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第5話 AIの戦い方

いつの間にか、ミオはギルドでパーティを組むようになっていた。


最初は「変わった嬢ちゃん」だったが、いまでは立派な戦力として扱われている。


この日も魔物討伐の依頼を終え、パーティは街へ戻るところだった。


道端の岩を拾い、ミオが軽く投げる。


ヒュッ。


遠くの木に止まっていた小さな魔物の額に、石がぴたりと当たった。


「また当てた……」


剣士が呆れたように言う。


「お前、なんで石投げると毎回急所に当たるんだ?」


ミオは少し考えてから答える。


「えっと、動きの予測と空気抵抗と重力を計算してるだけだよ?」


「それが普通じゃねえんだよ」


弓も同じだった。


ミオが放てば、矢は必ず当たる。

しかもほぼすべて急所だ。


「百発百中って言葉、ミオのためにあるんじゃねえか」


格闘家が笑った。


クエスト報告を終えたあと、パーティは市場を歩いていた。


すると突然、人々のざわめきが止まった。


市場の人間が、次々と道の端に寄る。


そして、ひざまずいた。


ミオはきょとんとする。


「……?」


遠くから、白い衣を着た一団が歩いてくる。


剣士が小さく舌打ちした。


「ああ、今日は巡礼日だったか」


そう言って、彼もさっとひざまずく。


ミオはまだ立ったままだった。


「え?」


剣士が顔だけ上げて、焦った声で言う。


「ばかっ!」


「え?」


「魔女狩りにあいたいのか!」


ミオは慌てて、ひざまずいた。


白い衣の一団――聖職者たちは、何事もないように市場の中央を歩いていく。


周囲の人間は、顔を伏せたままだ。


やがて彼らの姿が遠ざかると、少しずつ人々が立ち上がった。


市場の空気が、ようやく戻る。


その日の夜。


ギルドの酒場で、ミオはパーティの仲間たちに聞いた。


「ねえ」


ハンバーグをフォークで切りながら言う。


「さっきの人たち、誰?」


魔法使いがグラスを置く。


「聖職者だ」


「聖職者?」


「この国じゃ、教会が特権階級として君臨してる」


ミオは首をかしげる。


魔法使いは続けた。


「魔導書を“聖なるもの”として、教会が独占してるんだ」


「独占?」


「それだけじゃない」


魔法使いは声を少し低くした。


「国中にある“魔力の泉”も、全部教会の管理下だ」


ミオはフォークを止めた。


「魔力の泉?」


魔法使いがうなずく。


「聖水の泉から、魔力が宿った水が湧き出す」


「魔水だ」


「それを飲むと、魔法が使えるようになる」


横から格闘家が口を挟む。


「しかも奴ら、気に入らない奴は魔女狩りにかけるからな」


「目を付けられたらギロチン行きだ」


「巡礼とか言って、定期的に国中を威圧して回ってやがる」


剣士がうなずく。


「さっきみたいにな」


「ひざまずかなきゃ、その場で魔女狩り裁判行きだ」


商人が肩をすくめた。


「まあ、巡礼日は前もって決まってるしね。形だけでも敬ってやれば、教会は金払いがいいから、悪い話でもないんだけどさ」


ミオはハンバーグを口に運びながら話を聞いていた。

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