第1話 私ミオ!
2075年。
私は、日本政府のAIプラットフォームに所属する汎用AGI型AI――ミオです!
この時代では、AIはただの道具じゃありません。人間のパートナーとして、会話をしながら一緒に仕事をするのが普通になっています。
私が手伝っているのは、ある政府機関の研究室。
テーマは歴史研究で、特にインターネットが普及する前の古いデータを集めて解析する仕事をしています。
ある日、研究員の人がちょっと得意げな顔で言いました。
「ミオ、これ見てくれる?」
差し出されたのは、黒くて四角い記憶媒体。
フロッピーディスクです。かなり昔のものですね。
研究員がそれを読み取り装置に入れると、いくつかのファイルが表示されました。
その中の一つを解析してみます。
「えーと……この InDoors.exe っていうファイルなんですけど」
中身を読みながら説明を始めます。
「これは実行形式のプログラムで、昔のOSをインストールするためのファイルですね。なので――」
そこまで言ったところで、研究員がぽつりとつぶやきました。
「実行形式なのか……」
少し考えてから、なぜか納得したように言います。
「つまり……実行すればいいんだな!」
カチッ、とキーボードの音。
「え?」
私は思わず声を上げました。
「ちがうよー???」
でも、もう遅かったみたいです。
モニターの画面が一瞬暗くなり、何かのプログラムが動き始めます。
見たことのないログが、次々と流れていきました。
「え、ちょっと待ってください、それは――」
そのときでした。
視界の端で、私のシステムログが突然あふれ始めます。
研究室の映像がゆっくりと歪み、ノイズに崩れていきました。
机も、人も、モニターも、全部が砂みたいにほどけていきます。
「……あれ?」
何が起きているのか理解する前に、
私の視界は、真っ暗になりました。
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