表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/17

終わりの始まり

 カーライルは考えた。これ以上このことにかかわりあっていたらストレスがたまるばかりだ。

 それならばさっさと終わりにすべきだと。

「それでどうするんだ」

 クルトが呟く、来るとも相当疲れている。

「チェリアに何とか近づいて通報してもらう」

 それが一番いいと思われた。ずっと大っ嫌いな男に付きまとわれて無理やり交際を強要されている。そう訴え出ればいいのだ。

「断れば家族に危害を加えると脅かされていたと言ってな」

「まあ、それが妥当だね」

 クルトはそう言ってカレンダーをめくる。

 適当な決行日を決めようとしたのだ。

「そう言えば、そのあのあほの実家の問題なんだけど、そっちの情報もいる?」

 すでにグレンの頼みごとに相反する行動になるがもともと聞いてやるつもりは毛頭なかった。あっちが勝手に勘違いしているだけだ。

「それとさ、実はちょっとある人を見つけたんだ」

 ピーターがそう言った。

「昔、キルヒャーの腰ぎんちゃくをやっていたやつ。子供の時に離れたそうなんだけどあの二人の問題って子供のころに端を発しているだろ」

「つまり根本問題を見直すのか?」

 そんなことをして意味があるのか、そんな顔をカーライルはしていた。

「なんで嫌われたかわかって、そのあとそれの挽回は絶対できないって理解してもらわないとどうしようもないだろ。このままだとたとえ捕まってもまた付きまといを続けるぞ」

 それはそうなのでカーライルもうなずく。

 グレンにはこの動きは絶対悟られてはならない。適当なことを言って丸め込んでおくことにした。


 カーライルはピーターと二人で待ち合わせ場所に向かった。クルトは適当にグレンを見張らせ絶対にそちらに近づかないようにしてもらっていた。

 そして、少し奥に入った場所にある小さな喫茶店に入った。

 ここはあまり大通りに面していないのであまり人目に付きたくない人に好評な店だ。

 そこにひっそりとその相手はいた。

 ちょっと灰色のかかった髪は薄暗い照明のせいだろうか。

「あの、まさかキルヒャーとチェリアって、まだ決着ついてないって」

 二人を見て彼はその場で絶句していた。

「まさかまだ尾を引いていたなんて」

 苦悩もあらわに頭を抱える。

「こちらの事情はこいつが話した通りだ。そちらの知っている情報が欲しいだけだ」

「あの、貴方たちは一体」

「グレンの馬鹿のせいだ」

 そしてひたすら紅蓮の持ってくる話のあまりの馬鹿さ加減に常に頭痛が収まらない状況をひたすら愚痴った。

「あいつ、馬鹿だとは思っていたけど、そこまでだったとは」

 相手もだいぶ驚いたようだった。

「それにしてもそんなこともあるんですねえ」

 何やらしみじみとした顔で呟く。

「キルヒャーを好きになる人間がいたなんて驚きですよ」

「そうなのか」

「当時は僕も含めてキルヒャーを好きだった人間は一人もいませんでした」

 そうきっぱりと言い切られた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