断罪イベント365ー第51回 ランク別王子攻略法
黒幕に必要なのは、涙と構成、そして――観察眼。
今回は特別講習として、クラリ嬢率いる《黒幕ラボ》が“王子たち”をランク別に徹底分析!
「さて、今日のテーマは“王子”です」クラリ嬢が静かに告げた。
「構成家たるもの、相手の思考構造を知らずして舞台を仕切ることはできないわ。つまり、“王子分析”は**黒幕の初歩にして極意**よ!」
壁のホワイトボードに、すでに王子たちの似顔絵が描かれている。
上には大きく「王子ランク分類表2025」と書かれていた。
【Sランク】純愛特化型(通称:ピュア王子)
アリステアが説明を引き継ぐ。
「このタイプは感情の流れに敏感。
“風が泣いてる”だけで謝るタイプよ」
「つまり、涙演出が効きすぎるのね」
クラリ嬢が頷く。
「そう。あまり泣かせすぎると自己嫌悪で倒れるわ」
「じゃあ、涙ポーションは三滴じゃなくて**一滴薄め**にね」
メイドBが真顔でメモを取る。
【Aランク】理想主義型(通称:スピーチ王子)
「断罪会場で語りたがるタイプね」
クラリ嬢の声に、ルシルがうなずいた。
「彼らは“自分のセリフ”に酔ってる。
だから黒幕側が一言だけ“矛盾”を差し込むと、自壊します」
「例:“お優しいあなたが、なぜ人を泣かせるのです?”」
ルシルの一言で、全員がうっとりした。
「名文……!」
フィオナの通信ログに「拍手×12」と表示される。
【Bランク】現実逃避型(通称:責任放棄王子)
アリステアがため息をついた。
「風読まないタイプね。空気が淀む」
「このタイプは、“かわいそうな僕”が口癖。
泣かせても気づかない。だから――」
クラリ嬢は紅茶をすする。
「**構成で“責任感の擬似空気”を作るの。**
群衆の視線と拍手を逆算して、“あれ?自分が悪いのかも”と思わせるのよ」
メイドB:「つまり、集団演出で矯正する感じですね」
「そう。人間は一人では反省しないものよ」
【Cランク】鉄壁論理型(通称:口撃王子)
「感情が通じないタイプ。全部理屈で返すのよ」
クラリ嬢がペンを走らせる。
「“それはあなたの感情論だ”とか言い出すタイプね」
ルシルが眉をひそめる。
「ええ。だから、**理論ではなく“沈黙”で崩す。**
沈黙の五秒を入れるだけで、彼らは焦るのよ」
「沈黙魔法、発動しますか?」
アリステアが軽く風を巻き起こす。
「いいえ、自然風で十分。静寂は最強の構成要素よ」
「以上が、現時点での王子ランク別攻略法です。
次回までに、自分の王子タイプを見極めておくこと――いいわね?」
「了解です、クラリ嬢!」
「地下のWi-Fi王子は何ランクですか?」とフィオナが問う。
クラリ嬢は静かに微笑んだ。
「ランク外よ。彼はもう、構成で救える範囲を超えているわ。」
紅茶の湯気が静かに揺れ、講義は終了した。
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