挑発
9-20
基地の上空に来ると、急降下をして連合軍の艦船に魚雷型のミサイルを発射していった。
次々と黒煙を上げる艦船、戦闘機が追いつけない早さで飛び去って行く。
そしてまたミサイル魚雷を落下させる。
燃え上がる艦船、アメリカの空母も例外では無く、一瞬で黒煙を上げて沈没してしまう。
空母が無くなると飛行機は各地の飛行場に、緊急着陸を要請の為に蜘蛛の子を散らす様に消えた。
(アトラン)の基地が大きく口を開けて、戦闘爆撃機の着陸を受け入れた。
基地の廻りは黒煙と逃げる兵士たちで一杯に成っている。
基地から大型輸送ヘリが二機飛び立って、しばらくして戦闘ヘリが基地の廻りを無差別に乱射して島に残った軍隊達を全滅させたのだ。
世界はこの模様に恐怖を覚えていた。
余りにも早い攻撃と大量殺人、この映像も世界に配信されたから、流石のアメリカ大統領も言葉を失ったのだ。
最新の空母も戦艦も抵抗もなく壊滅させられたから、誰も何処の国も基地に近づかない状況が出来た。
(アトラン)がいよいよ、ムー号の超人達との対決の時間が近づいていたのだ。
戦闘艦はインド洋を悠然と航行していた。
香澄の計画はこの戦いに勝利して(アトラン)の工場に行って潜水艇を建造して、ムー号を復活させる。
特殊金属が無ければとても深海には行く事が出来ないから、だが敵の超人はサイコキネシスの超人以外は知らないし、どの様な超人が居るのか?判らないのが不安なのだ。
世界の最先端の兵器の連合運を一瞬に壊滅してしまう能力に脅威を感じるのだ。
マスコミ報道で香澄達はヒーローに成って、風間の記事の影響も大いに有ったのだ。
二機の大型輸送ヘリはエーゲ海の基地から、静岡の伊良湖岬の近くに着陸した。
既に海上には潜水空母が停泊をしていた。
地形的にこの場所を決戦の地に決めたのだろうか?輸送ヘリから戦車が四台出て来た。
ヘリはそのまま空母に飛んで行った。
戦車は統べて特殊金属製、航空自衛隊、警察は岬で対峙する以外方法が無かった。
静岡県警も一般住民の避難の誘導、攻撃に備えての準備に佐山も一平も昼夜の対応に成っていた。
「此処を決戦の場所に決めてくれた方が、被害が少なくて良いです」
「五十キロ以内には人を一人も入れない体制にしました」香澄達に安西課長と静岡県警は説明をする。
住民の安全は警察の仕事、防御は自衛隊の仕事に役割を分担していた。
「イージス艦は潜水空母を射程に入れて、いつでも攻撃出来る状態で待って居て下さい」
「今、三隻が向かって居ます」
足立政務官の指揮で三十キロ離れた地点に対策本部が置かれて、超人達は既に自動翻訳機を耳に装着して、レーザー銃を携帯して警察の一部の人にも銃が手渡されていた。
自衛隊にはレーザー砲五台が装備されて、本部を守る体制が出来上がっていた。
石山と村中は次々と武器を考案して制作に入っていた。
その中には潜水艇の素案も完成していた。
後は特殊金属を手に入れる事が絶対条件だ。
小林刑事は休暇で自宅に待機をしていた。
一度死んだから的場が気を使って、一週間の休暇を与えられていた。
「貴方、いよいよ渥美半島で対決なの?」
「多分そうなるね、でも俺が休暇中には何も起こらないよ」
「何故よ?」
「俺がスーパーマンだから」
「はあー」
「その服見ただろう、蜂の巣に成っても弾をはじき返す、正にスーパーマンだよ」
「貴方はエスパーさんに助けられたのよ、判る?」
「それは違うだろう」
「何が違うのよ」
「助けるのはヘルパーさんだよ」
