スケルトンの日々

名もなく、肉もなく、ただ骨だけの存在として目覚めたスケルトン。
自らが誰であったのか、なぜ甦ったのか、その答えはどこにもない。
残されたのは、夜風に軋む骨の音と、胸の奥に残る虚ろな痛みだけ。

歩みの中で、彼は壊れた壺や崩れた廃墟に触れる。
そのたびに、断片的な記憶が蘇る――
湯気の立つ食卓、誰かの笑い声、温もりある手の感触。
だが顔も名も思い出せず、記憶は砂のように零れ落ちていく。

「生きているとは何か」
「失ったものは戻らないのか」
問いは深まり、答えは遠のく。

それでも、問い続けることをやめてしまえば、ただの石ころと変わらない。
だから彼は歩き続ける。
骨の足音を鼓動の代わりに、風の音を息の代わりに。

スケルトンの日々は、失われた「生」を探し求める果てなき旅であった。