私の本当のお父さんを探す旅に私は出る!
“私の本当のお父さんを探す旅に私は出る!”
私は母が亡くなる前にこう聞いたの。
“私の本当の父親は何処に居るの?”
そう聞くと? 母は私にこう答えたわ。
“それは自分の目でしっかり見るのね! きっと何処かに貴女の父親は居るわ。”
母親は私にそう言うと息を引き取った。
結局、母親は私に父親が誰なのか教えず亡くなってしまったの。
・・・ただ母親が亡くなる3年前から一緒に住んでいる男性が居る。
“母の最期の旦那さん。”
私と殆ど歳の変わらない、この若い父親は母親の10番目の旦那さんだ!
“母親は結婚と離婚を何度も繰り返していたのだ。”
だから父親が違う私の兄弟があちこちに居る。
勿論! 私が認識している兄弟やまだ会った事もない姉妹も他にいるのだろう。
“私は母親が再婚した7番目のお父さんとの子だ!”
ただ今も思うのだけど? 何故か私だけを母は再婚する男性の家に
一緒に連れて行ってくれた。
でも私が産まれた時には、“父親の姿はなかった。”
だからなのか? 母は私を他の子より物凄く可愛がってくれたわ!
それが私は凄く嬉しかった。
『・・・ねえママ? 私の本当のお父さんは一体、何処に居るの?』
『さあね。』
『まだ生きてるんだよね?』
『“生きてるわよ。”』
『じゃあ、何故? 私に一度も会いに来ないの?』
『“貴女がまだ小さい時は、ちょくちょく貴女に会いに来てたのにね。”』
『・・・じゃあ、今は何故? 会いに来ないの?』
『仕事が忙しんじゃないの。』
『そんなの言い訳になる? 私はもう26歳なのよ! 父親参観日や父の日の
プレゼントも渡した事がない、せめてお父さんがどんな人だったのか教えてよ、
ママ!』
『・・・うーん、そう言われてもね、』
『せめてお父さんの、写真や動画は残ってないの?』
『・・・それが彼は写真や動画みたいな残るモノが嫌いでね! なんにも残って
ないのよ、ごめんなさいね。』
『“お父さん、本当に私の事を愛してたの?”』
『そんなの当たり前じゃない! 貴女の事をずっと愛しているわ。
毎年貴女宛てに手紙が一通来るのよ。』
『えぇ!? 見せて!』
『いいわ、そこで待ってて。』
『うん!』
*
母はそう言うと? 椅子から立ち上がり手紙を取りに行った。
元々、クッキーが入っていた丸い入れ物に27通の父親からの手紙が
私宛に届いていたのだ。
『本当だ! お父さんからの手紙。』
『初めて見せるわね、読んでみる?』
『・・・ううん。』
父親が私の誕生日に宛てて書いてくれた手紙。
私の成長を気にかけながらも楽しんくれているのが分かる手紙の内容。
例えば? 私がハイハイし始めた時や初めて立った時、初めて歩いた時も、
私が6歳の時に、ランドセルは何色で友達は何人できたとか?
毎日楽しく学校に行けてるのかとか? お母さんに学校であった事を家に
帰って話してるのとか?
心温まる内容がぎっしり手紙の中に書き込まれていた。
“初めて見る父親の字に私は涙が止まらなくなった!”
母はそっと私の横につき、私の背中を優しくさすってくれたわ。
私はちゃんと父親に愛されていたんだとこれで分かったの!
そして私は父親の手紙を頼りに父親を探す事に決めたわ。
“私の本当のお父さんを探す旅に私は出る!”
そう心に決めたの!
それから3年半かけてやっと私は父親を探し出す事が出来たのだけど?
父親は既に、“再婚しており、子供も3人居たのよ。
これは本当に私は父親に会うべきなのか?”
今は会うべきではないのか?
・・・まだ、私は心を決めかねているところだったわ。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。