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覇王竜は暇を潰す  作者: コミネカズキ
7/30

アルトの修行とパーデスの修行

ふう。コロッケ美味しかった。

冷めてもそれはそれで違う味わいがあって実にデリシャス!

そんなこんなで朝食を食べ終わり、片付けを済ませたらいよいよアルトの修行が始まる。ついでにパーデス君の地獄の特訓も始まる(笑)


まず、前の刻の間 食後3時間程度はひたすら穴を掘らせる。

俺と出会う前から我が魔王城目指して海底トンネルを掘り進めていたアルトの行動は、作戦としてはアホとしか言いようがないが実はトレーニングとしては理に適っている。

重い鋼のスコップをひたすら全身を使ってザクザクしているだけで身体中の筋肉や筋繊維も鍛えられるし、体力、持久力も着く。

前の刻いっぱいの筋トレが終わると休む暇無く昼食の支度が始まる。

と、言っても朝食程時間はかからない。食材や薪木を使い回すからだ。


本日の昼食メニュー

◎朝の残りのご飯

◎朝の残りのスープ

◎朝の残りのコロッケ

◎野草と人食いイモの野菜炒め


野菜炒め以外同じメニューだかスープに少しスパイスが加えられ味がピリッとしている。コロッケ以外はちゃんと温め直してあるのでホカホカだ。

いただきますの前に俺がコロッケに一工夫、火系魔法の「ヒマ」を超絶技巧で微弱に発生させる俺のオリジナル魔法、「アタタメマ」で文字どうり温める。

威力が低いからと侮るなかれ!

この魔法、実は最上級火炎爆裂魔法の「ゲキヒマデス」より高い魔力コントロールが必要なのだ。

個人的火炎魔法ナイン度は


ヒマ 低級

ゲキヒマ 中級

ゲキヒマデス 上級

アタタメマ 超級


…だ。まあ威力は温めるだけなので皆無なのだが。

しかし実際このアタタメマをパーデスあたりが使ったらコロッケは丸焦げになるだろう。フッフッフ…。

満足げな表情の俺の横顔を苦虫を潰した様な表情で見ていたパーデスがぼそりと


「才能の無駄遣いだ」


と呟いたのを俺は聞き逃さなかった。

よーし、今日の特訓はいつもの倍地獄決定だ!

