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ムー号浮上

 9-35

約一年後に潜水艇はその姿をエーゲ海に浮かべた。

その独特の形は水圧を極力減らす工夫がされていた。

地球上の設計者がこの形にて海底で作業が出来るのか?水圧に耐えられるのか?と大いに疑問を持ったが特殊金属だから出来た構造だった。

大勢の人達に見送られて、潜水艇に乗り込む香澄、石山、堺少年、森山、水谷姉妹とそれぞれのMロボット達、エーゲ海から出発して、大西洋を横断してパナマ運河を通過して、ガラパゴス諸島の沖から海中に浸水予定で航行する。

スペイン沖から高速で海上を航行する潜水艇、アメリカ軍が警備をしながら航行していたが、大西洋に進んでからは信じられない速度に成っていた。

とても追いつけない速度、アメリカ大陸に到着する頃に速度を遅くした。

アメリカの艦隊がパナマ運河を抜ける迄警備をする。

ムー号の沈没場所は、イースター島の南の海底なのは既に調べて判っている。

機関部分を母船から切り離して浮上させる事、深海での作業に成る。

上空にはテレビ局のヘリコプターが旋回して、世界に向けての画像を提供していた。

(ヘリオス)(シリウス)が上空に飛来して驚く報道ヘリ、この二体のロボットが一緒に深海に向かうのだ。

Mロボット達が潜水艇の後ろのポケットの様な場所に並んで座って居る。

ロボットアームが左右に有る。

折りたたみに成っていて、相当長い処までアームが伸びる様だ。

太平洋に抜けると再び早い速度に成った潜水艇、ガラパゴス島の沖から潜水に入る潜水艇を見送る報道ヘリ、潜水艇は五千メートルまでは速い速度で進水していく。

浸水艇の船内の気圧は自動で変わって、殆ど地上と変わらないので体感も全く変化を感じない。

五千メートルからはゆっくりと潜行してゆく、潜水艇の前に二体のロボットが同じ様にゆっくりと潜行していた。

潜水艇のサーチライト以外の光源が無く成って、ここまでが現在の地球上の潜水艇の限界の景色でここからの深海は誰も見たことが無かった。

潜水艇から中継画像が地上に送られて科学者の驚愕の世界に成っている。

特殊金属で無ければ既に壊れて、潰れて爆発状態に成っている水圧なのだ。

「あれでは?」とライトの先を指さす香澄、堺少年が「あの形は、第五デッキの端ですよ」

堺少年は母船に乗っていた時の映像記録を自分の頭で再現させて、見える船の形で言い当てる。

「そうなると、右に五キロね」潜水艇をその方角に移動する水谷姉妹。

操縦を二人がして、宇宙船の操舵も勉強していて上手だ。

石山はムー号の図面から数十箇所の結合部分を外して、機関部分を切り離さなければ浮上できないと図面に印を付けていた。

機関部分だけでも直径五キロ以上有る大型の物だ。

この巨大な宇宙船が地上に浮かび上がると、世界各地に大きな津波が起こる事は必至だった。

斜めに海面から飛び出すかゆっくり島の様に浮かび上がれるかが大きな問題なのだ。

「台地状態の上に乗っている様だな」

「それは、幸運ですね!機関の下に入れますね」

巨大ロボットに接合部分をインプットする香澄、二体のロボットが潜水艇の近くから離れた。

数十箇所の結合部分の金具を取り外す作業に入った。

しばらくして、機関部分の中心に潜水艇が到着すると、ロボットアームを使って緊急装置を探す。

少し離れた部分にMロボットの格納庫が見えて、所々に穴が開いている。

「あそこにMロボットが入っていたのよ」

「信号を受けて、発進するシステムですね」

「この機関デッキの頭脳コンピュター(ムー)を稼働させれば、浮上可能なのだが、、、」

石山が何か稼働させる方法は無いのかと考えていた。

だが中々判らないと、その時香澄のテレパシーに異常信号が届いた。

「M1デス、ムーヲキドウサセテモヨロシイデショウカ?」

「えー」思わず声を発する香澄に「どうしたのですか?」と石山が尋ねる。

「どうやら私の命令でM1から(ムー)に指令が届く様です」

「成る程」

「それじゃあ、指示します」

「一万年も眠って作動するのかな?」怪訝な表情の石山だった。

指示がM1に届くと、しばらくして「何よ!これ?」と水谷姉妹が驚くと同時に中継されていた全世界が驚きの声をあげたのだ。

深海が昼間の様な明るさに成ったのだ。

「潜水艇の船体がシルエットに成っていますよ」

「凄い」

それはまるで竜宮城の様な景色に変わった。

「ワタシワ、ムーデス、ハジメマシテ12185カッカ、ナンナリトゴメイレイヲ」と香澄の頭に届いた。

「地球に被害を及ぼさない様に浮上出来ますか?」

しばらくして「ボセンハモウムリデス」細部に渡って検証をしていた様だ。

「それは判るわ、機関部分の浮上は?」

「ケツゴウブブンガカイジョサレレバデキマス」

「貴方では出来ないの?」

「コワレテイマスノデムリデス」

「何処か判らないのよ」

「M1ニメイレイシテクダサイ」

「判ったわ」香澄は直ぐさまM1に指示をすると、後部に待機していたM1が深海に飛び出していった。

世界中の科学者が深海の様子に驚嘆して眺めていた。

深海八千メートルの竜宮城の姿は、宇宙船のデッキそのものだったからだった。

しばらくして「イマスベテノロックガカイジョサレマシタ、フジョウシテモイイデシヨウカ?」

「被害が無い様に浮上して」

「ソレデハカッカノノラレタ、フネヲサキニフジョウシテクダサイ」

「判ったわ」潜水艇がゆっくり、浮上を開始した。

世界に送られた映像は益々大きな光の畑の様に見えて、段々畑に光の花が咲いている様に映像には現れていた。

その映像が消えて、深海艇は速い速度で浮上して海面に浮かび上がった。

海上に浮上して、高速航行でイースター島まで避難する。

しばらくして、太平洋の海流が大きく動く、大型の洗濯機の様な動きが海中に起こっていた。

ムー号は成るべく海流を壊さない様に浮上していた。

母船を深海に残して、機関部分だけが浮上していても直径五キロ以上の大きさだから、その衝撃は相当な物なのだ。

ムー号は二日以上経過しても姿を現さない。

世界中があの映像は作られた物かと不審感を抱いたその時、宇宙船ムー号の機関部分が直角に太平洋に突きだして、そのまま上空に海中からゆっくりとその巨大な姿を現した。

地球上の人々が始めて見る物体だった。

長い時間を要して船体が直角に上がって、やがて斜めに徐々に船体を移動するが海面からは既に浮上していた。

半日でその全体の姿を、一万年振りに海上に姿を現した。

超人達がこの母船から離れて実に12185年目だった。。。。。。。。。

これから、新たな旅の始まりが待っていた。

地球の千年後の為に、アール人、地球人の為にムー号の活躍がこれから始まるのだ。







    2015。07。12


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