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ザ☆旅行記Ⅲ 愉快な仲間たち  作者: 小宮登志子
第2章 グレートガーデン
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お城は迷路

 日が落ちると、これからがメイドのお仕事、すなわちマーチャント商会会長の妻たちのディナータイムだそうだ。妻の中にエルフの娘はいないらしい。ということは、マリアは城内の別の場所に囚われているか、わたしたちの見込みが完全に外れていたかのいずれかだが、エレンは出かける際、

「何年も前からお城の塔の最上階に女の人が監禁されてるって話を聞いたことがあるけど、詳しいことは分からないの」

 エレンによれば、その塔に入るためにはシルバー以上のカードが必要という。

「多分、その人がマリアよ。プチドラ、行けるところまで行ってみようか」

「カードはないけど、大丈夫かな」

「いいじゃない。細かいことは気にしないの」

 エレンが出かけた後、わたしはプチドラを連れて部屋を出た。


 お城の中は、壁に数メートルおきにランプが掛けられていたので、それほど暗くなかった。燃料費がいくらになるのか知らないけど、さすがマーチャント商会、お金持ちというべきか。

 しばらく歩いたところで、

「ねえ、マスター、肝心なことを忘れてない?」

 と、プチドラは、ふと足を止めた。

「肝心なこと?」

「マスターって、すごく……」

 わたしはこの時になってようやく、自分が人並み外れた方向音痴ということを思い出した。

「今さら悔やんでも仕方がないわ。でも、いつものことだから、多分、なんとかなるでしょう」


 わたしとプチドラは城内をさまよった。同じような景色が延々と続く。不思議なことに、誰とも出会わない。ディナータイムにメイドも総動員されているのだろうか。カードマン(ガードウーマン?)もいないということは、魔法のカードによるセキュリティシステムに絶対的な自信があるということだろうか。

 その時、

 ……ブーン……ブーン……

 廊下の先から、古い換気扇がうなりを上げているような音が聞こえた。

「なんだろう……」

 迷宮には付き物のモンスターだろうか。ヤバそうな雰囲気がないこともないが、

 ……ブーン……ブーン……ブーン……

 音はだんだんと大きくなっていく。

「マスター、大丈夫と思うけど、一応、気をつけて」

 プチドラはわたしの前に踊り出て、身構えた。主人を守ろうとする子犬のようで、見た目は健気。

 やがて、廊下の先に、黒っぽい怪しい影が見えた。どうやら、現れたようだ。

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