「2階に行けば勝利できる」
はてさて俺は異邦の地に飛ばされた訳だが
この地では常に敗北続きだ
俺は当分の間
敗北の味をかみしめることが
仕事として任された内容なのかもしれない
だが決して悪いことばかりではない
朝9時前に
誰も使わない階段を昇って2階に行けば
必ず勝利が約束されている
つまり2階に行けば
というか2階に到達した時点で
勝利したも同然だ
そんなわけでここ毎朝俺は
2階に行って勝利している
時間は残されていないけれど
2階に必ず行って勝利している
2階は本来は
自分たちの陣地ではないのだが
指定エリア以外を除けば
出入りする分には自由であるため
朝の勝利が可能となっているのだ
あゝ
2階を陣地としている者たちよ
俺とあなたたちはどうやら
俺が未就学児だった頃から
小学校低学年だった頃まで
ちょっとした縁があったようなのだが
俺はもうよく覚えていないのだ
だがこうして
数十年経った今
改めてこのような縁が生まれるとは
人生は不思議なものだ
だから俺は
あなたたちにありがとうと言いたい
そうだ俺は
あなたたちに特大の感謝を伝えるために
何度も練習しようと思う
その時までまだ言わないようにしておきたいが
近況を踏まえると伝える機会が設けられるか
怪しい部分もあるので
ここで簡易的に示しておく
ありがとう
俺は毎朝2階で勝利している