半刻程で食事と片付けをすませ、後の刻は魔法の特訓に入る。

まずは基本魔力量増幅トレーニングだが、これは前の刻の筋トレ穴掘りと打って変わって瞑想だ。

ひたすら己自身の体内の魔力の流れをコントロールし、体外…つまり天然自然の魔力を体内に流し込み増幅させる。

食事をして太るのと同じで毎日毎回大量に魔力を取り入れていると体内の魔力容量が増えていく。

「魔法を使う」とは一度体内に蓄た魔力を変換して火や水や爆発として体外に現象を発生させる事を言うのだ。

数刻この魔力容量増幅特訓をした後、今度は魔力変換の特訓に移る。

動いてない岩に向かって練習しても仕方ないので俺が無理やり捕まえてきた鬼牛や人食いイモと実戦経験を積ませながら行う。


因みにだが、パーデスは終始朝から今まで魔力増幅と変換の特訓だけをやっている。

どうやら大魔導は格闘能力や身体能力の伸び代が殆ど無い種族らしいのだ。

打たれ強さはどんどん上がってる気がするんだけどな〜w


ヒマ、バクマ、カゼマ、ライマ。主にアルトはこの4種類を使って戦っている。

特に良く使うのはライマ。

勇者は雷魔法が得意…と言うのが昔からのお約束だがアルトも例に漏れずその傾向にある。

特に今日は魔力が良く循環している様に見える。


「大いなる雷よ!敵を撃ちぬけ!ラ・イ・ゲキ・マ!!」


おおー!ついに雷系中級魔法の「ライゲキマ」を覚えたみたいだ。

初めは苦戦していた鬼牛を一撃で撃ち倒した。ついでに周りの人食いイモも数匹黒焦げになっている。しかし…


「あーこれじゃあ焦げ過ぎて食べられないよー!!」


あの勇者、すっかり主婦目線である。まあ俺も同じ事を考えていたのだが…。

その後俺が大量に用意した鬼牛を焦がしたり焦がさなかったりしながらアルトの修行は続いた。


一方その頃、アルトが修行している場所から少し離れた森の奥でパーデスは、真っ赤なローブに身を包んだ紳士っぽい雰囲気の男と相対していた。


「えーと、初めまして。パーデスです。あなたがハーさん…覇王竜さまが呼んだ今日の修行相手ですよね?」


「はい、ワタクシ覇王竜さまの城の執事をやらせて頂いております。赤竜(せきりゅう)と申します。本日は大魔神官パーデス様の修行に付き合う様に申し使っております。」


「あー大丈夫かなぁ。一応私上級魔族の大魔導ですよ?私の相手して怪我しませんかね?」

「ご心配には及びません。この姿のままでも十分対応出来ますが、本日は本来の姿で戦っても良いとの許可を頂いていますので…。」


「へ?ほ、本来の姿?」


キョトンとするパーデスを尻目に赤竜の姿が徐々に膨れ上がる。


「覇王竜さまもそうですが、【我々竜族】は普段は人間の姿を模していますが本気で戦う時は従来のドラゴン形態にもどり力を解放するのです。」


「へ?せ…セキリュウさんも竜族…なんですか?!」


名前聞けば解るだろ。

パーデスの間の抜けた問いかけをスルーし、赤竜が竜の姿に変化していく。


「ただ、竜になると力がコントロールしにくくなり気性も荒くなるので…ご注意を…グオオオオオァ!!」


「ぎゃーーーーーーっ!!」


完全な竜の姿に戻った赤竜を見るや否やパーデスは全力で逆方向に逃げ出した。


「逃げてたら修行にならぬであろう!グオオオオオァ!!」


火を吹きながら追いかける赤竜。

赤竜はその名のとうりレッドドラゴン族である。

昔俺が暇つぶしでミッドナイトに古来から生息していた竜族の里に喧嘩を売った時、負けた竜族の長が俺への忠誠の証として俺専属の世話役をよこした。

その時世話役として奉公に出された?のが長の孫の赤竜だ。

それ以来赤竜は俺の執事として魔王城で色々働いてくれている。


「いやああああっ!お助け〜!!」


ちゅどどーーーん!!

遠くでパーデスが吹き飛ぶ小気味の良い音が聴こえる。

うむ、頑張れパーちゃん(笑)


パーデスの修行は赤竜に任せるとして、こちらは引き続き勇者を育てるとしよう。

夕刻近くまで魔法の特訓をしたら今度は夜まで俺との組手だ。

と、いってもこちらからは一切手を出さない。

アルトの全力攻撃をひたすら避けたりいなしたりする。アルトも魔法や武術、剣術…スコップだけど…を、駆使しているが未だ有効打を当てたことは無い。

まだまだ俺と喧嘩出来る様になるには時間がかかりそうだな〜。

後の七の刻近くまで組手をしたら晩ご飯の支度に取り掛かる。


本日の晩御飯メニュー

◎うどん

◎野草と人食い芋のかき揚げ

◎海藻サラダ

◎ムーンベリーのデザート


うどんは専用の野草を粉末状にした後、水と混ぜ練り合わせたものを細長い糸状にし鍋で茹で、それを味の付いた汁に付けて食べる料理だ。

かき揚げは野草と人食い芋の千切りを水で溶いた粉でひと塊りにし、その塊を油で揚げたものだ。

いずれも勇者ナイトの知識にあった料理らしい。

海藻は近くの海岸から採取した。

ムーンベリーはフルムーン地方の特産物の一つでひじょうに甘くてジューシーな果物であり、付近の森に生えているムーンベリーの木から捥いで来た物だ。

充実の晩御飯である。


食事が終わると今度は風呂の支度だ。

樹木で製作した木の風呂に水魔法と火魔法を駆使してお湯を注ぐ。…のだか、アルトは水、氷魔法がからっきしである。

パーデスはパーデスで火魔法が、苦手なので風呂の支度だけは俺の担当だ。

当然一番風呂は俺がいただく。

その後パーデスが入り、俺たち二人が寝静まった後アルトが最後に入る。

なんでも風呂に入っているのを見られたく無いらしい。

まあ、非常に女の子らしいが…俺をなんだと思ってんだ。覗きなんてしないぞ?パーデスならともかく…。あ、パーデスもいるからか、あいつ変態っぽいからなー。きっとそうに違い無い。うん。


こうして勇者アルトの1日は日々過ぎていく。


余談ではあるが、この日パーデスは晩御飯を食べ損ね、風呂にも入り損ねた。

赤竜との猛特訓?で半分黒焦げになって帰って来たヤツは疲れ果てて寝てしまったのだ。そして「うー熱い〜火炎熱い〜」と一晩中うなされながら寝言を言い続けたのであった。

お疲れパーちゃんw


つづく…

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