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第1章: 虚無へ還る者

虚無の旅人




次元が崩壊し、現実が崩れ去り、生命が終焉を迎える。


しかし、それを何百回、何千回と目にしてきた者にとって、崩壊とは単なる日常に過ぎなかった。




オリオンは、五百以上の次元を渡り歩いた放浪者。


彼が訪れる世界では、すべてが滅び、彼の前に立ちはだかる者はことごとく消されていった。




だが——




絶対的な力を持つ彼の内には、それ以上の虚無が広がっていた。




退屈。空虚。


もはや、彼の心を揺さぶるものは何もない。

「何だ?」


オリオンの刃がほぼアンタレスを捉えそうになるも、彼はそれをかわし、一足踏み込んだ。その瞬間、絶対氷が地面から広がり、鋭い柱となってオリオンの体を貫いた。


「ブハハハハ!! 言っただろ、オリオン。お前は甘すぎる!」


アンタレスは大声で笑い、満足げな表情を浮かべた。


「今のお前を見ろ。力尽きたアリのように落ちていくなんて。」


「そして、何のために? そんなバランスを守るために、神々さえ気にしないものを?」


氷はオリオンの体を貫通し、ゆっくりと骨と肉を凍らせていった。


アンタレスはオリオンを弄びながら、その堕ち行く姿を楽しんでいた。


「どうしてそんなに頑固なんだ、あの愚かな上司たちの下で働いて?」


「もういいじゃないか…あの世界が崩れようと、次元の亀裂に潜むモンスターたちがそれを食い尽くしても。」


オリオンは痛みで呻きながらも、凍る血液に耐えていた。


「お前にはわからない、アンタレス…!」


「もしあの亀裂を放っておいたら、あの中にいる危険な生物たちが外に出て…」


「地球の命を滅ぼすことになるんだ!」


彼の目はアンタレスを睨みつけ、しかし体はどんどん弱っていった。


アンタレスは嘲笑するように鼻を鳴らし、無力なオリオンに歩み寄った。


「今、誰に話しているんだ、オリオン?」


「お前、次元の亀裂の因果関係を知らないと思っているのか?」


彼は剣を持ち上げ、その冷気を空気に漂わせた。


「でも、それが俺とお前の違いだ、オリオン…」


「俺は現実を受け入れた。お前はまだ自分を欺いている。」


突然、アンタレスはオリオンの左腕を氷の剣で斬りつけた。


「アークティック・ジャッジメント」


「スラッシュ!!!」


血が噴き出すが、空気中で凍りついていった。


オリオンは地面に倒れ、耐え難い痛みに呻き声を上げた。


「アアアアアアアアアアア!!!」


左腕は消えてしまい、残されたのは氷の破片と凍った血だけだった。


アンタレスはオリオンの無力な体の上に立ち、軽蔑の笑みを浮かべて見下ろした。


「これで、お前に一つだけ教えてやる、オリオン。」


彼はオリオンの切り取られた左腕を拾い、無価値な物のように遊びながら言った。


「よく見ろ。」


その腕を高く掲げ、一握りで氷の破片に変えた。


「くそったれ、アンタレス!」


オリオンは切り落とされた腕が目の前で砕けていくのを見て驚いた。


「死ぬ前に一つ言わせてくれ。」


「かつて、俺もお前と同じく次元を守る者だったんだ、オリオン。」


その言葉にオリオンは驚き、目を見開いた。


「どうして裏切ったんだ? お前も俺と同じ次元の守護者だったなら。」


アンタレスはオリオンの前に立ち、剣をゆっくりと回しながら言った。


その剣の刃は冷たく輝き、もう消すことのできない憎しみを反射していた。


「かつて、俺は信じていた。次元のバランスを守ることこそが最高の目的だと。」


「世界が崩れるたびに俺は現れ、外部からの脅威に立ち向かった。」


「俺は彼らを守り、戦い、全てを捧げた。」


短いため息をつき、彼は剣を空中に振りかざすと、その刃がオリオンの顔の前で止まった。


「でも、一つの誤りが全てを変えた。」


アンタレスはオリオンの周りを歩きながら、冷ややかな目で見下ろした。


「千年前、俺は理解できない力に世界が崩れそうになった時、そこに現れた。」


「でも、そこで俺は予想もしないものを見つけた。」


彼は一時的に足を止め、少しだけ顎を上げ、思い出すように言った。


