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ザ☆旅行記Ⅲ 愉快な仲間たち  作者: 小宮登志子
第2章 グレートガーデン
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救出作戦開始

 次の日の朝早く、わたしはエルブンボウと矢筒を持ち、プチドラとドーンを連れ、本営を出た。

「ドーン、この一週間、なにがなんでも待機よ。分かってるわね」

「もちろんです。上から下まで軍規を徹底しますので、ご心配なく」

「勝手に動きそうなのがいたら、軍規違反で、即、成敗よ」

 実は、昨夜の会議のあと、ドーンを呼び出し、「わたしとプチドラは、これからしばらく姿を消し、秘密作戦を遂行する。今は理由を言えないが、一週間後までには必ず戻るので、その間、猟犬隊と騎士団はじっとして動くな」と厳命していた。ただ、本当に我慢して待っていられるかどうか、なんだか、いや、かなり不安……

「マスター、行こうよ。あまりゆっくりもしていられないよ」

 プチドラの体は象のように大きく膨らみ、巨大なコウモリの翼が左右に広がった。左目が爛々と輝く。わたしは、プチドラ本来の姿、隻眼の黒龍の背中に乗り、

「ドーン、あとは頼むわ」

「お任せください。無事なお帰りをお待ちしております」

 隻眼の黒龍は大空に舞った。心配だけど、ここはドーンたちを信じるしかないだろう。こうして、わたしとプチドラのマリア救出作戦が始まった。


 グレートガーデンまではそれなりの距離があり、軍馬で休みなく走っても一週間程度、ドラゴンが全力で飛んでも30時間以上かかるらしい。目的地まで着いて疲れて動けないのではどうしようもないので、わたしたちは、途中で何度か休憩を取りながら、3日目の朝、ようやくグレートガーデンにたどり着いた。

 上空から見たグレートガーデンは、まさしく楽園という言葉がピッタリだった。町の中心には湖が広がり、湖畔には、立派な塔がそびえる城が、湖の周囲には巨大な庭園が設けられていた。庭園の外側には色とりどりのレンガ造りの建物が立ち並び、町の外縁には深い森が広がっていた。見た目、町というよりテーマパークだ。

「これが、グレートガーデンなの?」

「そう。この町は、実のところはマーチャント商会会長の別荘兼ハーレムなんだ。町の真ん中のお城と庭園がそのハーレムの施設で、周囲の建物は事務所、事務員の住居、食糧倉庫、その他諸々。それと、マーチャント商会が経営するマーチャント銀行の本店も、この町にあるらしいよ」

 隻眼の黒龍は、町の上空を二、三回旋回し、町の外縁の森に着地した。わたしが背中から降りると、隻眼の黒龍は子犬サイズのプチドラに体を縮めた。わたしはプチドラを抱き上げ、

「これからどうするの? マリアがどこに囚われるか知ってる?」

「この町のどこかに囚われているはずなんだ。囚われ人が一番逃げ出しにくくて、最低限にせよ日常生活を営むことができる、加えて、敵から攻撃を受けた時に一番安全なところといえば……」

「そんなところは…… ハーレム以外に考えにくいわね」

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