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第4話:ウチ、推し僧は守ってナンボ♡

山間の村で山賊を退けた三蔵一行は、

村人たちに見送られながら静かに山道をあとにした。

霧の中を抜け、いくつもの峠を越えた先――田畑の広がる穏やかな村、

高老荘こうろうそうが姿を現す。


悟空は如意棒を肩に担ぎながら、あたりを見回した。

「なんか、のどか~。でもさ、こういうとこに限って変なヤツ出るんよね~」


三蔵は歩を進めながら言った。

「何事もなければ、それに越したことはありません。

……杞憂で済めばよいのですが」


村人たちは三蔵一行を快く迎え入れ、

その夜、囲炉裏のある座敷に通され、温かな食事と布団が用意された。

囲炉裏を囲み、湯気の立つ椀を手にしていたとき――


村の長老がぽつりと語り出した。

「実はこのあたりに、妖怪が住み着いておりましてな……

端正な顔立ちの若い男ばかりをさらっていくのです。

戻ってくる者は……おりません」


悟空は爆笑しながら言いました。

「イケメンばかりさらうって、ギャルじゃんウケるw

それ絶対ウチの同類なんだけど~!」


三蔵法師は静かに目を伏せ、低い声で言いました。

「これ悟空、失礼なことを言ってはいけません」


悟空は「え~ウチ、悪気はないんだけど~!」と口を尖らせつつも、

三蔵法師の静かな眼差しに「はいはい、反省モード入るわ~」と

小声でつぶやきました。

長老は心配そうに三蔵法師を見つめて言いました。


「僧侶様も…あまりにお美しいお顔立ち。どうかお気をつけくださいませ…」


三蔵法師は少し困ったように微笑みました。

「私はただの旅の僧です。ですが、ひと晩のご恩、必ずお返しいたしましょう。

その妖怪、我々がなんとかいたします」


悟空は布団にゴロンと転がりながら、渋々言いました。

「え~~~ウチ、明日スイーツ巡りしたかったんだけど…

まあ、三蔵さまが言うなら、しゃーなしで妖怪退治いくわ~」


囲炉裏の火がぱちりと鳴り、夜は静かに更けていった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


翌朝、村人の案内でたどり着いたのは、山のふもとの洞窟――外から見れば不気味な岩穴。


悟空は眉をひそめて言いました。

「ウチ、こういうホラー系苦手なんだけど~!絶対なんか出るじゃん!」


三蔵法師は静かに言いました。

「恐れは、心を曇らせます。

我々が進むのは、誰かの苦しみを終わらせるためなのです」


二人が奥へ進むと、突然視界が開け、まばゆい光が洞窟内を照らしました。

そこには――


ホストクラブ「桃源恋宴とうげんれんえん

- シャンデリアが輝き、赤と金のソファが並ぶ豪華な内装

- さらわれたイケメンたちが、ホスト風の服装で接客中

- 壁には「推しホストランキング」や「本日の恋愛運」などのポスター


中央のVIP席には、スイーツを片手にくつろぐギャル豚。

「桃色☆煩悩ギャル豚・八戒ちゃん」


八戒ちゃんは三蔵法師を見た瞬間、目をキラキラさせて叫びました。

「ちょっと待って!?その顔面、ホストクラブの奇跡なんだけど~~!!あーし、即スタッフにスカウトする~~!!」


スタッフに指示を飛ばし、

「新人研修!VIP接客!シャンパンタワー準備して~~!!」

と叫びながら、三蔵法師を強引に連れ込もうとします。


その瞬間、悟空が前に飛び出して叫びました。

「ちょっと待った~~!三蔵さまはウチの大事な推し僧なんだけど!勝手にスタッフ登録しないで!!」


八戒ちゃん「あーし、推しは囲ってナンボなんだけど~!」

悟空っち「ウチ、推しは守ってナンボなんだけど~!」


ギャルオーラが炸裂し、雷光と桃色のエフェクトが洞窟内を駆け巡る!

