26日目 アルスヴァルト
散発的な魔物の襲撃を受けつつも、隊商は南へ進み続けた。
魔物の襲撃に際して数名の商人が戦いたがり、防衛戦に参加させた罪悪感のある冒険者たちは、渋々と戦い方を指導していた。
彼らは本当に冒険者へ転職するつもりなのだろうか。
そして日没が迫る十七時頃。一行は遂にアルスヴァルトへ到着した。
「予定より大分時間はかかったけど、着いたな!」
「うん。旅の始まりとしては、良い冒険だった」
アイリスさんはご満悦だ。
ゴブリンの群れはアルスヴァルトまで到達していたらしく、町の外では兵士が哨戒していて、物々しい雰囲気が漂っている。
「北門も閉じてるし、町に入るまでも長そうだな」
「うん」
ゴブリン対策だろうから、仕方ないか。
それから二時間後、南門まで迂回する事にはなったが、町へ入る事が出来た。
今回お世話になった人達は大体がサントニオル行きだったので、隊商から離れる際に大変別れを惜しまれた。
何人かはサントニオルで会うとこになっている。特にシュリーマンさんには、絶対に商会を尋ねるよう強く言われた。
今は依頼達成を報告するため、ギルドへ向かっている所だ。
依頼終了時、最高評価である事を認めた手紙を受け取った。これをギルドで提出すれば無事、依頼終了である。
「報酬に色をつけてくれたらしいし、頑張ってよかったな」
「お金に色をつけるのは犯罪」
「カラーリングじゃねぇよ」
お札に落書きしちゃう人じゃないんだから。
「五歳くらいの頃、新聞に載ってたクラウド王に、ちょび髭を加えた事がある」
「寛容な王様の国で良かったな?」
子供のやる事です。許してやってください。西郷さんと大久保さんも、昔の俺を許してください。
「驚くほど似合ってなかった」
「やめてあげなさいよ!」
不敬すぎる。みなさん、彼女はジョークを言ってるんです。
「当時のクラウド王は、若くて線の細いイケメン」
「なんとかフォローは間に合ったか?」
髭が似合わなかった理由、ポジティブで良かった。
「今は熊みたいになってる」
「悪口に落ち着いちゃったよ!」
この十年でクラウド王に何があったんだよ。
「もふもふしたい」
「恐れ知らず過ぎる。一国の王をもふるな」
くだらない会話をしつつ周囲を観察しながら歩いていると、護衛で一緒だった冒険者が数名、建物へ入って行くのが見えた。
「あれが冒険者ギルドのはず」
「へぇー。外壁の色と大きさ以外は、ほぼ一緒か?」
緑がかった外壁とサイズが小さい事以外は、ほぼ同じ外観だ。
「うん、旅をする冒険者が見つけやすいように配慮されてる」
「なるほど、賢いな。じゃあ早速行くか」
そう言って俺たちはギルドへ足を向けた。
内部構造もブラウンと大きな差異はない。ただし、冒険者はの年齢層は、こちらの方が若干低いだろうか。街の近くにあるのがEランクダンジョン一つだけなので、そのあたりが理由だろう。
周りに目を配りつつ、受付の列に並び待つこと十分。自分たちの番がやって来た。
「こんにちは。護衛依頼の達成報告に来ました。それとおすすめの宿があったら教えていただけますか?」
手紙を差し出しながら、一緒に質問をする。
受け取ったのは三十歳くらいのお姉さん。
「あら、シュリーマンさんの護衛依頼ね。最高評価じゃない。将来有望ね? 追加の報酬もあるのね。そうしたらコレとコレを持って、精算窓口に行ってくれる?」
そう言いつつ木簡を二つ渡された。
「おすすめの宿屋は、ギルドの目の前にある〈アルスの隠れ家〉よ。値段も部屋もそこそこだけど、ご飯が美味しいわ」
「食事が美味しいのは良いですね。ありがとうございます」
では失礼しますと、カウンターから離れる。
精算カウンターで受け取った報酬は、本来一人6万ラウだったところを、30万ラウも受け取った。ホクホクである。
「予想外に時間はかかったが、経験値まで含めて美味しい依頼だったな」
「うん、とても良かった」
「そしたら、宿行ってパーっと打ち上げするか!」
「今夜は浴びるように飲む」
ジュースですけどね。我々が飲むのは。
報酬を受け取った後は宿屋へ向かう。店内は明るく清潔で、値段も高すぎるという程では無い。
そして何より、
「うまーい!!」
「驚きの美味しさ」
食事がうますぎる。何これ、どうなってるの? 危ないモノ入ってない?
