていた


「あら、どうしたの?分からない?」

「どうやったら、その音が鳴るんですか?チリンチリンって」


年配の女性は、シンにそう言われて笑顔のままでビシッと固まる

シンは不思議そうにしながらも自分の組紐を編んで見るも、やっぱ鳴らないと呟く

シンの発言以降手が止まっていた年配の女性は立ち上がって、シンの真正面に歩いてきて座る


「アナタ名前は?」

「え?シンです

シン・フジムラです」

「シンちゃん、今から奇妙な事を聞くけど

できるだけ正直に答えて欲しいの?いい?」


年配の女性ニコニコ笑って、シンに質問をしようとする

その光景を見ているリンは冷や汗が止まらなかった

さっきから、とにかくシンに対して目力で何かを伝えようとしている

他のメンバーは何かを察したのか座りながら

ズリズリとリンから離れていく


「シンちゃん

最近雷に打たれた事ってあるかしら?

それも種族的な」


シンは何か視線を感じたのと思う事があったのでリンの方を見ようとしたが

笑顔が怖い年配の女性に顔が動かない様に両頬を手で優しく挟まれた


「シンちゃん、答えてみて」

「昨日、バレーで思い切りやられました」


年配の女性はシンの頬から手を離し

ゆっくりとゆらぁとした感じで立ち上がって

座っているリンを見る

正座しているリンは自分の膝を見ながら

あの‥‥えっと‥‥と言いながら、言葉を探す


「あの‥‥お婆様

コレは‥‥そう!コレはお母様も知っている事ですし、それに‥‥あの‥‥ごめ」

「ダマリナサイ」


リンは言い訳を言い始めて、母親を巻き込もうとするも年配の女性と目が合ってしまう

謝罪の言葉を言う前に黙らされたリンは年配の女性が向かった隣の部屋に大人しくついて行った

そこからは隣の部屋に行った2人を待つだけの

長い5分間が始まった



「気を取り直して組紐を作っていくわね」

「はい!」


リンのお婆様にそう言われて、シンは背筋を伸ばして答える

結局、リンのお婆様は戻ってきたが、リンは戻ってこなかった


〔お婆様が組紐が作り終わるくらいには戻りますので、心配しないでください

絶対に待っててください!

先に帰ったら恨むわよ!絶対に!〕


というメッセージが入ってきた

なりすましを疑うレベルではあるが

最後がリンらしいのでシン達は良しとした


リンのお婆様が組紐を作っていくと

シンは目を瞑って、何かのリズムに合わせて

体を揺らし始めた

リンのお婆様が奏でて、シンが踊っている

周りからはそんな感じにも見えていた

不意に廊下側から


「ほう」


という声が聞こえて何人かが振り返ると浴衣姿の年配の男性が人差し指を口に当ててシッーとやってくる

リンのお婆様とシンを見て何度か頷いた後

ゆっくりと去って行った



組紐は4本完成した

3本は30センチぐらいの長さで贈り物用

残りの1本は2メートルを超えていたが

お詫びと称してシンに渡された


「観客が本当にうるさくてね

何度もアンコールしてくるもんだから

ごめんなさいね」


リンのお婆様がハシャいだ結果らしい

その後、リンは元に戻って帰ってきたが


「しばらくは大人しくするわ、2度とごめんよ」


シン達は、私達も巻き込まれんのはごめんだわと思っていた



「まったく、本当に不躾ではありませんこと?

何度も何度も、もうしばらく見ていたい、続けて欲しいなんて」


リンのお婆様はそう言って、居間に座る浴衣姿の年配男性にお茶を出す


「しばらくの間、見ていなかったからね

あんなハシャぐキミの姿を」

「本当にいい子達ばかりでしたよ

あなたが可愛がっているリン以外は」

「おや、手厳しい事だね、何があったんだい?」


リンのお爺様は肩をすくめて先を促す

リンのお婆様が怒りを露わにしながら、店での事を言うと

リンのお爺様は目を細めて、ほぉと言うが

昨日にリンの雷撃を喰らって

今日は妻の相手をしていたシンに興味が移っていた


「シンちゃん関連の動画を送るように言っておいたので、今日の晩御飯の時にでもどうですか?」

「動画ね‥‥どうも苦手だけど見てみよう

孫が迷惑を掛けたのに友達で

しかも名前を教えているシンちゃんとやらを」


リンのお婆様はフッーと息を吐いて

お茶を飲むとリンのお爺様を少し睨みながら


「そろそろ締め切りも近いんではありませんか?

遊んでないで本腰をいれたらどうです?」

「それを言ったらキミもだろう?どうなんだい?」

「今日にね、色々とありましたし

また思う事もありましたから

後、何かひと押しあれば間に合いそうです」

「うらやましい限りだよ」


少しだけ笑いながらリンのお婆様は立ち上がると


「少しお店を見てきます」


そう言って居間から出ていく妻をリンのお爺様は頷いて見送る

リンのお爺様は縁側に目を向けた後、夏の日差しに目を細めて


「もうすぐ夏も終わるね」


そう呟いた


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