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誤作動

 9-32   

魚雷攻撃が撃ち終わると、潜水空母は浮上をして航行を始めた。

各国の艦船が集結して体当たりでの航行阻止をしようとしたが、今度は香澄のテレパシーの威力が、船の航路を変えてしまうのだった。

次々と近づく船が急に進路を変更して二隻の前から消えていく.

香澄のテレパシーが艦長の行動を変更してしまうのだ。

海上で香澄の能力が存分に発揮されて(アトラン)は今更ながら、香澄のテレパシーの強さを確認したのだ。

「四人であの巨大ロボットに勝てますか?」と足立が尋ねる。

「石山さんが電磁ネットを開発しましたから、自衛隊のヘリから撃ち込みます.佐藤さんと有田さんにも電磁ネットが発射出来る銃を持って貰っています」

「それはどの様な物ですか?」足立が尋ねると「(アトラン)と云う頭脳ロボットの指示で行動するので指示を停止する作戦です」

「遮断ですか?」

「はい、上手くいけばロボットは停止すると思われます」

「成る程、流石に天才博士だ!石山さんは」

「違いますよ、亡くなった村中さんのアイデアです」その言葉に足立は沈痛な表情に成った。

潜水空母の甲板にへりが三機格納庫から上昇して、臨戦態勢に入った。

佐藤達の側にはMロボットが並ぶと、佐藤のMロボットは片腕でも守ろうとしている。

堺少年が「右前方より接近、体当たりをする勢いです」と大きな声をあげた。

「堺君、レーザー砲で撃って」

「はい」戦闘艦のレーザー砲の照準を合わせる堺少年、二門のレーザー砲を前に二基、後方に一基装備している。

ミサイル砲三基、レーザーの機銃砲が数十基戦闘艦の各所に装備されていた。

ミサイル砲とレーザー砲で台湾を火の海にした破壊力が有るが、ロボットに効果が有るのか?不明な状態だった。

堺少年が見えてから、普通の人達が見えるまで一分近い時間がかかる。

「射程に入りました! 撃ちます」の声と同時にレーザー砲が炸裂すると、雷鳴の様な音と閃光が空に輝く、同時に巨大ロボットが吹っ飛んで海中に投げ出された。

森山が素早く飛び込むと、テレパシーで「二体共、沈んでいきます」

「直ぐに戻って来るわ、そのタイミングでヘリから撃ち込みましょう」空母からヘリが飛び立つ、海上に待機で指示を待つ。

「一体が、反転します」森山からの連絡に堺少年が海中を覗き込む、角度と場所を指示する。

へりがミサイルに搭載した電磁ネットの発射を準備している。

「もう一体も反転しました」森山の連絡、二体を同時に攻撃出来ないので、南のサイコキネシスに頼るしか方法が無いのだ。

森山は海中では、ロボットの動きと変わらない早さで移動する。

(シリウス)の浮上を待ち構えると、海面に飛び出す寸前に電磁ネットのミサイルを発射した。

三機から同時に発射したが、一つは外れてロボットの肩に引っかかると、二つが命中して頭にネットが被さった状態に成る。

動きが急に緩慢に成る(シリウス)続けて(ヘリオス)が海上に姿を現す。

南のサイコキネシスで動きが遅く成ると、有田がジャンプして電磁ネットを銃で発射、こちらはすっぽりと命中して頭に被さった。

動きが遅く成った二体のロボットに続けて、ヘリから二発目が撃ち込まれる。

見ていて「成功ですね」足立が嬉しそうに喋る。

二体のロボットが今度は変な動きに変わって、二体が全く別の方向に飛び去った。

「どうなったのでしょう?」

「誤作動を起こしています」

「ははは」足立は大声で笑って喜んだが、しばらくして(ヘリオス)はイタリアに、(シリウス)はスペインに上陸して無造作に建物を破壊し始めた。

大変な被害が発生し始めて軍隊の出動で対応をしたが、全く手が付けられない状況に成っていた。

二隻は地中海を目的の島を探して航行していた。

無人島で以前に各国が攻撃した島以外に、近くに工場の有る島が存在すると香澄は信じていた。

地中海からエーゲ海の方向に向かう二隻、エーゲ海には無数の島が存在して、無人島も数が判らない程有る。

その間に(シリウス)はスペインからフランスに移動して、暴れてここでも軍隊が出動していた。

だが暴れているのは頭に変なネットが被さっているのが、原因ではないのか?と取り外し作戦が行われるとは、香澄達の想定外のフランス軍の対応だった。

その様な事を知らない香澄はテレパシーを駆使して、活動の有る無人島を探していたが中々見つからない。

以前の島に到着した潜水空母から、島に自衛隊員の上陸が始まったのは島に到着した翌日だった。

ブルドーザー、ショベルカー、戦車も次々と上陸して島を切り崩す作業に入った。

香澄はこの島は格納庫の様な場所だと思っていた。

(アトラン)の基地は別の場所に存在する。

この格納庫からロボットも戦闘ヘリも飛び立つ、船を造れる造船所の様な場所も近くに存在して今、自分達の乗っている戦闘艦も造られたと考えていた。

この様な巨大な船を造る場所、そして特殊金属を加工する溶鉱炉の様な場所。

この無数に有る島の数カ所に(アトラン)は様々な物を造る工場を備えていると考えていた。

堺少年も透視で島々を探すが中々見つからない。

一方イタリアの(ヘリオス)は、イタリアからギリシャに飛んで破壊を繰り返していた。

次々と壊すが、為す術のない状態に成って、嵐が過ぎ去るのを待つだけだ。

フランス軍がヘリを使ってネットを取り払う作戦を決行していたが、中々動きが速く再三失敗をしてヘリが墜落していた。

だが五回目にようやくネットを一枚取り払う事に成功して、(シリウス)の動きが変わった。

自らネットを手で取り払ったのだ。

(アトラン)の指示が伝わったのだ。

取り払うと直ぐに上空に飛び去って、潜水空母に向かって飛んで来たのだ。

「ロボットが戻って来ました」堺少年が叫ぶと同時に、ミサイルが空母に向かって撃ち込まれた。


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