すると配膳をしてくれたおばちゃんが、横から理由を教えてくれた。
「気に入ってくれたようで良かったよ。この宿の料理人は料理スキルがレベル4もあるからね」
マジか、料理スキルがあるとこんなに美味しくなるの?
「料理スキルのレベルは凄く上がり難い。なんで宿で
料理人?」
曰く、レベル4もあれば、大概は王侯貴族や高級レストランなどで雇われているそうだ。
「理由は簡単、歳をとって実家に戻っただけさ」
六十を迎え、レストランを辞して実家に戻ったみたいだ。寂れていた宿を、一年もかけずに立て直したらしい。
「ところであんた達、冒険者だろ? 最近ダンジョンから町へ、食肉の供給が減ってるんだけど、何か知らないかい?」
「すみません。さっきこの町に到着したばかりなので、何もわからないです」
ゴブリンの群れが理由なら直に供給も戻るだろうが、無責任な事は言えない。
「そうかい。いや、変な質問して悪かったね」
食事を楽しんでおくれと言って、おばちゃんは去って行く。
「トラブルの予感」
俺もそう思う。もうしばらくは嫌なんですけど。
「とりあえず明日は一日休みにしよう。ギルドでの情報収集と買い出しは行くけど、後は観光だ」
「うん、良いと思う」
それからは美味しい食事に集中し、お次は公衆浴場を探して入浴。最後は宿に戻ってとびきり美味しいジュースを飲み、それぞれ部屋で休む事になった。
よし、久々にステータス画面を開こう。
元のステータスのメモは……あった、これだ。
Lv27 HP101/117 MP110/122
str40+2 vit39 int65 dex29+3 agi40 luk27 pt 0
スキル
言語理解 鑑定初級魔法 打撃耐性
八日前のステータスになる。そして現在のステータスがこちら。
「ステータスオープン」
Lv31 HP129/129 MP133/138
str44+2 vit43 int69 dex33+3 agi44 luk31 pt 12
スキル
言語理解 鑑定刀剣術基礎 初級魔法 土属性中級魔法
打撃耐性 物理耐性 忍足 MP回復力向上
四レベルも上がっている。ゴブリンウォーリアー、倒しまくったからね。30レベルを超えて、Dランク冒険者の条件を満たした。嬉しいぜ。
スキルも増えて来て見栄えが良くなったな!
魔法の詳細も見ていこう。まずは初級から。
初級魔法
火属性
イグニッションlv3
ファイヤーアローlv3
ファイヤーボールlv3
ファイヤーウォールlv3
水属性
クリエイトウォーターlv3
ウォーターボールlv2
ウォーターウォールlv2
ウォーターシャワーlv2
風属性
エアブロウ
エアショット
ウィンドカッターlv3
ウィンドシールド
土属性
ティル
ディグlv2
アースウォールlv3
ストーンバレット
光属性
ライトlv2
ライトアロー
フラッシュlv2
ライトシールド
闇属性
ブラインドlv3
ダークネスアロー
ダークボール
ダークシールドlv2
次は土属性中級魔法。
ストーンパイクlv2
サンドストームlv3
ハードニングlv2
こうやって見るとレベルにむらがある。森林ダンジョンで沢山使った火魔法と、対ゴブリン戦で使用した魔法は大きく伸びた。クリエイトウォーターは、MPが余っているときに使用してるので伸びが良い。今後は他の魔法もバランス良く使おう。
レベル3までは上がり易いので、そこまでは全魔法のレベルを上げてしまいたい。
その後ステータスポイントを振って、翌日に備え早めに休む事にした。
Lv31 HP129/129 MP133/146
str48+2 vit43 int73 dex33+3 agi48 luk31 pt 0
スキル
言語理解 鑑定刀剣術基礎 初級魔法 土属性中級魔法
打撃耐性 物理耐性 忍足 MP回復力向上