「彼らは…救われることを拒んだ。」


「彼らは苦しみから生き残るよりも、破滅を選んだ。」


「俺が救おうとした時さえ、彼らは俺を憎んだ。」


彼の目が再びオリオンに向けられ、嘲笑の色が浮かんだ。


「想像できるか? 俺が、神でありながら、助けようとした者たちから敵だと思われたことを。」


「俺も考えた―なぜだ? 俺はただ助けたかっただけなのに。」


「でも、俺が強引に自分の意志を押し通した結果、もっとひどいことが起きた。」


彼は歩みを止め、剣の柄をより強く握りしめた。


「俺が彼らを救おうとした代わりに、バランスを崩してしまった。」


「その次元は…消えた。」


アンタレスは空虚な笑みを浮かべた。


「俺は自分の目で見たんだ…守ろうとした者たちが跡形もなく消えていくのを。」


「その後、俺は答えを探し続けた。」


「なぜこれが起こった? 何が間違っていたのか?」


「でも、答えにたどり着こうとしたその時…」


「神々が現れた。」


「彼らは俺を裁いた、俺の理由を聞こうともせずに。」


「‘お前は守るべき次元を破壊した。お前は次元の守護者としての恥だ’」


「俺が? 恥だって?」


「俺はただこの世界を守ろうとした唯一の者だったんだ! なのにお前たちはただ命令に従うだけで何も考えなかった!」


アンタレスはオリオンを軽蔑の眼差しで見下ろし、語気を荒げた。


「彼らは俺を虚無に追いやった。」


「光も時間も命も存在しない場所に。」


「でも、オリオン、お前は知っているか?」


「虚無こそが、罰を受けた神々のゴミ箱だということを。」


アンタレスはオリオンに近づき、目をじっと見つめた。


小さく笑った。


「お前はまだ気づいていない。」


「俺は答えを探していた。」


「なぜその次元が消えたのか。」


「そして、ついに理解した。」


「その次元は俺が破壊したのではない。」


「その次元は最初から破壊される運命だった。」


アンタレスは冷たく笑った。


「神々のシステムこそ…ただの巨大な監獄だ。」


「お前が‘ただの脅威だ’と思っているモンスターたちは、それ以上の存在だ。」


「彼らはただの生物じゃない…彼らは神々が撒いた破壊の種だ。」


彼はオリオンに対し、冷ややかな笑みを浮かべて言った。


「お前は知っているか、オリオン?」


「なぜ彼らは俺を罰したのか?」


「俺が真実に気づきかけたからだ。」


「彼らは俺に知らせたくなかった、これまで俺たちはただの駒だということを。」


「この世界は最初から崩壊する運命にあったことを。」


「もし俺がこの世界を救えないのなら…」


「ならば、俺はモンスターたちが目を覚ます前に、この世界を壊す。」


「お前はまだこのバランスを信じているのか、オリオン?」


「俺もかつてはお前のように愚かだった。俺たちがこの世界を守れると思っていた。」


「でも、俺はその結末を見た。」


「そして、俺はその真実を受け入れることに決めた。」


「でもお前は?」


「お前は存在しなかったはずのバランスを夢見ているだけだ。」


彼は歩みを止め、剣を掲げた。


「俺はこの現実を受け入れた。」


「そして今、俺はお前がそれを拒む力があるのかを見てみたい。」


彼は剣を横に振り、氷のエネルギーの波を空気に放った。


「見せてくれ、オリオン。」


「お前は虚無のためにすべてを投げ出す神になり果てるのか…」


「それとも、お前はもっと何かになるのか?」

ご覧いただきありがとうございます!




この第一章では、次元を旅するオリオンという人物を紹介しました。


彼は圧倒的な力を持ちながらも、同じサイクルを繰り返すことに飽きてしまった存在です。


しかし、今回の旅はいつもとは違う——彼自身でさえ理解できない「何か」が待ち受けていました。




皆さんはオリオンと彼の世界についてどう思いましたか?


彼が足を踏み入れた新たな次元に興味を持ちましたか?


ぜひコメントで感想を聞かせてください!




それでは、次の章でお会いしましょう!

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