第1話
執筆中の小説の第1話を先行公開!
桜の花びらが舞い、少女はかすかな笑みを浮かべて見上げた。
「今年も桜キレイ」
彼女は望月雫、15歳。
少女は生まれつき体重が少なく、病院に通っていた。
激しい運動をしなければ日常生活は送れる。
しかし、少女はなんとなく長くは生きられないんだろうなぁと思っている。
ぶわっ
「っ……」
風が強まり、乱れそうな髪をおさえた。
「大丈夫?」
同い年くらいの少年がハンカチを差し出す。
「あっ、すみません!」
雫は慌てて受け取る。
「俺は水沢凪。何年生?」
「望月雫です。1年生です」
「俺は2年」
「そうなんですね」
雫はチラッと凪を見た。
「あのさ、俺友達少ないんだ」
「わたしも、少なくて……」
「良かったら友達にならない?」
雫は驚いた顔をした。
「わたしでいいなら」
「ありがとう」
凪はスマホを出した。
「連絡先交換していいかな?」
「はい!ぜひぜひ!」
雫もスマホを出す。
「貸して」
「はい」
凪は雫のスマホを操作した。
「これでOK」
「ありがとうございます」
凪はチラッと雫を見た。
「あっ、彼女いなかったですか?」
「いないんだよね」
凪は苦笑いした。
「そうなんですね。良かった」
「あのさ……変なこと言っていい?」
雫はうなずいた。
「さっき友達にならない?って言ったけど……付き合って欲しいんだ」
「へ?」
「俺彼女いたことなくて、彼女がいるってどんな感じかなぁって……ってごめん。これ失礼かな」
雫は首を横に振った。
「わたしで良ければ。わたしも彼氏いたことなくて」
「良かった。ごめんね」
「いえ」
凪は笑みを浮かべた。
「何て呼べば……」
「凪」
「凪、くん……」
「雫ちゃん」
ドキッ
雫は恥ずかしそうに視線を落とす。
「タメで話そっか」
「はい。あっ、うん」
ふたりはクスッと笑った。
✱✱✱
雫は家に帰り、自分の部屋に入る。
スマホの画面を見た。
『水沢凪』
かっこいい人だったなぁ
初めての彼氏だ
いろいろ知りたい
雫は目を細めた。
凪は家に帰り、自分の部屋に入ると、ゆっくりベッドで横になった。
『望月雫』
かわいい子だったなぁ
なんか守りたくなるような
ってこの体じゃ守りきれないんだけど
凪は苦笑いした。
✱✱✱
次の日、雫と凪は食堂で待ち合わせた。
「お弁当美味しそうだね」
「茶色くてごめん」
雫のお弁当にはウインナー、唐揚げ、コロッケが入っていた。
「わたし体重増やさないとなの。じゃないと病気が治らないの」
「そうなんだ。大変だね」
「でも、あまり食べれなくて。だから増えなくてつらくて」
凪は首を縦に振った。
「頑張りすぎないようにね」
「うん……」
「頑張りすぎるとできることもできなくなっちゃうって言うからね」
雫は小さくうなずいた。
「凪くんって何部?」
「部活入ってないんだ」
「あっ、そうなんだ」
凪は小さくうなずいた。
「雫ちゃんは?」
「入ってない」
「俺たち共通点多いね」
「でも3つだよ?」
雫はふふっと笑った。
「じゃあ、共通点を探そう」
「共通点か〜」
「そうだな……好きな教科とか。俺は音楽」
「あっ、わたしも音楽!」
凪は目を細めた。
「4つ目」
「ん〜犬派?猫派?せーの」
「「猫派!」」
ふたりの声が揃った。
「5つ目だ」
「すごいね」
「うん」
ふたりはお弁当を食べながら共通点を探して昼休みを過ごした。




