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覇王竜は暇を潰す  作者: コミネカズキ
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パーデスと成果

かつて 太陽神アポロは天空界スカイハイを創り、大地神ガイアは地上界アースグランドを創り、月の女神ルナティックは地下世界ミッドナイトを創造した。

天空・地上・地下世界と呼ばれてはいるがそれぞれの世界の境目には神々が施した結界が有り、神以外のいかなる者も往き来出来ない…はずであった。

しかしその結界は脆くも崩れ去ったのである。

地下世界歴666年赤の月、突如現れた別次元の大魔王が三つの世界に侵攻を開始したのだ。

大魔王はまず地下世界の創造神、女神ルナティックを封印しミッドナイトをあらかた攻め滅ぼした後、神々の結界を破壊すると地上世界アースグランドに尖兵を送り込んで侵略を開始。

僅か数年で地上の半数の国々を滅ぼした。

しかし神々も指をくわえて見ていたわけでは無かった。

太陽神アポロは自らの力を与えた天空人を、大地神ガイアは異世界から召喚した勇者を、そしてアースグランドに居を構えていた竜族の長は幼いながらも一族史上最高の天才児と言われていた息子をそれぞれ大魔王討伐に向かわせたのである。


三人は力を合わせ、大魔王のアースグランド侵略軍を討伐すると地下世界ミッドナイトへ渡り女神ルナティックの封印を解いた後、彼女と四人で大魔王を討伐したのである。

今から300年以上前の話しだ。


時は流れ流れて地下世界歴999年、ミレニアムな年まであと一年に迫った現在のミッドナイトのとある城で、竜族史上最高の天才児…事、この俺 覇王竜はいつもの如く暇を持て余していた。

地上世界からこの地下世界にやってきて300数年、、結局手ごたえの有った好敵手はあの異次元の大魔王と…。それからアイツだけだった。結局アイツとは決着はつけられなかったけれど…。

しかし、今日は何となく予感がしていたのだ。何とも言えぬワクワク感、と言うかソワソワ感、と言うか…旨く言えないけれど得体の知れない期待感みたいなものが朝からずっと離れない。

するとその時、俺の部屋である所のいわゆる魔王ルームの扉がけたたましく開かれ、けたたましい声がした。


「ハーさん!ハーさんっ!大変です!!」


こいつは大魔神官パーデス。

先日まで大魔導と言う魔物だったが色々あって神官に転職した我が魔王軍の自称ナンバーツーである。

まさか…予感の正体はこいつか??


「よぅパーデス、元気そうだな?どうだ?腕は上げてきたか?」


「え?ええ、大魔神官に転職してからハーさんに言われた地獄の特訓はきちんと毎日こなしてますけど、、て言うかあの特訓マジでやべーっすよ!!毎日文字どうり地獄の日々っすよ!!」


ほう、あの特訓をちゃんとこなしてやがるのか…。これは本当に期待どうりか?


「よしっ!どれだけ腕を上げたか俺が直々に見てやる!かかって来い!」


「いやいやいや、ハーさんそれどころじゃ…」


「いいから来いよ!ぶっ飛ばすぞ!?」


「ひいっ!わ、わかりましたよ〜」


そう言うとパーデスは渋々構えをとり魔力を集中し始める。なるほどなるほどこれはこれは…


「烈風魔法!キータカーゼマァァ!」


相変わらず言い方がウゼーなw

パーデスの放った風系中級魔法のキタカゼマは大気を切り裂き唸りを上げて俺へ向かって来た。そして…


ぱきいいいんっ!!


俺の目の前で弾けて雲散霧散した。


「あああああ〜やっぱりダメだーっ!!」


パーデスが卑屈に叫ぶ。いやいやしかし、なかなかだぞ、パーデス君。


「んじゃあお手本な」


「…え?」


俺は風の魔力を右手に集中させる。

大気を震わせながら螺旋に渦を巻き風が集まってくる。

それを見たパーデスが見る見る青ざめて行く。


「ちょ、ま!まさかそれは風系上級魔法のキタカゼマッパではっ!?」


「いや、この前も似たような事言ったけど、これ俺のカゼマ(風魔)だから。」


「な、なんと!下級魔法のカゼマでその魔力濃度とは!さすがこの大魔神官パーデスが生涯お側に支えようと心に決めたお方!まさに覇王の中のはぉ…ギャーーーース!!」


話が長かったので魔力を解き放った俺を恨めしそうな目で見ながら、パーデスは遥か彼方へと吹っ飛んでいった。爽快感パネェ。



数分後、俺の回復魔法で全快したパーデスはブツブツと不平不満を漏らしていた。


「私としては結構真面目にハーさんに言われた修行をこなしていたつもりなんですがね、、、結局結果はこのザマですよ?本当に神官の才能なんて有るのでしょうか?」


魔法には幾つかの系統わけがある。

火、水、氷、風、雷、土、そして治癒系魔法。

僧侶や神官は水、風、治癒系の魔力との相性が良い…と言うか相性が良いから僧侶や神官になる。

パーデスの場合、以前は相性があまり良くない火系統の魔法を使っていたので魔力がペラッペラだったのだが…


「いやいやぱーちゃん、そんな事ねーってばよ」


「ぱ、ぱーちゃん?てばよ?」


「この前俺に喧嘩売ってきた時に使ったゲキヒマは…はっきり言って防ぐまでもなかったぜ」


「たしかにハーさんの前で弾け消えてましたよね。しかしそれは今回も同じ結果だったじゃないですか?」


「いや全然違うぜ。今回のキタカゼマはちゃんと魔力障壁を、張って防いでるからな。」


「…あれ?では前回は…?」


「前回は気合い?…てか俺の存在力みたいな感じの力の前に特に意識して俺が何もしないでも搔き消えたな。」


「えーー!?私の魔法しょぼ!!」


「まあ今回は俺に魔力障壁使わせた訳だし、吹き飛ばされた後も前回は死んで蘇生魔法で蘇らなきゃいけなかったけど、今回は回復魔法ですんでんじゃねーか!」


「かなり瀕死のボロ雑巾状態でしたけどね…」


ネガティヴなヤツだなー。ん?そういえは…


「ところでぱーちゃん、さっき大変だとか言ってなかったっけ?」


うつむいてショボい顔をしていたパーデスがハッとなって顔を上げた。


「そ、そうでした!大変なんですよハーさん!!現れたんです!!」


「ん?Gでも出たか?言っておくが俺はGが大嫌いだから殺すのはお前がやれよ?」


「違いますよ!勇者です!フルムーン城に勇者が現れ魔王討伐に名乗りをあげたのです!!」


つづく…

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