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仲間を集めて

 9-10

名古屋の警察に捕らえられた有田は全く言葉が喋れないから、取り調べの警官が四苦八苦していた。

「言葉が全く判りません、世界にこの様な言葉は無いと思われます」

「食事は美味しそうに食べますが、それ以外は全くどうする事も出来ません」

「この男と病院の男は同じ国から来たのは間違い無い、体型が似ているからな、目的は何か?」

「刀は調べたか?」

「特殊な金属で出来ている様です、非常に硬くて分析出来ない様です」

「その様な武器を作れる国は一体何処なのだ」

「もし、戦車とかをこの金属で作れば、無敵に成る様です、この男が着ている服も病院の男の服も同じ金属で作られている様です」

「薄い生地にも成るのか?」

「恐ろしい、技術だ」

「この男と一緒に来て居た男と女は何者だ、静岡県警の話しではこの男に親切にした連中で、日本語を話しますし、体格も普通でしたから、それにこの男が県警に捕らわれても、何も言いませんでした、関係は無いと思われます」

「名前は調べたか?」

「男は村中保で数学の学者、女性は短大生の本城輝と早乙女香澄です」

「教え子だな」

「はい、その様です」

「一応確認はしたか?」

「はい、姉が東京都立病院の看護婦で、友人を居候させている様です」

「男は?」

「静岡に住んでいますね、女と同棲でしょうか?茂木と言う保険の外交の女と住んでいますね、名義が茂木でした」

「女に聞いたか?」

「はい本人も保険会社に確認しましたら、同棲していると聞いています、堅い職業の旦那さんを見つけて良かったと、聞かない事まで教えてくれました」

「大学教授なら、安泰だからな」的場の事と村中の話が混ざって判らない調査に成った。


ヨーロッパでは、超人達のリーダー的な人が海の藻屑と成って亡くなって居た。

そしてアトランティス号は事故の為に大西洋に沈んでいた為に、機能そのものが停止した状態に成り、数人のアール人の超人達はリーダーの居ないのと、母船の状態が悪く行動が混乱していた。

そこに、過激派組織が超人獲得に行動を始めて、仲間に引き込もうとしていたのだ。

有田と同じ様に剣を持つ者も表れたから、テレパシーで話せる人も登場して、三人がグループを組んで行動を始めたのだ。

大柄な男性が二名、小柄な男が一名、イギリスからフランスに移動して合流していた。

食べ物は略奪、イギリスから来たA-1の愛称の男、フランスの刀の男がA-2、そして普通の体型のA-3、この三人をスカウトしたい過激派組織なのだ。

しかし、この三人には望みの物が無かった。

お金の意味が判らないから、唯、食べ物には執着して、流石の勧誘の組織も困った。

イギリスでは警察との乱闘が世界に配信されて、有名に成っていたのだ。

とても戦える相手では無くて、銃の弾が統べて別の場所に飛んで行くので、同士討ちをさせられるから武器を使えなかった。

そこに、サーベルの男が加わったから強烈で、話せるA-3が加わってようやく収まった状態で静まって三人の行方が判らなく成っていた。

突然三人の消息は消えて、過激派組織に行ったのか?その後何処にも現れなかった。


井尻船長の船での捜索は翌日の朝から始まる事に成った。

始めは渋っていた井尻が急に快く引き受けた。

勿論香澄の能力なので、知らない小林達は唯、驚くのみ、三人を駅前のホテルに送ると、二人の刑事は自宅にそのまま帰った。

朝二人は井尻船長の船に、乗船する為に自宅に戻った小林刑事が実家から戻った妻に「宇宙人の件はどう思う?」

「私もネットで調べたら、ムー大陸もアトランティス大陸は同じ時期に水没しているわ、地殻変動だと思っていたけれど、高度な文明を持っていたと言い伝えられているから、宇宙船の可能性が高いわね」

「じゃあ、あの人達は宇宙人?」

「何か?特殊な能力が有るの?」

「愛知県警に捕まっている有田さんは、もの凄いジャンプ力、それと凄い刀、名古屋の病院の男は全身大火傷でも生きて居る、服はこの世界の物とは思えないし、ハサミで切れない」

「そうなの、宇宙人の可能性高いわね、それ以外の人は?村中さんは、テレビのクイズ番組を一瞬で解いたよ」

「ああ、その番組見たわ、頭が変に成りそうな問題よね」

「それ以外は何も無いよ、それに話が出来るのは村中さんと早乙女さんだよ」

「じゃあ、今海外は別にして、確認出来ているのは、ジャンプの有田さん、数学の村中さん、火傷の男性、そして早乙女さんね」

「そうだよ、明日から海を探すらしい」

「どうやって?」

「判らない、村中さんが助かった海域に仲間が居る可能性が高いと、それから怪我とか病気を治せる能力の人を捜すと話していたよ」

「えー、そんな事出来たら、間違い無く宇宙人よ」

「宇宙人が何をする為に来たのだろう?僕を仲間だと言ったから?」

静岡県警の初めて遭遇した奇怪な事件、明日漁船に乗って何が起こるか見る事にする二人。


水谷達の乗った小笠原丸は既に父島を出港して半日が経過していた。

水谷達はガウンを羽織ったスタイルに、おしゃれな麦わら帽子のスタイル。

百七十センチの長身の素晴らしいプロポーション、アールの服が水着に見えて、ガウンを着た姿はモデルの様で隠し撮りをする人も沢山居た。

三人の大学生は鼻高々で二人と話しをしながら過ごす、と言っても洋子の通訳で瞳が判る感じで、三人には直接話せないもどかしさが有る。

昨日とは見違える元気さと美貌に、三人はもうこの二人を離したくない気持ちに変わっていた。


朝早くから、井尻船長の漁船はフルスピードで村中を助けた近海に向かっていた。

井尻船長と機関士が機嫌良く手伝うのが、小林には不思議で仕方が無かった。

井上刑事、香澄、輝、村中、小林刑事全員で七名は絶好の好天の中、大海原を眺めて居た。

すると「反応が有るわ」と香澄が機関室に上がって行った。

小林は側に居た輝に「何の反応?」

「刑事さん、知らないのね、香澄さんはテレパシーの超能力を持っているのよ」

「テレパシーって?」

「そうね、今は仲間を捜すレーダーみたいなものね」

「凄い、力ですね」

「本当はもっと凄い力有るのよ」

「えー、あのお嬢さんが?」

「有田さんを助けるのは簡単なのよ、でもね、混乱に成るから止めたのよ」

「えー、それは無理だろう、沢山の警官に取り囲まれていたし、とても怪力が有るとは思えない」

そう話していたら、船は大きく舵を切ってフルスピードで走り始めた。

「私には全く反応が無いのに、香澄は凄い」と村中が感心していたのだ。


これまでの主な人物紹介

アール星人

早乙女香澄、二十二歳、テレパシー、サイコキネシス(手を触れないで、物を動かす)

有田俊、二十八歳、アール星の戦士、サーベルの達人、凄いジャンプ力

村中保、四十歳、アール星の科学者、テレパシー、数学の天才

水谷洋子、二十一歳推定、テレパシー、治癒能力

水谷瞳 、二十一歳、身体の悪い部分を即座に探す、医学の天才

地球の人々

本城和美、病院の看護師

本城瞳 、和美の妹大学生

井尻努、漁船の船長

的場刑事、静岡県警ベテラン刑事

小林刑事、静岡県警

井上刑事、静岡県警、若手


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