「何を言っているの?帰ってから、変だわ、捜査外されたのが判るわ」
「違う、休暇だよ、休暇!」確かに一小林は助かってから、少し変なのだ。
香澄が「元に戻るまで少し掛かるかも知れません」
「何故?」
「一度死んでいますから、脳の記憶回路が遮断された状態に成っています、早くて一週間?一ヶ月?個人差が有ります、しばらく休んだ方が良いと思います」助かった時、的場が聞いた話だった。
的場は、小林刑事の奥さんにはその事は敢えて言わなかったのだ。
心配するのと、その様に接すると戻る時間が遅れると言われたからなのだ。
渥美半島の緊張は続いて、戦闘艦は日々近づいて南シナ海を北上していた。
アメリカの艦船を引き連れて、爆撃戦闘機もエーゲ海を飛び立って日本に向かっていた。
戦闘機が飛び立つと(アトラン)の基地は閉じてしまった。
不意の攻撃に対応出来ないからなのだ。
渥美半島での決戦だと思っていたのに、翌朝から都心は大騒ぎに成っていた。
国会議事堂に爆撃戦闘機からミサイルが撃ち込まれたのだ。
六時と云う早朝から、東京はパニック状態に成った。
自衛隊の飛行機が緊急発進したが、何処にも姿が無かった。
七時には大阪城にミサイルが撃ち込まれた。
城は原型を残さない程破壊されたのだ。
八時には名古屋城にもミサイルが撃ち込まれたので、日本国中がパニック状態に成る。
九時にはまた東京のスカイツリーが消滅したのだ。
政府は緊急事態を宣言して危機を伝えた。
戦闘爆撃機が三機で暴れまくって、超人達への挑発だ。
(アトラン)にはどの程度の超人が残って居るのかが判らないので、探りを入れる為に有名な建物への攻撃だったのだ。
(アトラン)の思惑には反応しないが、日本の各地に破壊の跡が生々しく残った。
これまでの主な人物紹介
アール星人
早乙女香澄、二十二歳、テレパシー、サイコキネシス(手を触れないで、物を動かす)
有田俊、二十八歳、アール星の戦士、サーベルの達人、凄いジャンプ力
村中保、四十歳、アール星の科学者、テレパシー、数学の天才
水谷洋子、二十一歳推定、テレパシー、治癒能力
水谷瞳 、二十一歳、身体の悪い部分を即座に探す、医学の天才
佐藤浩三、三十代、ヘラクレス、怪力
堺道行、中学生位、テレパシー、透視、遠くが見える
南一樹、四十代、テレパシー、サイコキネシスの優勝者、火を使える
森山秀、水の中を魚の様に泳ぐ、蘇生、テレパシー
轟翔太、鳥の様に空を飛ぶ
地球の人々
本城和美、病院の看護師
本城瞳 、和美の妹大学生
井尻努、漁船の船長
的場刑事、静岡県警ベテラン刑事
小林刑事、静岡県警
井上刑事、静岡県警、若手
安西捜査課長、名古屋県警
足立淳三郎、防衛省政務官
風間悟、和美の彼氏、新聞記者
地球の征服の反乱ロボット集団
知能ロボット、アトラン、 優れた知能、アトランティス号のメイン頭脳
超人A-1、刀とジャンプ
A-2、サイコキネシス
A-3、テレパシー、科学者
A-4、テレパシー、変身の女性
A-5、ヘラクレス、怪力
A-6、俊足、吸盤、ジャンプも出来る
A-7、テレパシー、カメレオンの様に壁に同化して、消える
A-8、テレパシー、催眠術、サイコキネシス
武器、兵器
潜水空母、外部を特殊金属で覆って、地球上の攻撃には無敵
戦闘艦、 規模は巡洋艦、特殊金属で覆われて、攻撃を受け付けない、
特殊ミサイル搭載、レーザー砲三門、レーザー光線装置多数装備
巨大ロボット シリウス、特殊金属、




