形態変化
自我の均衡を保ったまま
姿見だけを掻き混ぜて
慣れぬ四肢を羽化させる
不気味さすらも感じさせない
形態変化と呼べる体験を
孤独の夜が見守っていた
人に有るまじき進化を
孤独は受け入れ適応させた
自分のモノではない身体を
ただ高らかに掲げ吠える事すら
生命本能の在るままだと感じる
本来の自我では人間らしかった
記憶すらも今は不鮮明だ
隣に居た何かが居たはずだ
防火扉を蹴破って進む先に
確かに誰か居たはずなんだ
恐怖を纏った表情を貫いて
孤独を求めまた彷徨う