波乱の入学式
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今日はついに――
魔立魔界学園・小学部の入学式!
僕と兄・ノクシスは制服を整え、マントをぴしっとかけた。
「ノクティ、緊張してる?」
「するー…」
朝日が魔界の空を赤く染める中、僕と兄・ノクシスは少し緊張しながらも制服を整えた。
六歳にして魔王の血を引く僕たちだが、今日はあえてその力を隠す。
「ノクティ、今日は気をつけるんだよ」
兄の声はいつも通り明るいけれど、その目には小さな緊張がある。
「うん、でも大丈夫。僕たちの魔力はバレないようにするから」
学校に向かう途中、校門の前で僕たちは立ち止まった。
目の前には、豪華な衣装をまとった子どもたちがすでに集まっている。
マントの刺繍、宝石の飾り、煌びやかな装飾――みんな、自分の家柄を誇示するかのようだ。
「わあ…すごいね、人も服も派手だ」
僕は思わず息をのむ。
「ふふ、ノクティ、落ち着いて。僕たちは魔民扱いだから、目立たないようにね」
門をくぐると、敷地内には魔界らしい不思議な装飾があふれていた。
噴水の水は真っ黒で、微かに赤く光る。石畳には浮かび上がる魔法陣が描かれている。
僕たちは背筋を伸ばし、堂々と歩きながらも、周りの視線を意識して控えめに振る舞った.
会場に入ると、講堂の天井は高く、暗い石の壁に魔力で浮かぶ紋章が光る。
最前列には上位魔族の子どもたちが座り、後ろに向かって下位魔族の子どもたちが並ぶ。
僕たちはまだ小さいので、下の方の席に案内された。
「ここが…僕たちの席か」
ノクシスが椅子に腰掛けながら小さくつぶやく。
「うん、でもこれで自由に動けるね」
僕たちは互いにうなずき、緊張を少しほぐす。
教室にはすでに、下位~中位魔族の子どもたちが席についていた。
髪色も服装も個性豊かで、魔力のオーラもそれぞれ。
僕達は名字を名乗らず、控えめに自己紹介の順番を待つ。
周囲の子どもたちはささやき合って、魔民扱いの僕たちを見下すような目を向ける。
「名字ないのか… 魔民か?」
「なんか弱そうだな…」
ノクシスは小さく肩をすくめて、僕に耳打ちする。
「フフ…これで少しは自由に行動できるね」
「うん、秘密も守れるし!」
自己紹介の前の緊張感
先生の声が教室に響く。
「それでは、新入生のみなさん、順番に自己紹介をお願いします」
魔族の子どもたちは、名字と家柄を強調して自己紹介を始めた。
名前と一緒に「得意な魔術」「趣味」「家の地位」を誇らしげに語る。
僕たちはまだ小さいため、注目されて少し緊張するけれど、魔力を隠しつつ堂々と振る舞う。
僕とノクシスの順番は最後の方。
周りの視線が痛いほど集まるが、二人で顔を見合わせ、にこっと笑った。
「えっと…僕はノクティ。算数と魔法がちょっと得意です」
「僕はノクシス。運動や体力には自信があります」
教室は小さくざわついた。
「魔民なのに…なんか目つきが鋭いな」
「弱そうだけど、ただものじゃないかも…」
僕たちは秘密を守りつつ、周りの魔族たちを観察する――
魔界の小学校生活は、まだ始まったばかりだ。
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