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29日目〜30日目1 報酬とBランク冒険者

 アルスヴァルト観光を楽しんだ次の日。俺たちはプラートゥムティラノス討伐の報酬を受け取った。


 素材の販売益は、冒険者が四十人近く居たのもあって、一人10万ラウとそこそこの金額で落ち着いたが、作戦立案と指揮をとった事が評価されたらしく、特別報酬で120万ラウを貰うことが出来た。


 冒険者ランクを今すぐDランクに上げるかとも聞かれたが、断ったぜ! こういうのは地道に条件を満たして上げるのが楽しいんだよね。


 ふふふ。後は護衛任務二回に、討伐9回だ。レベルはゴブリン戦で、収集依頼は森林ダンジョンの採集で達成したからな。討伐依頼は大変そうだが、依頼はそれなりに出ているらしいので、頑張る所存です。


 この日は報酬を握り締めて町を回り物資の補給をしつつ、レザーの小手から魔物素材の手甲へ更新を行った。30万ラウ程の値段で、防御力、魔法防御力、グリップ力が向上したぜ。満足いく買い物だった!

 一方のアイリスは、魔法が付与をされた矢尻を買っていた。そのうち実戦で見ることもあるだろう。


 そして翌30日の朝、宿で食後のティータイムを楽しんでいた俺たちは、呼び出しを受けてギルドへ向かう事となった。


 ギルドの第一会議室で俺たちを迎えたのは、ドラゴンとヒト種の子孫であると言われている、ドラゴニュートの冒険者だった。


「ワタシは【アルスガード】のクロウ。この町に籍を置くBランク冒険者だ。この町を守ってくれた事、感謝するぞ」


「気にしない。困った時はお互い様」

「冒険者として、出来る事をやっただけですから」


 アイリスに続いて返事をする。少し見栄を張ったかもしれない。


「ふむ、ワタシも君たちのように有りたいものだな」


 そう言うと一呼吸置いて、俺たちを呼び出した理由を教えてくれた。


「さて、君たちに来てもらったのは他でも無い。現在の草原ダンジョンと似たような状況を、過去に経験したと聞いてな。詳しく教えて欲しい」


「分かりました。とはいえ、自分たちもそれほど詳しくは無いですけど」


 俺は森林ダンジョンで起きた事を一通り説明する。


「――そんなことが起きていたのか。ダンジョン内で属性不明の魔力反応があった場合、直ちに報告するようギルドから指示があったが、その為か」


「だと思います」


 本当にそれが直接的な原因かはわからないが、注意するに越したことはない。


「良い情報だった、重ね重ね礼を言う」


 頭を下げるクロウさん。真面目な人!


「さて、後三十分ほどで他の冒険者たちも集まってくる。それまではゆっくりしておいてくれ」


 まあこれで解散とはいかないよな。ダンジョン内の大型魔獣掃討が次の依頼だ。気を引き締めよう。


 それから三人で雑談に興じる俺たちの前に、続々とCランクパーティーのリーダーが集まり出した。


「あ、クロウさん! 帰ってたんですね! 無事でよかったです」


「心配をかけたようだな。思っていたよりゴブリン共の住処が遠く、時間を取られたのだ」


 町からの狼煙は距離が遠過ぎて、気づかなかったらしい。


 しかしクロウさん、めっちゃ慕われてるぜ。

 アルスヴァルトに籍を置くBランクパーティーは二つ、Bランク冒険者は四人らしいからな。かなりの人格者だし、町の英雄みたいなものだろう。


 皆が帰還を歓迎する中、当のクロウさんが皆を落ち着かせ、本題に入った。


「さて、討伐に参加するパーティのリーダーは揃ったようだな。今回指揮を任されたクロウだ。よろしく頼む」


 パチパチと拍手が起こる。


「どのように殲滅を行うかの手順を説明する――」


 クロウさん説明は十分ほど続き、終わったと同時に皆が席を立った。これから現地へ行って、早速依頼に望むらしい。


「ダンジョンの停止は町の経済に大打撃を与える、か」


 ポジティブに捉えれば、ダンジョンを上手に利用して生きているのだろう。しかし悪く言えば依存である。

 在るのが当たり前のもので、誰も無くなった時のことや、長期間に渡り使用出来なくなることを想定していない。

 何かあった時、どうするつもりなんだろうな……?


「カケルの心配もわかる」


 ふいにアイリスが話しかけてくる。ちなみに遮断魔法陣は使用中だぞ。


「けどわたし達は今やれることを、やるしかない」

「――そうだな!」


 俺たちは為政者ではないし、活動家でもない。ならば冒険者として、やれる事をやるだけだ。


「よし、気合い入れて狩るか!」

「その意気。カケルは元気なのが長所」


 そうかな? 長所は伸ばしていかないとな!


「唯一無二」

「他に居ないって意味だよな? 俺の長所がじゃないよな?」


「……」

「黙らないで。荷物をまとめて歩き出さないで」


 アイリスよ、俺は地面に寝転がって駄々をこねる事さえ出来る男だぞ。本当だぞ?


 ドアの前で振り返ったアイリスが、俺の目を見て言った。


「カケル、みんな待ってる。急ぐ」


 はい。


 俺が悪いのかな? 少し疑問に思つつ、荷物を背負い、かけ出したのだった。

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