ゴブリンの巣【タイチョウ目線】
私は、アルマムーン帝国近衛騎士団、第三方面部隊長の、名前はタイチョウという。
人からは、タイチョウ隊長と呼ばれている。
「タイチョウ隊長。出陣の用意ができました。」
「そうか。では我々、近衛騎士団第三方面部隊も向かうとしよう。」
愛野薬子とは、同僚以上、恋人未満、まあ、そういった関係性だ。
愛野薬子、彼女の性格を一言で言うと、まるで幼い少女が、そのまま大人の女性になったような感じだと、私個人の感想ではあるが、思った。
しかしながら、一つ不思議に思うことがある。ゴブリンたちはなぜ、わざわざ愛野薬子のいる、あの研究所を狙ったのか?
あの研究所のある場所に、彼らにとって、何か特別な何かでもあるというのか?
そんなことを考えているうちに、我々は、ゴブリンの巣にたどり着いた。
「タイチョウ隊長、皇帝陛下はどうやら、ゴブリンたちをおびきよせるようにとのことです。」
「おびきよせるとは?」
「ダンジョンの奥の方にいるゴブリンたちのところに、歩兵部隊を差し向け、そこから一気に入口付近までダッシュ。
ゴブリンたちは入口付近まで追いかけてくるので、そこまで行ったら、あとは弓兵部隊が待ち伏せして、一網打尽にするつもりのようです。」
この作戦、本当にそんなにうまくいくのかよ、と思っていたら、なんと意外とあっさり成功した。おかげさまで、ゴブリンたちを一網打尽にすることができたようだ。
ところが、その喜びも束の間だった。
「うわああ!大変だ!S級ランクのプレイヤーが、あっさり殺されたぞ!」
テオドール
「何!? S級ランクのプレイヤーが!?
そうと聞くと、こうしてはおれんな。
俺の剣と、回復アイテムと、それからロザリオのお守りを用意しろ!
案ずるな。こういう時のために、ダンジョン脱出用の魔法は、必須だ。」
そんな中で、私の姿がテオドール皇帝の目に入ったようだった。私の存在に気づいたテオドール皇帝は、私に命じた。
「おぬしが噂に聞く、タイチョウ隊長か。
おぬしも私とともに、ダンジョンの一番奥まで来るのだ。そこにS級ランクのプレイヤーを殺したやつがいるはずだ。
おぬしも助太刀いたせ。よいか、これは勅命である。」
こうして我々は、ダンジョンの一番奥まで向かっていった。そこに何が待ち構えているのかも知らずに。
「おそらくは、これまでに戦ったことの無いような手強い相手が待っているのでしょうな、陛下。
ですがご心配には及びません。いざとなれば、このタイチョウが、命にかえても陛下をお守りいたします。」
テオドール
「そうか、それを聞いて、助かるな。」
やはり、ゴブリンたちは操られていただけのザコ。本当の黒幕は他にいる。
そして、ダンジョンの最深部に到着すると、一人の勇者らしき男が倒れていた。
どうやら、この男がS級ランクのプレイヤーのようだ。
S級ランクのプレイヤーは、既に息絶え、
横たわっていた。
話しかけても、反応は無かった。
まだ敵の気配があると思い、あたりを見回すが、気配は無い。