その1
長き冒険の果て、伝説の剣を手に入れた勇者たち一行は、ついに魔王の城に乗り込んだ。
玉座に座る邪悪な魔術師に向かい、若き勇者は言い放つ。
勇者「魔王ッ! とうとう年貢の納め時が来たようだなッ! おまえの攻撃魔法はこの伝説の剣が封じた。もはやおまえには勝ち目などないぞ! 覚悟しろッ!」
魔王「ふっふっふ……その程度で勝った気でいるのか、愚か者どもよ」
勇者「なんだとッ!」
魔王「我が偉大なる魔術は攻撃魔法だけではないッ! これを見よッ!」
魔王が地面めがけてバラバラと何かをばらまいた。
それは、龍から取った無数の牙だ。
龍の牙は「龍牙戦士」の杯となり、地面の中から武装した骸骨戦士が数十、いや数百体出現する!
勇者「おおッ! これはッ!」
魔王「どうだ。いかにおまえたちが強かろうとも、これだけの骸骨を相手にできるほどの体力はあるまい。くっくっく……」
自信満々にほくそ笑むと魔王は、眼前に満ちる忌まわしき存在に向かって仰々しく命じた。
魔王「僕どもよ! 我が言葉をよく聞け!」
骸骨(1)「(よく聞いている)」
骸骨(2)「(よく聞いている)」
骸骨(3)「(よく聞いている)」
骸骨(4)「(よく聞いている)」
骸骨(5)「(よく聞いている)」
……
骸骨(298)「(よく聞いている)」
勇者「……」
魔王「……」
勇者「随分と躾の良い僕どもだな」
魔王「……あの、その、なんだ……勇者さんたちさぁ、できれば、いったん帰って出直してきてくれないかな? うん、ボクね、ぜひそうして欲しいんだけど、駄目?」
勇者「駄目」




