ハーデルへの道中
「なんですか?」
白い髮の彼女は目をウルウルさせながら俺たちに聞いできた。
「いや、俺たちはハーデルを目指してこの森を抜けてるんだけどさあ」
誠は気さくに話しかける。
「ハーデル?私はハーデルから来ましたがこの方向だとハーデルにはつきませんよ」
彼女は涙ながらにも丁寧に答えてくれる。
どうやら俺たちは方向を間違えていたらしい。
困惑している俺たちを見て
「私も今から帰る所なのでハーデルまで案内しましょうか?」
彼女は道案内をしてくれると申し出てくれた。
道も分からない俺たちは彼女に道案内をお願いすることにした。
「よろしく。俺は誠でコイツは圭太だ。」
誠はニカっと笑いながら自己紹介をした。
「私はティルと申します」
彼女は微笑みながら答えてくれた。
彼女はティルというらしい。
髪は肩までで白い髪、腰に1メートルくらいの剣を持っている。
服装はゲームで見る女剣士の様なかっこうをしている。
顔つきは非常に整っていて直視できないほどだ。
俺たちは話しながらハーデルへ向けて歩き出した。
「お二人はどういった目的でハーデルへ?」
ティルは不思議そうに聞いてきた。
「俺たちは記憶がないんだ、だから俺たちの事を知ってる奴がいないか、など情報を求めてハーデルに行けばいいって聞いて向かっているんだ」
俺たちは正直に話すわけにもいかない為そう答えた。
「それよりも、ティルはなぜ泣きながら木を殴っていたんだ?」
誠は先ほどの彼女の行動について聞いてみた。
俺は聞こうか悩んでいたのに誠は難なく尋ねるな。
そうするとティルは思い出したかのようにフルフルと震えながら
「アイツ許すまじ」
と小さい声で言った。
「ん?何か言ったか?」
誠は首を傾げながら聞き返したが
「いえっ、なんでもないです」
ティルは苦笑いをしながら答えた。
「ちょっと異性と色々ありまして、ストレス発散をしていました。」
立て続けてティルは答えた。
「異性ねえ、ティルは美人だから異性と揉めることなんて無いと思うけどな」
誠は恥ずかしいセリフを平気な顔をして話す。
「びっ、美人だなんてそんなっ」
ティルは頬を赤らめながら顔を背ける。
「いや、美人だろ。なあ圭太」
誠は素っ頓狂に俺の方を向いて言ってくる。
相変わらずティルは頬を赤らめたままだ。
「美人だなんて、誠さん」
ティルは小声で呟く。