表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/35

隕石の嵐

           9-1

早乙女香澄はその日の朝、長い夢から覚めて病院のベッドの上だった.。

「何日眠って居たのだろう」気が付いて彼女が発した最初の言葉で有る。

香住は二十二歳、二日前この病院に運ばれた。

外傷無し、身体は健康体、精密検査でも悪い箇所は全く無く、医師達も何故眠って居るのか判らないのだ。

服装は変わっていて薄い特殊な布の上下のみを身に着けていたが、下着も何も履いていなかった。

腰の処に早乙女香澄とプレートが書いて有るだけだったのだ。

香澄は廻りを見渡して自分の服がハンガーに吊して有るのを確認した。

部屋には誰も居ないが、此処は病院だろう?自分が学んだ知識の中に有ると考えていた。

此処での名前が早乙女香澄、本当の名前は12185最初の飛来から何年経過しているのだろう?

この星では少なくとも自分達より文明が遅れている筈だと考えていた。

何名が助かったのだろう、それも全く判らない燃え尽きた者も沢山居るのだろのだろう?

母船で習った学習では、この星に自分達と同じ使命の人が百人が到着していると思われた。


香澄の育った世界は地球から遙か彼方の惑星、環境は地球と全く同じで気候も酷似していたのだ。

宇宙のメカニズムの解明が進んだ惑星では、宇宙の仕組みが判っていた為、自分達の運命も計算する事が可能に成って移住を試みたのだ。

数多くの星の中から、酷似していて近い事、科学技術が進んでまた元に戻れる事、そして将来は移動を容易く出来る事が条件だった。

それは二個の惑星を使って文明を伸ばす事だった。

その為には未開の地に降りたって文明を作る仕事と、その文明に新しい息吹を与える事が必要なのだ。

しかし簡単には出来ないのが現状だ。

惑星アールが近く崩壊と云うより、隕石の嵐の中への突入なのだ。

約三億年に一度隕石の嵐の中を通ると文明は滅びる。

そして新たな文明が始まるのだが、もっと進んでこの嵐に耐えられる装置でも出来れば良いのだが、今の技術では不可能だった。

勿論地球もその洗礼を受けるのだが、惑星アールとは相対関係に有る為時期が大きく異なるのだ。

惑星アールの住人の大移住計画が強行されて、太古の地球に文明を持って飛来する筈だった。

二機の巨大な母船、その中では普通の生活が営まれて、地球に到達する頃には二代目、三代目の子孫が未開の地球に文明社会を作る筈だった。

地球も大きな隕石群の中に入るのだが、それは随分先で期間が有るので、その間に文明が栄えて惑星間移動、隕石の嵐に耐えられる設備が出来るだろうと期待していた。

早乙女香澄達百人は、母船の中でも特殊な能力を持つ人間だった。

その人達が集められて緊急訓練と勉強が始まったのは、地球に母船が到達する少し前だった。

惑星アールの歴史と同じ道のりで発展をするなら、この様に成ると教育を受けて、冬眠カプセルに入ったのだ。

その後、母船から切り離された宇宙船の冬眠カプセルで過ごした。

母船が地球に到着して、数万年後に香澄達は地球に、と云うより母船に到着する様にプログラムされていた。


惑星アールを出発してから何年が経過しているのだろう、サイボークに成った者、頭脳だけの司令官、その司令官も世代が変わる。

惑星アールは今、隕石の襲来で炎の惑星に変化しているから、命を保つには冬眠カプセル以外に道は無い、冬眠カプセルの数は限定されているので、冬眠カプセルで隕石の嵐が過ぎ去るのを待つのだ。

その他の住人は世代を超えて、地球に到達する以外に惑星アールの住民が生き残る道は無いのだ。

母船が地球に到達して数万年後に、冬眠カプセルの入った小型の宇宙船が地球に到着した。

大気圏に突入と同時に宇宙船から数体のカプセルが地球にバラバラに到達していた。

先人達が造った文明を飛躍させて、惑星間飛行を可能にする技術を伝える任務なのだ。

そして地球に隕石の嵐が到達するまでに、惑星アールに移動出来る技術を蓄えなければ成らないのだ。


二隻の母船が太古の地球に到着して、文明が発達して科学技術の進歩により技術が高度に成って居る予定だった。

だが計算は大きく狂って、太古の地球の環境と上陸した人達が正体不明の病気に感染して数多く亡くなってしまったのだ。

二隻の母船は太平洋と大西洋に着水して、片方の母船の故障は想定外の出来事に成って、荒波の中伝染病の感染と母船を捨てる行動に成った。

沈む母船、強烈な波が多くの人達を母船と共に沈み込み、ロボット、アンドロイドも人命の救出の為の犠牲で、母船と共に大西洋と太平洋に沈んでしまうのだ。

僅かに残った人達が命の限り大陸に辿り着いて文明を築き始めた。

それはそれまでの生活では考えられない生活に成った。

信じられない場所で生活を始めたメンバーも居た。

母船の沈没で発生した津波で高い場所に打ち上げられたから、だが自分達の持った文明の力で各人は地球の各地に根城を持って古代の生活を始めた。

持参した動物を育てて、植物の栽培も進めて、軈て世代は代わり、母船は大陸として名を残し、子孫が伝説として伝えた。

ムー大陸とアトランティス大陸として、この様にして惑星アールの人々は地球に生活の場を移していた。

今、その事実と惑星アールに移住計画の為に数名が現在の地球に到着したのだ。


現在の地球の人達は自分達が地球で産まれて進化して人間に成ったと信じていた。

猿が人間に成ったと、米も麦も家畜も母船で何世代も飼育されて、沈没と同時に解き放たれて、野生に成った動物も沢山居た。

アトランティス号の故障による沈没が、ムー号の沈没を誘発したしたから、地球の潮位がもの凄い状況に成ったのだ。

大陸に移り住もうと作業の最中の出来事に対応が出来なかったのだ。

この事故は惑星アールの指導部の人々も尽く飲み込んでしまったのだ。

その為に残された人々には連絡の手段も無く、世界の各地で自給自足の生活をする以外に方策は無かった。

軈て世代が代わると、もう惑星アールを知る人達は居なくなり、世界各地で文明が栄えて、独自の歴史を造って行ったのだ。

もうこの世に惑星アールを知る人も居ないし、面影も無い、逸話が残って居るだけだった。

海が裂けて道が出来たとか、大陸が沈んだとか、確かに太平洋と大西洋の底には今も母船が眠って居るのだが、誰もその事実は知らない。


その後惑星アールは元の静かな惑星に戻って居た。

安全な場所には隕石の落下に耐えられるドームに生活を移して、冬眠カプセルで耐えしのいだ数千人が、生活の基盤を戻そうと努力をしていたが、惑星には過去の面影は全く無かった。

何世代も時が必要だろう、未来は地球との移動で生活を守る事なのだ。

この隕石の落下は文明を作る元に成るのだが、同時に今まで栄えた文明を滅ぼす諸刃の剣なのだ。


母船の能力と香澄達の乗った宇宙船とは全く性能が違う為、何万年も遅れて到着したのだ。

光速の何倍で移動する母船と光速程度で飛ぶ違いなのだ。

母船の飛来から計算されて、香澄が到着したが、地球の文明は香澄の伝達を消化出来る環境には程遠かったのだ。

それはアトランティス号の事故の影響なのだが、香澄は知る筈も無かった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