ホストたちは「えっ…ギャル同士の戦いってこんな派手なの…?」とざわつく。


互角の戦いが続く中、ふと二人の視線が交差する。


悟空っち「……えっ、ちょっと待って」

八戒ちゃん「……あーしら、服のタグ、同じじゃない?」


悟空は八戒のジャケットに目を留めて叫ぶ。

「えっ!?それ、BONRAIの“Y2Kピグジャケット”じゃん!!ウチも迷ってたやつ!!」


八戒も悟空のスカートを見て叫ぶ。

「あーしも言いたかった~!それ、“BONRAIストリートライン”の限定カラーじゃん~!!」


二人は一瞬戦いを止めて、自分の服を見る。

タグには、スタイリッシュなロゴでこう書かれていた。

「BONRAI Inc.(ボンライ・インク)」


天界×下界の混合カルチャーをテーマにした、ギャル系ストリートブランド。

雷光と煩悩をモチーフにしたコラボラインが、今季のトレンド。


さらに化粧ポーチを開くと、同じブランドのリップ「雷光ローズ」、

同じ香水「煩悩ミルク」、同じネイルカラー「天蓬ピンク」。


八戒ちゃん「あーしら、バイブスもアイテムも完全一致なんだけど~~!!」

悟空っち「てか、戦うより語り合ったほうが早くない!?」


三蔵法師は静かに二人に歩み寄り、八戒に語りかけました。

「村の長老が、さらわれた若者たちの安否を心から案じておられます。

あなたの好意が、誰かを苦しめるものになってはいけません」


その言葉に、八戒ははっと目を見開きました。

そして、ゆっくりと目を伏せ、声を落として言いました。

「あーし、好きって気持ちを伝えたかっただけなんだけど…押しつけになってたのかも…」


三蔵法師は優しく微笑みながら言いました。

「真の慈しみとは、相手の意思を尊重することです。

あなたの心が変われば、煩悩もまた、光に変わるでしょう」


八戒はしばらく黙ったまま、指先で裾の端をいじっていた。

やがて、ふっと息をついて顔を上げると、いつもの明るさを取り戻した声で言った。

「あーし、反省モード入るわ…若者たち、ちゃんと村に返す~~!

そんで、あーしも村の人たちに謝ってくる~~!ちゃんと顔見て、言葉で伝える~~!」


ホストクラブの奥から若者たちが現れ、キラキラした笑顔で言いました。

「あ、はい!村にはちゃんと報告します!でも…」

「この仕事、意外と向いてるかもって思ってて…」

「八戒さん、めっちゃ話聞いてくれるし、スイーツうまいし…」

「ここで働きたいです!」


なんと、さらわれたはずの若者たちが、この仕事を続けたいと言い出しました。

三蔵法師は一瞬言葉を失い、眉をわずかにひそめた。

善悪の境界が揺らぐような展開に、静かに思案しながら言葉を選ぶ。

「……そうですか。では、まず村に戻って、無事を報告してから…」


悟空は笑いながら言いました。

「三蔵さま、ウチらの旅、マジで予想外すぎてウケる~!」


ホストクラブ「桃源恋宴」の空気がざわつく中、八戒はステージに上がってマイクを握りました。

スイーツポーチを肩にかけ、キラキラの涙を浮かべながら叫びます。

「あーし、決めたんだけど~!三蔵さまの旅に、あーしも同行する~~!!

煩悩で人を囲うんじゃなくて、ウチの恋愛力で世界を癒すんだけど~~!!」


ホストたち「えっ!?八戒さんが抜けたら店どうなるんすか!?」

八戒ちゃん「あーし、ちゃんと考えてるし~!マネージャーのカクくんに任せるから~!」


すると奥から、黒縁メガネにスーツ姿のカクくん(元・さらわれた村の若者)が登場。

手には業務マニュアルと「煩悩イズム継承ノート」。

「任せてください。八戒さんの煩悩イズム、しっかり継承します。

後ほど村にも報告いたします、スタッフもやる気満々です」


三蔵法師は少しだけ目を伏せ、静かにうなずきました。

「……そうですか。では、参りましょう」


悟空は笑いながら言いました。

「三蔵さま、ウチらの旅、マジで副業多すぎてウケる~!」


その後、八戒は村の人たちに謝罪し、村人たちは若者たちがホストを続けるとの話を

困惑しつつも、受け入れてくれてこの件は一件落着。


村を後にし、しばらく歩いてから八戒は三蔵法師の隣に並び、悟空と肩を組みながら言いました。

「あーし、恋愛担当~!悟空っちは雷光担当~!三蔵さまは慈悲担当~!

てか、旅の衣装どうする~?おそろでギャル三姉妹コーデいく~~!?」


悟空は肩を組まれながら、笑って言いました。

「え~!ウチ、雷光担当って何!?てか三姉妹ってウケる~!

でも…おそろコーデ、ちょっと楽しみかも!」


三蔵法師は少しだけ目を伏せ、困ったように微笑みながら言いました。

「……私も、ですか?

にぎやかな旅になりそうですね」


三人の笑い声が、秋の山道にふわりと響く。

こうして――雷光ギャル猿・悟空っち、煩悩ギャル豚・八戒ちゃん、そして慈悲の僧・三蔵法師による、

にぎやかでちょっぴり騒がしい“三人旅”が始まったのでした。

目指すは、遥か西の天竺。

それぞれの想いとバイブスを乗せて、三蔵一行の旅は続いていきます。


――数年後。

かつて静かな山間の村だった高老荘は、若者たちの手によって華やかな歓楽街へと姿を変え、

店は繁盛し、遠方からも客が訪れるようになり、村には活気と笑い声が満ちていた。

八戒が残したスイーツレシピは「八戒パフェ」として名物になり、

村人たちも、かつての出来事を笑い話として語るようになったという。

――それは、また別のお話。


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