ナンパへ?
入学式終了後、校舎入口の電子掲示板に表示されたクラス分けの表を見てみると、オレは、一年四組で、ヒロも同じ一年四組だった。
オレは、ヒロと一緒に一年四組の教室に入ると、とりあえず、最後列の机に隣り合うようにして座った。
しばらくすると、担任の教師(といっても、人間ではなく性別のないアーマロイドだが)が教室に入ってきて、注意事項等を説明するなどお決まりのオリエンテーションを行い、この日の予定は、午前中だけで終了した。
その担任は、オリエンテーションの最後に、席順については当面は、今着席している席のままで良いと言い残して教室を後にした。
その担任の教師が教室から出て行くと、ヒロが声をかけてきた。
「ハヤタ、このあとなんか予定ある?なかったら、ランチ行かないか?」
オレは、このあとやりたいことがあったが、それをやるには一人よりもヒロを付き合わせた方が都合がいいと考え、とりあえずは一緒にランチに行くことにした。
「予定はあるけど、いいよ、行こう。その代わり、西ブロックにある店がいいな。」
「どうして西ブロックなんだ?行きたい店でもあるのか?」
ヒロは素朴な疑問を持ったようだったが、オレは説明はあとにすることにした。
「特に行きたい店があるわけじゃない。理由は、食べながら説明するよ。」
こうして、オレとヒロは、モノレールを使って西ブロックに移動を始めた。
オレが実は西ブロックの飲食店のことはあまり知らないと話すと、ヒロは腕時計型の端末を使って、ランチの美味しい店を調べてくれた。
約三十分後、オレとヒロは、そのランチの美味しい店で、同じランチセットを食べながら、話しをしていた。
お互いの簡単な自己紹介が終わったあと、オレは、なぜ西ブロックの店に行きたがったのかを話し始めた。
「実は、このあと女の子をナンパしようと思っているんだ。」
「ナンパ?」
ヒロは、興味津々な顔つきで、オレの話しの続きを待った。
「うん。話すと長くなるが、オレは『運命の女性』を探したいんだ。」
オレは、『運命の女性』について、ヒロに話し始めた。