あとがき
すべての人間から音が失くなったと嘯いておきながら、いきなり音を失くしていない人間が現れるという、ある種裏技的なことが頭から行われてしまいました。さすがにこの後にこのようなネタを使うのは憚られてしまうため、おそらくこれ一回こっきりのことになるでしょう。けれど、辻褄あわせ、世界を十全に回すためにどうしても必要とあらばあるかもしれません。といっても、そうそう頻発してしまうと、やはりそれはどうなのかと疑問に思わなくもないので、これは裏技として懐の奥深くにしまっておくこととします。二度と現れることのないことを願って。
さて、これは書き始めは一作限りの小説にしようかと思っていたのですが、どうもこの先も書けてしまえそうな展開、そして続きがありそうな構想となってしまいました。決して嘆かわしいことではなく、むしろこれは望む展開になっているのかもしれませんが。この先、この世界がどのように転んでいくのでしょうか。ファンタジーにも恋愛にもそしてもちろんミステリーにも。実際問題、こうして筆をとってはいますが、主導権は私ではなく登場人物に握られているような感じもします。もともとこのようなミステリーを加えるつもりはなかったのですが……。途中で題名を変えてしまって混乱してしまった方もいるかもしれません。ここでお詫び申し上げます。
そしてこの物語はこの先も続きます。これから先どのような展開落ち着くのか、まだまだ霧の中を歩く気持ちでいるのですが、まあいずれどこかの駅へ軟着陸してくれるでしょう。どうにも主人公が思い通りに動いてくれないのが歯がゆくもあります。だから面白いのかもしれないのですが。
ではまた次作にて、とりあえずは学園ミステリーに相成りそうです。