アトランの力
9-31
アメリカ軍の行動を止める事は香澄達には簡単だったが、今出て行くと基地を攻撃出来ないから、アメリカの連合軍対中国、ロシア連合の戦闘は傍観しなければ成らないのだ。
戦闘が開始されて先制攻撃の中国軍、青い空が飛行機の編隊で埋め尽くされる。
黒煙、爆発音、魚雷の発射で艦船が爆発、東シナ海は戦闘艦の攻撃で焦土と成った台湾の近海で始まった。
(ヘリオス)(シリウス)のロボットが参戦していないので、五分五分の戦いに成っている。
ロシアも中国も核兵器が使えない事に始めて気が付いて、上層部では混乱が起こっていた。
そこに二体の巨大ロボットが襲いかかっていた。
ロシア大統領の住居にいきなり攻撃を加えるロボット二体、一気に破壊されて執務室から危機一髪で逃げる大統領、直ぐさま白旗状態に成った。
ロシアも中国もアトラン帝国に服従を誓う他無かった。
戦闘艦で足立が「一日で、終わりでしたね」
「今の地球上の武器では(アトラン)には勝てないでしょうね」
「世界を服従させて、次は何をするのでしょうね」
「私達、超人が邪魔ですから、探させて殺すでしょう」
「この船を狙う?」
「今はまだ気が付いていません、急ぎましょう」
インド洋を航行する二隻はレーダーには感知されない装備が付けられているので、各国の偵察レーダーには見つからない。
(アトラン)は世界各国の首脳に核兵器の廃棄を要求して、高度な武器の没収を要求したのだ。
早速抵抗する中国、ロシア、中東の国、アメリカは大統領が率先して廃棄を唱えた。
そのニュースに「今後はロボットの量産化、人間はロボットの奴隷にされると思われますね」と香澄が言った。
その時日本政府に超人の逮捕と引き渡しが要求されて、テレビのニュースが大きく流していた。
日本政府の代理首相が超人は、何処かに消えていなくなったと説明していた。
アメリカ軍が日本の港に次々と着岸して、兵士が上陸してきた。
大統領の命令で超人の捜索がはじまったのだ。
東シナ海に集結していた艦隊が日本に来るのに時間はかからなかったからだ。
大統領の命令で、探し廻るが超人もロボットも発見されない。
艦船はインド洋からアフリカ大陸を横に大西洋を航行していた。
潜水空母は潜行して、艦船は日本の旗を掲げて悠優と速度を上げてエーゲ海に向かっている。
元々戦闘能力はずば抜けているので、地球上の攻撃兵器では中々戦えない構造の戦闘艦だ。
石山達がいなければこの二隻の船はガラクタだったが、石山が率先して修理を行ったので見事に蘇っていたのだ。
戦闘艦をイギリスの偵察飛行機が発見して、本部に日本の艦船がヨーロッパの方向に一隻航行していますと報告をした。
その情報は直ぐさま、アメリカから日本に問い合わせが届いて、その様な艦船は知らないと答えてしまった。
(アトラン)がその艦船を発見するのに時間はかからなかった。
自分が造った戦闘艦が基地に向かっている事を感じた。
それは超人達が乗っている事も容易に判断をしていた。
同士討ちをさせようと、イギリス、フランス、スペインの艦隊に攻撃を命じる(アトラン)。
敵わない事は判っていたが、航行を阻止は出来る。
(ヘリオス)(シリウス)のロボットを基地の守りに呼び戻す。
「敵が知ってしまいましたね」
「同士討ちをさせる作戦ですね」
「どうします?」
「攻撃をしないで、突き抜けましょう」
「大丈夫でしょうか?」
「地球上の兵器では、この艦船は壊れません」
近づく艦隊、一斉に攻撃が始まったのはしばらく後だった。
甲板には誰も居ない。
船室に待機、音だけが異様に響くが、戦闘艦は一切損傷が無い状態で航行する。
(アトラン)は同士討ちを目論だが、全く攻撃をしないでドンドン近づく戦闘艦、既に(アトラン)は空母の存在も確認していた。
基地の防衛の為に各国の艦船を島の近辺に、無数に停泊させて航行の邪魔を目論む。
その隙に、原子力潜水艦で戦闘艦の弱点部分の攻撃をさせる為に、数隻をポルトガルの沖と地中海に呼び寄せていた。
自分の造った艦船に攻められるとは予想もしていない(アトラン)だが、弱点も知っている。
「私達が攻撃しないから、この船の弱点を攻撃してきますよ」
「防げるのか?」
「南さんのサイコキネシスと私で何とか出来ます」
「敵の艦船を攻撃出来ないのが困るね」
「はい」
堺少年が「潜水艦が五隻が来ます」と香澄に告げた。
空母の南に連絡をする香澄、こちらの艦船の速度が速いので魚雷の発射も早い誘導にして、遠くに魚雷が誤爆して大きな音が聞こえる。
次々と発射される魚雷の間を航行する二隻、魚雷同士が衝突して大きな爆発音と振動が艦船に伝わる。
自衛隊員も固唾を飲んで耳を傾けている。
しばらくして、爆発音は終わった。
潜水艦を後にして、二隻はいよいよ地中海の方向に舵をきって航行してきた。
ジブラルタル海峡には地上からのミサイル攻撃が、雨あられの様に艦船に着弾する。
大きな音が響き渡るが、損傷は皆無で地中海で待ち構えるロシアとアメリカの潜水艦。
一斉に発射される魚雷の嵐、大きな暴発音が船内に響き渡る。
魚雷同士の激突の爆発音、香澄は堺少年の透視の元でのサイコキネシスで切り抜ける。
南はサイコキネシスの威力が強いので、風を切る様に潜水空母を魚雷がすり抜けていくのだ。
(アトラン)が次は(ヘリオス)(シリウス)に攻撃をさせようと準備をしていた。
この二体のロボットの攻撃は簡単には、阻止出来ない事を知っている。
敵の基地を目前に対決が近づいていた。
空母が浮上の準備に入った。
海中ではロボットとは戦えないからだったが、南、有田、佐藤の三人と香澄で二体を倒せるか?




