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護衛ロボット出現

 9-23

海外からの移動の阻止が目的と、飛行機の発着を妨害する為、自衛隊の空港も次々と破壊する(シリウス)関東関西一円の空港は尽く破壊された。

紀州の沖で戦闘艦は停泊して、これ以上近づく事の危険を感じていた。

あの強烈なテレパシーで、アンドロイドの乗組員が混乱する可能性を考えたのだ。

潜水空母はロボット主体の操舵、戦闘爆撃機はアンドロイド達の構成に成っていた。

それは既に香澄には判っている。

潜水空母が近くに停泊しているから何度か試みたのだが、その結果が戦闘爆撃機の誘導に成ったのだ。

「敵のサイコキネシス出来る人は一人だわ、だから飛行機を飛べなくしているのよ、戦闘艦に空と海からの攻撃は防げないから」

「でも何故?魚雷の攻撃をしないのですか?」

「変だわ、日本政府に何か乱れが起こったのかも知れないわ」

香澄は直ぐさま足立に会いに行くと「私も変だと思いまして内閣に聞きましたら、総理が方針を変えたと言われました」

「おかしいわ、今魚雷を撃ち込まなければ飛行場が破壊されて、戦闘機が飛べない状況では戦えませんよ」香澄が話している最中に四国沖に停泊している。

アメリカの空母に(シリウス)が乗り込んで甲板に穴を空けて、空母は沈没はしなかったが役割は無くなったのだ。

これで、飛行機の攻撃は無くなった。

今まで全く動かなかった四台の戦車が前進を始めて、レーザー砲が発射される。

香澄達の基地に近づいて射程内に入った四台の戦車から一斉にレーザー照射されたが、目前で遮断されていた。

石山と村中の造ったバリヤーが作動したのだ。

「もう少し近づけば、裏返しにしてやる」南が笑いながら言うと「叩き切ってやろうか」有田も威勢が良い、その頃戦闘艦が名古屋に近づいていた。

「日本政府が動かなければ、勝てません」香澄が足立に訴える。

直ぐさま連絡が総理に届くが総理はいい顔をしないで、それよりも協力的だった内閣の人達が次々と謎の死を、海上自衛隊のトップもトイレで死亡、益々戦闘をしない勢力が大きく成る。

