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21日目2 護衛依頼、開始

 アイリスの家からゆっくり歩くこと十分、俺たちは南門に到着した。

 そこには隊商(キャラバン)の一員だと思われる馬車が数多く並び、百を超える人々が集まっている。

 中には竜馬も一頭居て、周りの馬たちを従えているようだ。


「ギルド職員さんが居るんだよな? あれか?」


 若手の冒険者が集まる場所で、書類を抱えて忙しそうに確認作業をするおじさん。


「そう、割符を渡すとチェックが終わる」

「なるほど」


 俺はポケットから割符を取り出し、ギルド職員さんへ声をかける。


「すみません、隊商キャラバンの護衛任務を受けて来ました」


 言いつつ割符を差し出す。


「どうもどうも。えーっと、【イーリアス】の古昌カケルさんと、アイリス=シルフィードさんですね?」


「そうです」


 アイリスのファミリーネームを知らなかった? ふふふ、俺は知っていたぞ! ちなみにアポロさんが婿入りしたらしく、シルフィードはエレクトラさんのファミリーネームだ。


「はい、大丈夫です。それではしばらく待機してください。このキャラバンのリーダーであるシュリーマンさんから簡単な挨拶があり、その後に護衛の差配をする元Cランク冒険者の方から、移動中の配置や野営の割り振りについて指示があるはずです」


「了解です」


 へー、元冒険者の人が雇われてるのか。セカンドキャリアってやつかな? お給料は良いのだろうか。

 職員さんが立ち去った後、そんな事を考えていると、アイリスから声がかかる。


「カケル、端に寄って待つ」


 おっと、確かに往来の真ん中は邪魔だな。


「あいよ」


 広場の隅っこに場所を移し、待機を指示されてから十分ほど経った頃、大きな声があがった。


「傾聴!!」


 声と共に、白髪の生えた太り気味の中年男性が、ポツンと置かれた木箱の上に立つ。


「皆さま、朝からご苦労さまです。今回の隊商(キャラバン)でリーダーを務めるシュリーマンと申します。よろしくお願いします」


 商人の間から拍手があがる。


「馬車をお持ちの皆様は打ち合わせ通り、順番に出発してください。お持ちでない方は後方で一塊になって進みます」


 駆け出しの商人も一定数居るようで、大きな荷物を抱えて徒歩で移動するようだ。


「護衛の方々はあちらでルーカスの指示を受けてください。では出発しましょう」


 隊商キャラバンの参加者はそれぞれ自分の配置に移動する。

 うーむ、すっかり慣れた作業って感じだな。やることも分かりやすくてありがたい。


 目的地のアルスヴァルトまでは二泊三日だ。これはスムーズに進んで簡単に終わるかもな。そんな事を考えながら、ルーカスさんのいる場所へ向かう。


「あの人か?」

「うん、多分そう」


 そこには眼帯をつけ、白髪混じりな短髪をした、筋骨隆々の男がいた。絶対強い。


「点呼をとるから、リーダーは返事をしろ」


 やはりこの人がルーカスさんのようだ。


 次々とパーティー名を呼ばれ、皆しっかりと返事をしていく。稀に気だるそうな返事もあったが、ルーカスさんが睨むと背筋を正していた。続々と名前が呼ばれる中、俺たちの名が呼ばれる。


「――【イーリアス】」

「はい!」


 能力的には圧倒的にアイリスが上なのだが、彼女の勧めで俺がリーダーをやることになっている。女性リーダーは面倒事が多いらしい。


 その後も次々名前が呼ばれていき、欠勤したパーティーは無かった。最終的に十六組のパーティーが、今回の護衛に参加している。


「では配置と夜警の担当時間を発表する」


  次々と移動時の配置が告げられいく中で、俺たちは最後尾、夜警の担当は一番最初の時間になった。

 初めての護衛参加だから、比較的楽なところに割り当ててくれたのかもしれない。


「よし、じゃあ最後尾に行くか」

「そうする」


 視線の先には、しきりに周囲の人々から情報収集をしている、駆け出しから中堅くらいの商人達。


 彼らの元で待つ事しばし。

 キャラバンが大きく動き出した。


「すごいなー。こんな人数居たら、盗賊どころか魔物も襲ってこないんじゃないか?」


 楽々と目的地についてしまうかもしれないな、ふははは。


「盗賊は襲ってこないかも。けど魔物はむしろ寄ってくる」


「それ不思議なんだよな。知能とか理性とか無いの? 本能の化け物なの?」


 自身を顧みない相手は、怖い。


「知能はある。カケルをどうやって倒すかだけを考えてる」


「なんで俺だけなんだよ! もっと視野を広く持てよ!」


 本当に怖いな?


「理性もある。カケルが来るまでは、他の人を襲わずに我慢してる」


「俺の何が魔物を駆り立てるんだ? 変なフェロモンでも出てるの?」


 魔物に俺だけを狙わせる程の強力なフェロモン、嫌すぎる。


「それこそが本能」

「なんてもの細胞に刻まれてやがる!」


 許せねーよ、そんな世界。


「っと、列が進んでるぞ。出発だ」


 先頭の出発から十分ほど経っている。大人数の移動は、動き出しが遅くなりがちだ。


「行く」


 俺たちは門の手前で見送りをしていたギルド職員さんに頭を下げ、ブラウンの町を後にした。

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