The Tower of Babel
始まることも終わることも僕は知らない。
誰かの温もりに触れたことなど忘れてしまった。
僕には「名前」がない。
・・・とある世界の中で人々は終わりのない争いを繰り返していた。
血を血で洗い、絶望のみがそこにはあった。
混乱の世界の中で一人の少年が不思議な力を手にした。
少年の名はバベル。その少年は手にした不思議な力を「全智」と、名付けた。
そして少年はその力を使い争いを終わらせた。
終わらなかった戦争を終わらせた少年は青年となった。
だが彼は、人間に対して次第に失望するようになる。
何も学ぶこともなく、争い続ける人間に対して.........
1:
ズドオオオオオオン
「いいぞ、撃て!!」
「第1隊突撃して!」
「バベル様、レジスタンス供が....。ここは危険です、早く脱出を!!」
バベルと呼ばれた男は玉座から立ち上がった。
隊長であるゴリアテは息を呑んだ。その男は少なくとも人間ではない。お仕えする身からしてもだ。
「ゴリアテ、これは一体どういうことですか?」
「申し訳ございません。奴ら結界を突破して。」
「 しかしレジスタンス供ですか...。下等な人間を前に逃げるとは...。
「しかし、あなた様が奴らを一捻りで倒せたとしても!計画の場所に早く行かなくては!」
「まあいいでしょう。そうですね...、早くそちらに向かう必要もできたようです。・・・ところで、彼は?」
「No.13ならば、混乱の中白い部屋を抜け出したようです。」
「!? 分かりました...。私は先に行かせていただきましょう。ゴリアテ、彼を見つけ出しなさい。」
「はっ!仰せのままに。」
「これも貴方の筋書き通りなのでしょうか。
・・・・・ヤフィア。」
「お父様!子供たちは?」
「今探している。」
「大変です!ゴリアテ将軍が!」
「分かった。私が行く。」
「お父様....。」
「カノン、お前は子供たちを探してくれ。生きている人がいるかもしれん。」
「・・・分かりました。お父様、ご無事で。」
白い廊下の中、レジスタンスの少女、カノンは必死で生存者を探していた。
「誰もいない.....。」
廊下には人の死体があっちこちにあった。
「なんで...。こんな酷いことを...。」
しかし迷ってばかりではいられない。生きている子供を早く探し出さないと。