「大変です、名古屋の町に戦闘艦からレーザー砲とミサイルが撃ち込まれました!」

「総理は無事か」

「全く別の方角です」

「そうか、良かった」と足立が胸を撫で下ろした時「大変です、総理がテレビで全面的に敵に降伏して、協力をすると発表しました」

「何!」足立が驚いて、何故急に変わったのだ「会いに行く!」と立ち上がった。

香澄の処にその事を告げに来たので「私が一緒に行きます」と言った。

「此処を離れて、大丈夫ですか?」

「バリヤーと二人で守れるでしょう」と二人が車で総理の元に移動を始めた。

しばらくして「政務官、上空にあのロボットが来ています」

「何!」

「私のテレパシーで見つけたのね」車は高速を走ると、上空からロボットの手が伸びる。

高速道路が破壊されて「キキー」と急ブレーキで停止する。

ロボットが降りたって、大きな足で車を踏み潰そうとした。

必死の香澄のサイコキネシス、もの凄い威力が廻りに漂う。

足立達は直ぐさま車を降りたが高速道路上で逃げ場がない。

車は渋滞で身動きが出来ない。

ロボットも動けない片足を持たれた状態、香澄の力も相当だがはね除ける力はない。

相手は疲れを知らないロボット、徐々に押される。

香澄の力が弱った時、大きな音が車の後ろでした。

香澄は自分が押しつぶされたと思って諦めた矢先の事で我が目を疑った。

薄汚れた等身大より少し大きいロボットだった。

(シリウス)の足を持って投げ飛ばしたのだ。

そのロボットに付いているのは苔?それとも堆積物?海底深く一万二千年の眠りから目覚めた護衛ロボットM-1だった。

香澄の地球到着から随分時間が経過しての登場だ。

香澄にテレパシーが届くと、大型の(シリウス)は起き上がると飛び去った。

M-1ロボットは車の中の香澄を助け出すと、その薄汚れた身体に抱き抱えて高速から地上に舞い降りた。

「あの二人もお願い、出来たら車も」と言うと、ロボットは頷くと自動車を軽々と持ち上げて地上に降ろした。

直ぐさま二人の首に猫を掴む様に持つと地上に降ろした。

「この、薄汚いのは何ですか?」

「私のボディガードよ」

「この汚いのが?それに私達と香澄さんでは持ち方が違い過ぎますよ、私達は猫でした」

「仕方無いですわ、このロボットはもう壊れるまで私から離れません」

「えー、夜も、昼も?」

「はい、自分がガード出来る範囲に必ずいます、だから先程も敵を追い掛ける事が無かったでしょう」

「でも汚いな」

「政務官、あそこのスタンドで洗って貰えば」

「良いですね、行きましょう」香澄の後を付いて歩くロボット。

「この子が来たと言う事は他の人達の処にももうすぐ行きますね、私が少し早かったから」スタンドの係員に交渉をする運転手の男「通常の倍で決まりました」洗い始めるスタンドの従業員二人だ。

「長い事洗車したけれど、ロボットの洗車初めてだ」洗剤を付けて擦る中々落ちない。

一部分に綺麗な金属に見える。

「これは、五倍貰わないと無理です、ほらブラシが壊れました」値段をつり上げた。

政務官にはこのロボットがどれ位、綺麗な姿なのかに興味が湧いたのだ。

五人が交代でゴシゴシと磨くと、やがてあの特殊金属の色が目の前に現れた。

「あの戦車の色ですね」

「あれは表面だけですが、これは統べて特殊金属です」と香澄が教える。

洗っていた店員が「これ、政府の造ったロボットですか?」

「本当に自分で動くの?」

「じゃあ、私の頭をそこの長い棒で叩いて見て、但し直ぐに棒から手を離して逃げるのよ」店員は長い棒で香澄の頭を叩こうとした。

すると目にも止まらぬ早さで、棒は遠くに飛んで行った。

「何!あれは?」店員も足立も側に居た全員が唖然とした。

「あの棒は何処まで飛んだ?」

「多分海まで飛んだと」

「えー、恐いロボットですね」胸にはMのマーク背中には1と書かれていた。

「このM君は私を守る事と私の指示で動きますが、私を守れない場所には行きません」

「じゃあ、部屋の外で待つとかは、一切無理なのですね」

「そうです」

「急いで、総理の処に行きましょう」三人が乗り込むと車は発車した。

Mは車の上をすれすれにまるで車に乗せている様に飛んで一緒に向かった。

スタンドの店員達は身体が固まって、動けなく成って衝撃が大きすぎたのだ。

対策本部の近くに来て香澄が「変だわ、此処に超人が三人居るわ」

「えー、何故だ?」

「判った、沢山の人が殺されたのも総理が変な会見をしたのも、その為だ、脅迫されたからだ!」と足立が言う。

その時ようやく、三人の超人が香澄のテレパシーを感じて「逃げろ!」

「強敵だ!」三人は一目散に逃げ出した。

「総理!総理!」と呼ぶお付きの人達に「お腹が痛い!自宅に帰る」と車に乗ってヘリを呼んで逃げるのだ。

「遠ざかりましたね」香澄が到着して言う。

「総理に会いに来た!昼間の会見の真意を聞きたい!」足立の後を付いて歩く香澄を止めようとする警官、その警官を突き飛ばすMロボット「何者だ、この正体の知れないロボットは?」

「君たちの相手には成らないから止めた前、怪我をするだけだ」そう言う足立の言葉を無視して、香澄を触ろうとすると、突き飛ばされる警官、Mロボットに触ろうとすると、何もしないで唯悠然と香澄をガードするだけだ。

その時銃声が一発室内に響き渡る。

一人の警官が放ったのだ。

それも至近距離からMロボットに、床が血の海に成って居て即死だった。

跳ね返った玉が自分の胸を貫通してしまったのだ。

「無駄な事は止めろ」足立が大声で怒った。



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