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潜水空母

 9-13

香澄にはまだ敵の正体が判らなかった。

まさかロボットの反乱でアトランティス号が沈没して、その煽りでムー号も沈没した事実を知らなかった。

もし自分達が狙われていたなら、同じ場所に集まっているのは危険だ。

眠って居る時に狙われたら全滅に成るから、愛知県警に超人達と静岡県警が集まって検討会を行う事に成った。

安西課長は香澄達に親身に成って話しを聞く、今後の対策、何故無人ヘリが爆弾で攻撃してきたのか?全員の答えは判らないだった。

その時、ヘリの音が聞こえて、五階の会議室の窓を機関銃の弾が炸裂した。

「ガガガガ-」大きな音と同時に窓ガラスが次々に割れる。

窓の外にはヘリの姿、その時爆弾が発射された。

壊れた窓の寸前で飛ばされた爆弾は急に方向を変えて、隣の壁に激突して大きな爆発音と共にビルの壁に大きな穴が空く。

窓から飛び出した有田が刀を抜いて、ヘリの尾翼を叩き切ると方向を失ってヘリは警察署の駐車場に激突大破した。

「怪我人は?」と水谷が呼びかける。

「二人、ガラスで怪我をしています」直ぐさま瞳が駆け寄って調べて洋子が今度は治す。

愛知県警は混乱の渦に成った。

香澄は自分達の行く所で、事故が起こって居る事に疑念を持ち始める。

もし自分達が計画的に狙われていたのなら、予期しない敵の可能性が有ると結論づけて超人達と協議に入った。


ヨーロッパの超人八名は(アトラン)に誘導されて、本拠地のエーゲ海の島に到着すると(アトラン)にチップを埋め込まれたA-3の指示で行動するのだ。

上空から島は無人島に見えるのだが、中には近代的な工場、研究施設が存在している。

(アトラン)の奴隷として働く科学者とロボット、アンドロイドに成った科学者と云っても脳だけなのだが沢山存在していた。

A-1が刀、A-2はサイコキネシスA-3がテレパシーを使う科学者、A-4はテレパシーを持つ女性で変身する特技を持つ、A-5は怪力、A-6は俊足、吸盤男、A-7はカメレオン女性、A-8は催眠術の女が集結していた。

A-3の脳にはチップが埋め込まれて(アトラン)の思いのままの行動が可能に成っていたのだ。

八人のリーダーがA-3にいつの間にか成っていた。

元々リーダーに指示を仰ぐ訓練を受けている超人達に、何も不審感は無かったのだ。

(アトラン)は武器も多数製造して、無人攻撃ヘリもその中のひとつの武器でこのヘリは相当数造っていた。

他にも特殊な金属で造った戦闘艦、潜水空母の二隻は強烈な武器なのだ。

その潜水空母が太平洋の日本近海に到着して、攻撃ヘリを発進させていたのだ。

戦闘艦も今、エスパー達を乗せて基地を出港した。

潜水空母と合流する為、ムー号の超人達を抹殺して、アールアール星帰還の阻止が目的だ。


愛知県警は自衛隊との連携をする事に成った。

無人の戦闘ヘリを相手では、警察の領域を超えていた。

海上自衛隊では無人のヘリが海から突如現れて居たのと、一瞬大型の船影をレーダーが捕らえて居た。

唯、高性能の防御装置を持った船が、日本近海に来ている事は認識していた。

国は中国の艦艇かと、米軍にも連絡をして原子力空母が一隻近海に向かっていた。


香澄達はまだムー号担当の超人が、数人は生存していると信じていたので、取り敢えずテレパシーの出来る人は別れて捜索する事にした。

四国に向かったのは水谷姉妹と有田の三人で、沖縄に香澄と輝に佐藤が自衛隊のヘリで向かい、九州に石山と美咲に的場、小林が同行した。

井上刑事と村中は再び井尻船長を訪ねて、今度は井上が事情を説明して捜索をしてもらう事に成った。

井尻船長が不思議な事を聞いて、教えてくれた。

それは漁船の近くを泳ぐ人間を見たとの話しなのだ。

その人間は魚の様に早く泳いで、潜っても長時間出て来ないとの話だった。

村中がそれは超人だと決めつけて、見た船の船長に会いに行く事にしたのだ。

井上刑事が香澄に連絡をして多分超人だとの連絡が来ると、その船長はまだ漁をしていると云うのでヘリでその漁場に向かう事にしたのだ。

漁船に近づくと「この船に乗っていますよ」と井上に村中が言う「えー、どう云う事ですか?」

「船の食堂で食事をしていると、ヘリに乗って来いと言いました」ヘリからロープと浮き輪が降ろされ。

甲板の男に手渡されて「森山秀と名乗っています、テレパシーが出来ますね」見覚えの有る服を着て浮き輪に摑まって引き上げられた。

浮き輪に摑まって引き上げられると同時に、漁船に魚雷が命中「ドカーン」と大音響が轟いて、火柱が立ち上った。

へりは森山をぶら下げたまま、大きく旋回して爆発の漁船から脱出していく。

「あれを!」と井上が叫ぶと、海面の色が変わって渦が巻き起こる。

村中が「早く引き上げて、逃げて」と叫ぶと、見る見る海面に空母が船体を現す

「攻撃される!全速で、SOSも出して下さい!」へりの操縦士二人は森山を引き上げて、全速で飛ぶ、遠く離れた場所に完全に浮き上がった空母の姿が見えた。

「追ってきますよ、三十度の方向に向かって下さい」

「えー、大丈夫でしょうか?」

「多分、無人のへりが追ってくるでしょう、混乱させましょう」

「応援の飛行機が近づいています」村中には応援の飛行機の進路も計算されていた。

望遠鏡を見ながら「三機のヘリが発進した様だ、右に旋回して下さい!」と叫ぶと、ヘリの操縦士は言われるままだ。

このへりは全く戦闘能力が無いから逃げる事しか出来ない。

自衛隊の戦闘機が二機が近づいて来た。

戦闘ヘリの二機は戦闘機の阻止に向かって、一機が追ってきたのだ。

「近くに、船は見えませんか?」

「何も見えません」

「追いつかれますね」遠くで火柱が上がって「おお、一機撃墜しました」

「こちらに向かうへりの後ろに、戦闘機が!」追い掛ける行動しかしていない。

ヘリは自衛隊の戦闘機の攻撃に撃墜されたのは直ぐだった。

だがもう一機の戦闘機は、潜水空母の追撃ミサイルの餌食に成って撃墜されてしまった。

「今の間に逃げましょう」もう一機も戦闘機に撃墜されて、村中達の乗ったヘリはこのピンチを切り抜けて、自衛隊の基地に向かって飛行していった。

「何処の国の秘密兵器だ、直ぐに戦闘態勢に!」海上自衛隊が総力を挙げて、潜水空母を追ったのはしばらくしてからの事だった。


「これは、超人達を殺す一味がいますね」

「その様だな、気を付けろ後ろには大がかりな組織か、国が存在している」的場の電話に小林は気を引き締めていた。

海上自衛隊は潜水空母を追跡していた。

戦闘機と巡視艇三隻で、しかし砲弾が当たっても全く損傷をしない。

空母は悠優と航行を続けて四国方面に向かって行く。

「何処の国の艦船でしょう?全く攻撃を受け付けません」

「一体、何が目的だ」

「アメリカ軍にも連絡しましたが、判らないとの答えです」自衛隊の上層部の会議での討論は全く進展が無かったのだ。

テレビで中継がされて、潜水空母の上空に報道のヘリが遠くからその船体を映し出していた。

香澄もその映像を見ていた。




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